気密性能が高い方がいい理由
住宅の気密性能は次世代省エネ基準(平成11年省エネルギー基準)で2.0cm2/m2以下(Ⅰ~Ⅱ地域)、5.0cm2/m2以下(Ⅲ~Ⅵ地域)と義務づけられました。

※(注)平成21年度の改正では・・・C値の定量的な隙間相当面積の基準が削除され、気密性の確保という曖昧な基準に改正されています。
改正した根拠には「寒冷地では概ね2cm2/m2前後、それ以外の地域では概ね5cm2/m2前後と一定程度の気密性が確保されつつ状況にある。」ということから削除になったようです。しかし弊社で行った平成20年度の気密測定30棟の測定結果では2cm2/m2以内に収まる住宅は38%でした。これは次世代省エネ基準のみなし仕様で断熱材の性能をクリアして次世代省エネ基準住宅と謳っても、気密性能は測定することが義務ではないため、気密性能を高めるための施工がきちんと行われていないための結果だと感じています。
気密性能で冷暖房の効き具合を考えた時、できるだけ小さい数値が望まれます。
特に蒸暑地域では夏は冷房の使用量が増えるため、せっかく高気密住宅にしても5.0cm2/m2の気密性能では暖湿気が室内に浸入て冷房の効きが悪くなるばかりです。
何故そうなのかを具体的な例をあげて考えてみましょう。
標準的な大きさ120m2の住宅で、気密性能が単位隙間相当面積で1.0cm2/m2とします。
気積が288m3で換気量が120m3の換気量0.42回/hを計画したとします。この時の住宅換気システム使用時の内外差圧はおよそ0.7mmAqです。そこに給気口(パッコン)を5個設置したとします。(平均的な個数です。)第三種タイプの換気システムでは0.3mmAqまで差圧が下がってしまいます。
冬期の内外温度差が(外気温-10℃、室内温度20℃)30℃あった場合温度差換気により、0.3mmAqの差圧が生じてしまいます。2階建ての住宅は2階の給気口や隙間からはほとんど給気されないで、少しでも風が吹くと風下の給気口や隙間から排気されるという結果となります。
一方、気密性能が次世代省エネ基準で義務化とされていた時の2.0cm2/m2ではどうでしょうか?
この場合は内外差圧が0.2mmAqしかあがりません。この状態では2階の給気口(パッコン)から排気してしまいます。風が吹くとほとんど負圧給気が成り立たなくなるのです。室内は風任せの空気の流れができて、換気システムの本来の空気コントロールが不可能となります。(実際に2.0cm2/m2クラスの気密住宅の給気口の風量を測定してみると、風量ゼロか排気されていることが実証されます。建物の気密性能は測定機器を持っていなくても2階の給気口にタバコの煙などを当ててみる2.0cm2/m2以下の気密性能かそれ以上かの簡単診断ができます。)
一般的に使用されている給気口の隙間は12cm2くらいです。給気口を5個つけると60m2になります。
気密性能が1.0cm2/m2の住宅が、給気口をつけない気密性能が1.5cm2/m2の住宅と同じ差圧にしかなりません。自然給気、強制排気タイプの換気システムで本来の性能を発揮させるためには、給気口を含め1.0cm2/m2以下の気密性能が必要なのです。その意味では、冬期では気密性能が1.0cm2/m2クラスの住宅でも給気口が必要ないということになります。
しかし換気システムでは内外温度度がない時期もあるので、冬期間は場合によっては給気口を閉じて、ある程度室内が暖まったら開ける使い方が良いのではないかと考えます。
(ただし住む方に給気口の使い方を説明する必要があります。)
●参考:1mmAq=9.807Pa
続きがあります。↓

※(注)平成21年度の改正では・・・C値の定量的な隙間相当面積の基準が削除され、気密性の確保という曖昧な基準に改正されています。
