自然換気で換気計画は無理がある。
換気は給気口を設けることで自然に換気してくれると思っている人が多くいます。
しかし、換気には空気を動かす何らかの動力が必要になります。
自然換気の場合の動力は建物の内外の温度差の圧力(暖められた空気は軽くなって浮く力=ドラフト)と風による圧力を利用します。温度差も風もない時には換気されませんが風がない時はほとんどありません。建物には常に少しでも風の圧力が働いています。
しかし、自然換気は風の強弱、外気温の変動で換気量が非常に変動しやすいので意図的にコントロールできません。
一方、自然換気に対して送風ファンで空気を動かすのが機械換気です。換気の動力にはこの自然換気と機械換気があり、全般換気としてはこの二つの方法しかありません。
機械換気であっても、機械で作りだす圧力が、風や温度差換気の圧力より大きくないと、換気経路や換気量がコントロールできません。機械換気は常に一定の換気量を確保しますが自然換気は内外の温度差や風圧力、周囲の建物の状況によってかなりの換気量が変動することと、時には換気がされないという欠点があります。
住宅の気密化の目的の一つには常に換気がコントロールできる環境づくりにあります。そのためには住宅の気密性能を上げて隙間を少なくすることで機械換気による換気の圧力を上げるのです。
風圧や温度差換気の影響を少なくするためには最低でも住宅の気密性能は単位隙間相当面積で1.0cm2以下にする必要があります。(目標値は0.5cm2以下がもっとも良い)
カナダのR−2000住宅の換気計画では、この換気の圧力を1mmAqにすることが理想的だとされています。カナダのR−2000住宅の気密性能はおよそ0.9cm2です。この高い気密性能であっても給気口は2個しか設置しないのです。その理由は風や温度差換気の影響を少なくするための換気設計のようです。
高気密住宅の目的の一つには、計画換気をできるようにすることにありますが実際の現場を見ると計画換気になっていない初歩的な間違いが多くあります。
例えば
①トイレ、浴室等の水廻りに換気扇を設けて局所排気をしているのに、扉にアンダーカットがないので空気の経路が確保されていない。
②給気口の近くに排気口が設けられているのでショートサーキットがある。
③給気口を低い位置につけているため冷気が気になる。
④給気口と暖房器の設置位置のバランスが悪いため冷気が気になる・・などです。
自然換気量は建物の気密性能で大きく違ってききます。気密性の低い住宅は内外に温度差がある冬期間では何も意図的に換気をしなくても建物の隙間から非常に多くの換気が図られます。また、風が吹くことで風力換気が働きます。「どこからかスースーと風が入るな!」と感じるときは隙間から多量の換気がされている・・・あの現象です。隙間風は換気と似ているのですが大きく意味が異なっています。
また、もう一つ似たものに通風があります。
隙間風は窓を閉めていても隙間から入ってくる風を指し、空気が漏れるので「漏気」とも呼ばれています。
従来はこの隙間も換気の一種(自然換気)として考えられていましたが現在は換気と隙間風は分けて考えられています。
一方、通風の場合は風上と風下の窓を開けて室内に風を取り入れて室内の汚染物質や熱を室外に出すことを指します。夏の暑さを自然的の力で防ぐには・・この通風の利用は大きな力になります。
通風は風速2m程度の風が吹いた時などは15分程度通風をすると4人家族(4人×30m3/人=)120m3の換気量を確保できる最も効果的な空気の入れ替え方法になります。この隙間風と通風は換気量は違えどもどちらもコントールはできません。
これに対して、住人の意志で必要な換気量を入れ替えることができるのが「換気」、その換気は高気密住宅の下では、住宅からの空気の漏気がほとんどないので100%機械で強制的に換気をしなければなりません。
換気量を多くするとエネルギーのロスとなり省エネにはなりませんが換気量が少ないと匂いがこもったり、水分が室内に滞留し結露の発生の原因にもなります。
現在は換気量は0.5回/h確保することになっていますが低気密住宅では機械換気量と隙間からの換気量がプラスされるので非常に大きな換気量になってしまうので高気密化が望まれます。
そのためには、この大きな換気量にならないように気密性能が1.0cm2/m2以下の性能を目標とするべきです。
しかし、このレベルの気密性能であっても冬期間の自然換気回数が1.0回/hもあり、さらに機械換気で0.5回/hの換気量を取ることで室内の乾燥は非常に早く進むことになります。
低気密住宅の場合はもっと悪く、自然換気回数が高気密住宅より、さらに多くなるので乾燥感はもっと進むことになります。無風、温度差のない時には自然換気は期待できないので、やはりアバウトな換気計画であっても機械換気に頼るしかないようです。
最近、新築のQ1住宅と同じ室内環境(全室、冬は暖かく、夏は涼しく)をリフォームで得ようとする方が増えています。
しかし、施工がきちんとされていない例が多く多くのクレームが出始めております。
●写真は天井を気密シートで施工されているが間仕切りの気流止めの部分が連続した気密シート施工になっていない例。
