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住まい環境プラニングは国内唯一の高気密性能を担保できる気密施工マイスターを育成する設計事務所です。 高性能住宅の熱環境分野に携わって28年、理論と実体験に基づいて省エネ住宅の開発研究、普及に努めております。住宅に大切な結露対策は得意分野、結露のトラブルも解決いたします。

サッシが凍る?のは何故?

ここ最近「無料相談コーナー」に2名の方からサッシの結露のついてのご質問がありましたので、旧ブログに似たような記事を投稿してありますので、転写して回答とさせていただきます。
以下は旧ブログの投稿記事です。

「質問」
サッシが凍る?
我が家の二階、滑り出し窓(60cm角くらい)が2個並んでおります。この窓のアルミサッシ部分が他の窓が結露しなくても結露します。それが今朝は凍っていました。結露した水滴が凍ったのはわかるのですが、何故この窓は結露するのか?私たちは夫婦二人暮らしです。私の部屋なのですが実際ほとんど使いません。エアコンもかけません。ただ日当たりが非常に良いので日中に部屋が暖まり、その後の夜中の冷たい外気が影響するのでしょうか?

「回答」
写真はプラスチックサッシの枠とLOW−Eガラスの表面に結露が発生している場面を表面温度計と露点温度計で測定しているところです。
「エッ!プラスチックサッシが結露するの!?」
「LOW−Eガラスが結露するの!?」とご質問を受けそうです。

Kさんのご質問はアルミサッシの結露ですがアルミより断熱性能がいいプラスチックサッシでも発生条件が揃えば結露するのです。

それでは何故結露するのでしょうか?
考えてみましょう!!

20080121_5_1.jpgその前に写真の説明です。
プラスチック枠の表面温度は-2℃を表示しています。
右の温度計は露点温度計ですが室内温度が11.9℃相対湿度は36.7%の表示の時の露点温度(結露の発生が始まる温度)は-2.5℃を表示しています。つまり、プラスチック枠とガラスの表面の下端の表面温度は室内の温度が-2.5℃になると結露が出ますよ!というお知らせを表示しています。
-2℃の測定した時間は朝の8時30分頃ですがその前にプラスチック枠とガラス面の温度が-2.5℃に降下して露点温度に達し結露として現れたのということになります。

通常の生活ではありえない寒い温熱環境ですが「これはどんな環境なの?」問われそうですが、実はこれ!現在高性能住宅を新築中の現場なのです。

玄関も窓もついているが換気はなし(かろうじて5個の吸気口(スリーブ)+暖房、給湯機、換気(排気)のスリーブがあって昔の住宅のように換気は風任せ、温度任せの環境になっています。
断熱は次世代省エネ基準Ⅰ地域仕様で作られていても、もちろん未完成ですから暖房も機械換気はなしです。
建物内の温かさは暖房はなくとも建物内で働いている人と投光器から発熱するくものと日中の太陽の日差しが入っている熱くらいでしょうか。

いくら、断熱性能の高い断熱材、サッシを使っても室温が低下したことで露点温度に達してしまうと結露が発生するのです。
そんな実例をあげてみました。

さて、Kさんのご質問のアルミサッシの結露の原因も同じく露点温度に達したため結露が発生したことになります。それでは何故露点温度に達するのか考えてみましょう?

窓ガラスで単板ガラスの場合は室内側の表面温度は断熱材を入れない外壁面と比べても単板ガラスの方が極端に低くなります。そのため室内側の表面温度が低すぎて、いち早く結露が現れてしまうのです。ガラスは熱伝導率が大きいので、3mmでも5mmでも8mmの厚さであっても、その厚さで結露が発生する変化(有無)は関係がありません。
さらに、ガラスの表面温度が低いと、それに触れている空気が冷やされて密度が大きくなり、コールドドラフトが促進されると同時に、ガラスに触れている空気温度が他の空気より低くなるため、当然ながらガラスの表面温度がより降下することで結露が促進されることになります。

アルミサッシの枠の部分は熱橋となり、この部分もガラス同様に極端に温度が低くなります。
20080121_5_2.jpg左の表のように木及びプラスチックの熱伝導率はアルミや鉄に比べて熱を通しにくいので、室内表面が極端な低温にならないがアルミはプラスチックよりおよそ120倍の熱を通す材料なので強い冷熱橋になってしまいます。

ガラスは結露に対してはペアガラスが非常に有利。ペアガラス内の密閉空気層の熱抵抗で、およそ6℃くらい表面温度を上げることができます。

例えば、室温が20℃、外気温が0℃の場合の単板ガラスの表面温度は7℃くらですが室内の空気の相対湿度が43%になると結露が発生してしまうことになります。一方、ペアガラスの場合は64%にならないと結露は発生しないのです。また、二重サッシも室内側のガラスの表面はガラス同士の隙間に生じる空気層で断熱されて温度が上昇します。そのためぺアガラスと似た感じになるのですが密閉空気層でないために室内の水蒸気がこの層に入り込み外部側のガラス面の結露は防ぐことは難しいのです。

窓改修する場合はプラスチックのぺアガラスにするか大信工業のプラストサッシのような室内の水蒸気が入らない気密性の高いプラスチックサッシを設けることが改善に繋がるようですがプラストサッシの場合でも開け閉てするのでやはり室内の水蒸気が空気層に入り外部側に結露することを免れません。

実例としてプラスチックサッシのLOW−Eガラスでも窓枠にもガラスにも露点温度に達すれば表面結露が発生することを実例として挙げ説明いたしました。

20080128_3_1.jpgまた、アルミサッシも単板ガラスは室内側の表面温度が低すぎていち早く結露が現れてしまうことも説明いたしました。したがって、逆を考えれば表面温度を上げることで解決することになります。ご質問の内容から判断するとその部屋の室温を上げるのは日中の太陽の日差しだけのようです。つまり非暖房室になっているところに問題がありそうです。
それでは何故?非暖房室は問題なのでしょうか?

それは、熱と水蒸気は均等になろうとして同じ方向に流れるからなのです。冬の暖房時には室温が外気に比べて非常に高く、熱は常に外に向かって流れることになります。しかし、この室内の空気に含まれる水蒸気は、相対湿度は外気の相対湿度より低くても、絶対湿度が高いので室内側の水蒸気圧が高いため低い外に向かって流れることになります。一般に冬の生活からみると、人体からの発熱と調理、お風呂、照明等の発熱と水蒸気の発生で室内の絶対湿度は暖房している部屋で10g/m3前後あります。一方、非暖防室の場合は7g/m3前後で暖防室より若干少なめ、これに対して、外気の絶対湿度はそれよりも小さくて1〜5g/m3が一般的です。

今回のご相談のKさんの場合には、家族で生活している空間では調理、お風呂、人体からの発汗などで水蒸気が増大、しかしその空間では人体、照明器具、暖房器などで室温を上がるため露点温度に達しないので結露しないのです。一方、非暖部室のKさんの部屋では絶対湿度(水蒸気量○○g/m3)が低いことと室温も低いため高い居住空間から低い居住空間(Kさんの部屋)へと熱と水蒸気が向かって移動します。
その他の部屋では日中の日差しで室温が若干あがります。そのため、日中は露点温度に達しない室温なので結露が発生しないのです。

しかし、夜から朝方にかけて外気温が降下環境になると連動して室温も降下、特に断熱性能が低いアルミサッシ、単板ガラスの表面が露点温度に達してしまい結露の発生してしまうというメカニズムになっているようです。

それでは、解決するためにはどうすればいいのでしょうか?

明日に続きます!


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