改正した根拠には「寒冷地では概ね2cm2/m2前後、それ以外の地域では概ね5cm2/m2前後と一定程度の気密性が確保されつつ状況にある。」ということから削除になったようです。しかし弊社で行った平成20年度の気密測定30棟の測定結果では2cm2/m2以内に収まる住宅は38%でした。これは次世代省エネ基準のみなし仕様で断熱材の性能をクリアして次世代省エネ基準住宅と謳っても、気密性能は測定することが義務ではないため、気密性能を高めるための施工がきちんと行われていないための結果だと感じています。
気密性能で冷暖房の効き具合を考えた時、できるだけ小さい数値が望まれます。
特に蒸暑地域では夏は冷房の使用量が増えるため、せっかく高気密住宅にしても5.0cm2/m2の気密性能では暖湿気が室内に浸入て冷房の効きが悪くなるばかりです。
何故そうなのかを具体的な例をあげて考えてみましょう。
標準的な大きさ120m2の住宅で、気密性能が単位隙間相当面積で1.0cm2/m2とします。
気積が288m3で換気量が120m3の換気量0.42回/hを計画したとします。この時の住宅換気システム使用時の内外差圧はおよそ0.7mmAqです。そこに給気口(パッコン)を5個設置したとします。(平均的な個数です。)第三種タイプの換気システムでは0.3mmAqまで差圧が下がってしまいます。
冬期の内外温度差が(外気温-10℃、室内温度20℃)30℃あった場合温度差換気により、0.3mmAqの差圧が生じてしまいます。2階建ての住宅は2階の給気口や隙間からはほとんど給気されないで、少しでも風が吹くと風下の給気口や隙間から排気されるという結果となります。
一方、気密性能が次世代省エネ基準で義務化とされていた時の2.0cm2/m2ではどうでしょうか?
この場合は内外差圧が0.2mmAqしかあがりません。この状態では2階の給気口(パッコン)から排気してしまいます。風が吹くとほとんど負圧給気が成り立たなくなるのです。室内は風任せの空気の流れができて、換気システムの本来の空気コントロールが不可能となります。(実際に2.0cm2/m2クラスの気密住宅の給気口の風量を測定してみると、風量ゼロか排気されていることが実証されます。建物の気密性能は測定機器を持っていなくても2階の給気口にタバコの煙などを当ててみる2.0cm2/m2以下の気密性能かそれ以上かの簡単診断ができます。)
一般的に使用されている給気口の隙間は12cm2くらいです。給気口を5個つけると60m2になります。
気密性能が1.0cm2/m2の住宅が、給気口をつけない気密性能が1.5cm2/m2の住宅と同じ差圧にしかなりません。自然給気、強制排気タイプの換気システムで本来の性能を発揮させるためには、給気口を含め1.0cm2/m2以下の気密性能が必要なのです。その意味では、冬期では気密性能が1.0cm2/m2クラスの住宅でも給気口が必要ないということになります。
しかし換気システムでは内外温度度がない時期もあるので、冬期間は場合によっては給気口を閉じて、ある程度室内が暖まったら開ける使い方が良いのではないかと考えます。
(ただし住む方に給気口の使い方を説明する必要があります。)
●参考:1mmAq=9.807Pa
続きがあります。↓
前段で第三種換気装置を使う時に気密性能は1.0cm2~2.0cm2の住宅の2Fでは、内外の温度差が大きい冬期間は給気口(パッコン)からほとんど給気しないことを説明しました。
しかし、冬以外の3シーズンは内外の温度差による圧力の影響がほとんどなくなり、風が強い時意外はどの給気口からも均等に給気されます。問題なのは給気口(パッコン)1個当たりの給気量はいくらになるかということになります。
例えば、延べ床面積120m²の気密住宅で給気口を2個つけ、120m3/hの換気量を取ったと仮定します。風や温度差の影響がないものだとすると、有効面積12cm2の給気口からは8m3しか給気されません。
それでは給気口からの給気量を増やすためにはどうすればいいでしょうか?
