換気の給気を通気層から取り入れる。
第三種)の換気システムで自然給気、集中排気のセントラル換気システムで、給気は通気層から取り入れるのか?外壁の外から取り入れるのか?どちらの方法がいいのかと聞かれることがあります。
写真は室内側から見た給気口で形はメーカーによって角型、丸型があります。
この給気口からの外気導入方法は断熱材と外壁の間にある通気層の下水切りから取り入れか?
それとも外壁を貫通して直接外気を取りいれた方がいいのか?
さて、どちらがベストの方法でしょうか?
左図は各方法の断面図です。
左図は外壁を貫通させて直接外気を取り入れる方法。
右図は通気層から外気を取り入れる方法です。
結論からいうと、実験してみると住宅の気密性能や給気口の使用目的によって変わることがわかります。
通気層から給気を取り入れる方法は、直接冷たい外気が室内に入るのを防ぐ目的と、風の強い時に大量に給気口から給気されるのを防止する目的があります。
風の強い時などは外壁から直接給気口を設けた方法ですとかなりの給気量となります。
厳寒期には給気口から大量の冷気が入ると、居住者は給気口を閉め切ってしまいます。そこで、考えられたのが通気層からの新鮮な空気を導入する方法です。風の強い地域、寒い地域ではかなり採用されています。しかし、通気層からでは問題があるという意見もあります。
理由は
(1)温度差換気の影響で、二階の給気口が排気口になり、給気口から排気された水蒸気で窯業系の外壁材の裏側で凍害を起こす危険性がある。
(2)通気層が圧損抵抗となって、給気されないというものです。
はたして、この問題はどうなのでしょうか?
実際は、通気層から給気しても問題がない例があります。
実はこの問題については換気と気密性能が考えられていなかったことに問題があります。気密性能が低い住宅は、通気層から給気すると、温度差換気や風の影響で給気口から排気されてしまうので、先の指摘されたような問題が起きてしまいます。しかし、一方で気密性能が高い住宅は、換気の圧力が確保されているために、給気口からの排気はほとんど起きません。気密性能が高いほどいいのですが、最低目安の気密性能は1.0cm2/m2以下が必要だと思います。スウェーデンやカナダのR-2.000住宅のレベルにすると、換気による障害はなくなるようです。
(3)夏の通気層からの外気導入は外気より高い温度の空気を取り入れてしまう。
これは断熱材と一体成型になっている外壁材を使うと緩和された外気温になり気にならなくなります。それでも、直接外気導入より高くなる可能性があるので暖かい地方では直接外気導入の方がいいと思います。
最近では給気口に過剰給気防止機能がついた商品も販売されるようになりました。
これらの商品は、外壁から直接給気しても、ある一定以上の給気はされないようになっています。
しかし、一般に使われている給気口は給気量がセーブできません。
その場合は通気層からの給気やクローゼットを経由して給気するなど冷気を感じさせない工夫が必要です。
(全室セントラルヒーティングの場合は、その給気口の下部にヒーターを設置することで解決します。)
又、通気層から給気する場合でも、圧力損失の大きい既製品の水切は使わないようにしましょう。
追加投稿(1/29)
コメントに宮城県の菅原様から「換気の給気を通気層から取り入れる。
について貴重なご意見をいただきましたのでコメントをそのまま転載いたしますので参考にして下さい。
>はじめまして、宮城県気仙沼の菅原と申します。『俺の家は高性能!』を毎日、拝見させていただいております。今回のテーマ”換気の給気を通気層から取り入れる。”について 私が考える、ダメな理由をあげさせていただきます。
1.土台、構造用合板に塗布した防蟻剤の通気層からの侵入
2.サイディング裏面のバックシーラー(有機溶剤)からの影響
3.将来的に通気土台水切り部分が隠ぺいされる可能性
4.塀が近接していた場合、地面付近の淀みがちな空気の取り込み
私は建材販売業を営んでおり、取引先の工務店様には上記のことから、換気の給気は外気からの取り入れを推奨しております。
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この給気口からの外気導入方法は断熱材と外壁の間にある通気層の下水切りから取り入れか?
それとも外壁を貫通して直接外気を取りいれた方がいいのか?
さて、どちらがベストの方法でしょうか?

左図は外壁を貫通させて直接外気を取り入れる方法。
右図は通気層から外気を取り入れる方法です。
結論からいうと、実験してみると住宅の気密性能や給気口の使用目的によって変わることがわかります。
通気層から給気を取り入れる方法は、直接冷たい外気が室内に入るのを防ぐ目的と、風の強い時に大量に給気口から給気されるのを防止する目的があります。
風の強い時などは外壁から直接給気口を設けた方法ですとかなりの給気量となります。
厳寒期には給気口から大量の冷気が入ると、居住者は給気口を閉め切ってしまいます。そこで、考えられたのが通気層からの新鮮な空気を導入する方法です。風の強い地域、寒い地域ではかなり採用されています。しかし、通気層からでは問題があるという意見もあります。
理由は
(1)温度差換気の影響で、二階の給気口が排気口になり、給気口から排気された水蒸気で窯業系の外壁材の裏側で凍害を起こす危険性がある。
(2)通気層が圧損抵抗となって、給気されないというものです。
はたして、この問題はどうなのでしょうか?
実際は、通気層から給気しても問題がない例があります。
実はこの問題については換気と気密性能が考えられていなかったことに問題があります。気密性能が低い住宅は、通気層から給気すると、温度差換気や風の影響で給気口から排気されてしまうので、先の指摘されたような問題が起きてしまいます。しかし、一方で気密性能が高い住宅は、換気の圧力が確保されているために、給気口からの排気はほとんど起きません。気密性能が高いほどいいのですが、最低目安の気密性能は1.0cm2/m2以下が必要だと思います。スウェーデンやカナダのR-2.000住宅のレベルにすると、換気による障害はなくなるようです。
(3)夏の通気層からの外気導入は外気より高い温度の空気を取り入れてしまう。
これは断熱材と一体成型になっている外壁材を使うと緩和された外気温になり気にならなくなります。それでも、直接外気導入より高くなる可能性があるので暖かい地方では直接外気導入の方がいいと思います。
最近では給気口に過剰給気防止機能がついた商品も販売されるようになりました。
これらの商品は、外壁から直接給気しても、ある一定以上の給気はされないようになっています。
しかし、一般に使われている給気口は給気量がセーブできません。
その場合は通気層からの給気やクローゼットを経由して給気するなど冷気を感じさせない工夫が必要です。
(全室セントラルヒーティングの場合は、その給気口の下部にヒーターを設置することで解決します。)
又、通気層から給気する場合でも、圧力損失の大きい既製品の水切は使わないようにしましょう。
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コメントに宮城県の菅原様から「換気の給気を通気層から取り入れる。
について貴重なご意見をいただきましたのでコメントをそのまま転載いたしますので参考にして下さい。
>はじめまして、宮城県気仙沼の菅原と申します。『俺の家は高性能!』を毎日、拝見させていただいております。今回のテーマ”換気の給気を通気層から取り入れる。”について 私が考える、ダメな理由をあげさせていただきます。
1.土台、構造用合板に塗布した防蟻剤の通気層からの侵入
2.サイディング裏面のバックシーラー(有機溶剤)からの影響
3.将来的に通気土台水切り部分が隠ぺいされる可能性
4.塀が近接していた場合、地面付近の淀みがちな空気の取り込み
私は建材販売業を営んでおり、取引先の工務店様には上記のことから、換気の給気は外気からの取り入れを推奨しております。
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