高気密住宅の気密漏れの原因は?
気密測定の結果、単位隙間相当面積0.35cm2/m2の住宅が漏気する場面を偶然見ることができた報告です。
充填断熱で気密性能を高いレベルに安定させるためには施工の面で意識して行うことがあります。それは意識して防湿(気密)シートを止めるための下地を入れると気密性能が0.5cm2/m2前後の一定した範囲の中に入ります。違った大工さんが施工しても下地をきちんと入れると安定した性能値になります。
弊社のデーターでは大工さんが違ってもその誤差は±0.1cm2/m2程度という高い性能値になります。勿論、外張工法も同じで下地を意識しないで施工された住宅の気密性能の平均値はよくても0.7cm2/m前後になります。きちんと下地を作ると0.5cm2/m2以下の気密性能を簡単に出すことができます。
一般的にある断熱・気密の施工マニュアルは屋根、外壁、基礎、ベランダ廻り、外気床など大まかな断面詳細マニュアルしかありません。そのため、現場によっては詳細な施工マニュアルがないため納まりは大工さん任せの納めになっています。
気密施工に熟練された大工さんであれば安心ですが、そうでない場合は不安が残ります。その不安を解消するのが断熱・気密施工の詳細マニュアルによる施工なのです。同じ構法、工法であっても住宅の姿、形、間取りが異なるため、各住宅ごとの施工マニュアルが必要になってきます。詳細な施工マニュアルがあれば誰でも高い気密性能を作り上げることは容易で確実な気密性能を担保する方法となります。
動画で紹介する気密漏れ!の住宅は弊社の設計・技術部が作成した断熱・気密施工の詳細施工図に基づいて施工された住宅です。ただし、施工した工務店の大工さんは、高気密住宅は初めての経験だったのですが気密性能は0.35c㎥/㎡と初めて施工とは思えない超気密住宅の施工となっています。
この住宅は高気密を意識したため引き違いテラス戸がリビング、和室、老人室3か所だけです。漏気する場所は引き違いの召し合わせ、上框、下框のレール部分と同時給排のレンジフードの電動シャッターの隙間が主な漏気箇所なのだと思っていましたが、実は何と・・・勝手口ドアのある部分が気密性能を低下させる原因であることがわかったのです。
一般的な外開きのドアであれば問題はありませんが、今回採用されていたのは通風のために扉に上げ下げ窓を複合しているサッシです。この上げ下げのスライドする部分(気密パッキンはありますが?)から漏気しているのです。また、ドアクローザーのカバーの周囲(上框に止めたビス部分から)から外気が侵入していることを引き渡し時に発見したものです。
どうしても、この勝手口を使いたい場合はこの周辺にパネルヒーターなどの熱を供給できるヒーターを設置してガラス面の表面温度を上げる工夫をしないと冬にはガラス面に結露発生に見舞われることになりかねません。
気密施工の下地施工は最も意識しなければならない大きなポイントですが、気密が高まれば高まるほど微妙な隙間が不快となるので開口部(窓、ドア)の選定には充分気をつけたいものです。
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