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住まい環境プラニングは国内唯一の高気密性能を担保できる気密施工マイスターを育成する設計事務所です。 高性能住宅の熱環境分野に携わって28年、理論と実体験に基づいて省エネ住宅の開発研究、普及に努めております。住宅に大切な結露対策は得意分野、結露のトラブルも解決いたします。

何故?C値が2.0cm2/m2では不十分なのか?

住宅の気密性能は次世代省エネ基準クラスで2.0cm2/m2以下(Ⅰ~Ⅱ地域)、5.0cm2/m2以下(Ⅲ~Ⅵ地域)と義務づけられました。
気密性能で冷暖房を考えた時、できるだけ小さい数値が望まれます。


特に蒸暑地域では夏は冷房の使用量が増えるため、せっかく高気密住宅にしても5.0cm2/m2の気密性能では暖湿気が室内に浸入て冷房の効きが悪くなるばかりです。

何故そうなのかを具体的な例をあげて考えてみましょう。

標準的な大きさ120m2の住宅で、気密性能が単位隙間相当面積で1.0cm2/m2とします。

気積が288m3で換気量が120m3の換気量0.42回/hを計画したとします。
この時の住宅換気システム使用時の内外差圧はおよそ0.7mmAqです。


そこに給気口(パッコン)を5個設置したとします。(平均的な個数です。)
第三種タイプの換気システムでは0.3mmAqまで差圧が下がってしまいます。

冬期の内外温度差が(外気温-10℃、室内温度20℃)30℃あった場合温度差換気により、0.3mmAqの差圧が生じてしまいます。

2階建ての住宅は2階の給気口や隙間からはほとんど給気されないで、
少しでも風が吹くと風下の給気口や隙間から排気されるという結果となります。

一方、
気密性能が次世代省エネ基準で義務化とされている
2.0cm2/m2ではどうでしょうか?

この場合は内外差圧が0.2mmAqしかあがりません。
この状態では2階の給気口(パッコン)から排気してしまいます。
風が吹くとほとんど負圧給気が成り立たなくなるのです。
室内は風任せの空気の流れができて、換気システムの本来の空気コントロールが不可能となります。

(実際に2.0cm2/m2クラスの気密住宅の給気口の風量を測定してみると、
風量ゼロか排気されていることが実証されます。
建物の気密性能は測定機器を持っていなくても2階の給気口にタバコの煙などを当ててみると2.0cm2/m2以下の気密性能かそれ以上かの簡単診断ができます。)

一般的に使用されている給気口の隙間は12cm2くらいです。
給気口を5個つけると60m2になります。
気密性能が1.0cm2/m2の住宅が、
給気口をつけない気密性能が1.5cm2/m2の住宅と同じ差圧にしかなりません。

自然給気、強制排気タイプの換気システムで本来の性能を発揮させるためには、給気口を含め1.0cm2/m2以下の気密性能が必要なのです。

その意味では、
冬期では気密性能が1.0cm2/m2クラスの住宅でも給気口が必要ないということになります。

しかし換気システムでは内外温度度がない時期もあるので、冬期間は場合によっては給気口を閉じて、ある程度室内が暖まったら開ける使い方が良いのではないかと考えます。

(ただし住む方に給気口の使い方を説明する必要があります。)

●参考:1mmAq=9.807Pa
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theme : 住宅・不動産
genre : ライフ

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昆寛(コン ヒロシ)

Author:昆寛(コン ヒロシ)
住まい環境プランニング(同)
(高性能住宅設計:技術顧問)

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