このことを考えるためには換気システムの目的は何だったのかを考えて見る必要があります。
当然の事ですが、換気システムは簡単にいうと室内の空気をクリーンにするためのもであり、そのため様々な方法が考えられますが、換気の考え方のスタートは自然換気より、局所換気、局所換気よりセントラル換気・・・といった方法の経過をたどりました。
第三種換気システムを例に考えれば、一定の給気量を取り入れ、汚染された室内空気を確実に捨てることができれば、給気がどこから入ろうと間違いなく局所換気よりは良好な空気環境を実現できます。さらに同じ換気システムを使って、より効率的(どこにあるか、わからない隙間ではなく)に室内居住空間をより良い空気にするためには、給気口からの空気の取り入れが計画的にできれば居室での汚染空気とか水蒸気を万遍なく排出することができるのです。
そのためには実は気密性を高めることが非常に重要になってくるのです。
気密性能が高くなればなるほど隙間からの給気が減り、給気口からの給気が増加します。カナダのR-2000住宅でも給気口からの給気は全給気量の半分ですので、これを目標と考えれば方法は二通りあると思われます。
一つの方法は給気口(パッコン)の有効開口面積を大きくすることです。
(大きくするということは、給気口から空気が入りやすくしてやるということになりますが、この方法は余程慎重に計画しないと、居住者からクレームを招く原因となってしまいます。
給気口の位置が悪いと冬期には寒さを感じさせてしまい居住環境を悪化させてしまうのが目に見えています。)
そこで二つ目の気密性能を上げるという方法が理にかなっている方法ということになります。
●給気口含めた隙間面積で1.0cm2/m2で気密性能でいえば給気口を閉じた状態での隙間相当面積は0.5cm2;/m2で給気口を5個つけると給気口からの給気量は1箇所(12m3/h)ですから60m3/hとなり総給気量の半分になるということになります。(気密試験の時は給気口を閉じて測定します。)
関連記事:タバコの煙で家の性能を知る!?
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しかし、冬以外の3シーズンは内外の温度差による圧力の影響がほとんどなくなり、風が強い時意外はどの給気口からも均等に給気されます。問題なのは給気口(パッコン)1個当たりの給気量はいくらになるかということになります。

それでは給気口からの給気量を増やすためにはどうすればいいでしょうか?
このことを考えるためには換気システムの目的は何だったのかを考えて見る必要があります。
当然の事ですが、換気システムは簡単にいうと室内の空気をクリーンにするためのもであり、そのため様々な方法が考えられますが、換気の考え方のスタートは自然換気より、局所換気、局所換気よりセントラル換気・・・といった方法の経過をたどりました。
第三種換気システムを例に考えれば、一定の給気量を取り入れ、汚染された室内空気を確実に捨てることができれば、給気がどこから入ろうと間違いなく局所換気よりは良好な空気環境を実現できます。さらに同じ換気システムを使って、より効率的(どこにあるか、わからない隙間ではなく)に室内居住空間をより良い空気にするためには、給気口からの空気の取り入れが計画的にできれば居室での汚染空気とか水蒸気を万遍なく排出することができるのです。
そのためには実は気密性を高めることが非常に重要になってくるのです。
気密性能が高くなればなるほど隙間からの給気が減り、給気口からの給気が増加します。カナダのR-2000住宅でも給気口からの給気は全給気量の半分ですので、これを目標と考えれば方法は二通りあると思われます。
一つの方法は給気口(パッコン)の有効開口面積を大きくすることです。
(大きくするということは、給気口から空気が入りやすくしてやるということになりますが、この方法は余程慎重に計画しないと、居住者からクレームを招く原因となってしまいます。
給気口の位置が悪いと冬期には寒さを感じさせてしまい居住環境を悪化させてしまうのが目に見えています。)
そこで二つ目の気密性能を上げるという方法が理にかなっている方法ということになります。
●給気口含めた隙間面積で1.0cm2/m2で気密性能でいえば給気口を閉じた状態での隙間相当面積は0.5cm2;/m2で給気口を5個つけると給気口からの給気量は1箇所(12m3/h)ですから60m3/hとなり総給気量の半分になるということになります。(気密試験の時は給気口を閉じて測定します。)
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