この現場は完成時の気密測定で低気密の原因とされた箇所でクレームとなった。
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しかし、換気には空気を動かす何らかの動力が必要になります。
自然換気の場合の動力は建物の内外の温度差の圧力(暖められた空気は軽くなって浮く力=ドラフト)と風による圧力を利用します。温度差も風もない時には換気されませんが風がない時はほとんどありません。建物には常に少しでも風の圧力が働いています。
しかし、自然換気は風の強弱、外気温の変動で換気量が非常に変動しやすいので意図的にコントロールできません。
一方、自然換気に対して送風ファンで空気を動かすのが機械換気です。換気の動力にはこの自然換気と機械換気があり、全般換気としてはこの二つの方法しかありません。
機械換気であっても、機械で作りだす圧力が、風や温度差換気の圧力より大きくないと、換気経路や換気量がコントロールできません。機械換気は常に一定の換気量を確保しますが自然換気は内外の温度差や風圧力、周囲の建物の状況によってかなりの換気量が変動することと、時には換気がされないという欠点があります。

風圧や温度差換気の影響を少なくするためには最低でも住宅の気密性能は単位隙間相当面積で1.0cm2以下にする必要があります。(目標値は0.5cm2以下がもっとも良い)
カナダのR−2000住宅の換気計画では、この換気の圧力を1mmAqにすることが理想的だとされています。カナダのR−2000住宅の気密性能はおよそ0.9cm2です。この高い気密性能であっても給気口は2個しか設置しないのです。その理由は風や温度差換気の影響を少なくするための換気設計のようです。
高気密住宅の目的の一つには、計画換気をできるようにすることにありますが実際の現場を見ると計画換気になっていない初歩的な間違いが多くあります。
例えば
①トイレ、浴室等の水廻りに換気扇を設けて局所排気をしているのに、扉にアンダーカットがないので空気の経路が確保されていない。
②給気口の近くに排気口が設けられているのでショートサーキットがある。
③給気口を低い位置につけているため冷気が気になる。
④給気口と暖房器の設置位置のバランスが悪いため冷気が気になる・・などです。
自然換気量は建物の気密性能で大きく違ってききます。気密性の低い住宅は内外に温度差がある冬期間では何も意図的に換気をしなくても建物の隙間から非常に多くの換気が図られます。また、風が吹くことで風力換気が働きます。「どこからかスースーと風が入るな!」と感じるときは隙間から多量の換気がされている・・・あの現象です。隙間風は換気と似ているのですが大きく意味が異なっています。
また、もう一つ似たものに通風があります。
隙間風は窓を閉めていても隙間から入ってくる風を指し、空気が漏れるので「漏気」とも呼ばれています。
従来はこの隙間も換気の一種(自然換気)として考えられていましたが現在は換気と隙間風は分けて考えられています。
一方、通風の場合は風上と風下の窓を開けて室内に風を取り入れて室内の汚染物質や熱を室外に出すことを指します。夏の暑さを自然的の力で防ぐには・・この通風の利用は大きな力になります。
通風は風速2m程度の風が吹いた時などは15分程度通風をすると4人家族(4人×30m3/人=)120m3の換気量を確保できる最も効果的な空気の入れ替え方法になります。この隙間風と通風は換気量は違えどもどちらもコントールはできません。
これに対して、住人の意志で必要な換気量を入れ替えることができるのが「換気」、その換気は高気密住宅の下では、住宅からの空気の漏気がほとんどないので100%機械で強制的に換気をしなければなりません。
換気量を多くするとエネルギーのロスとなり省エネにはなりませんが換気量が少ないと匂いがこもったり、水分が室内に滞留し結露の発生の原因にもなります。
現在は換気量は0.5回/h確保することになっていますが低気密住宅では機械換気量と隙間からの換気量がプラスされるので非常に大きな換気量になってしまうので高気密化が望まれます。
そのためには、この大きな換気量にならないように気密性能が1.0cm2/m2以下の性能を目標とするべきです。
しかし、このレベルの気密性能であっても冬期間の自然換気回数が1.0回/hもあり、さらに機械換気で0.5回/hの換気量を取ることで室内の乾燥は非常に早く進むことになります。
低気密住宅の場合はもっと悪く、自然換気回数が高気密住宅より、さらに多くなるので乾燥感はもっと進むことになります。無風、温度差のない時には自然換気は期待できないので、やはりアバウトな換気計画であっても機械換気に頼るしかないようです。

しかし、施工がきちんとされていない例が多く多くのクレームが出始めております。
●写真は天井を気密シートで施工されているが間仕切りの気流止めの部分が連続した気密シート施工になっていない例。
この現場は完成時の気密測定で低気密の原因とされた箇所でクレームとなった。
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