高気密住宅だから空気が汚染し結露が出る!?
これは2009年7月に2回に分けて投稿したものを引っ越しに伴って、修正、、編集していますが今年になっても同様の問題が発生していますので再投稿しています。
最近、計画換気が義務化されたのもかかわらず室内の空気が計画的に流れず空気汚染と結露に悩まされている住宅が増えてきました。オール電化住宅、高気密高断熱住宅、次世代省エネ住宅、高性能住宅とか様々な言い方がありますが基本は高気密にすることが基本の住宅です。しかし、この高気密住宅が「高気密だから室内の空気が汚染されたり、結露が出るのだ!」と言っている人がいます。
しかし,本当に高気密と呼べる住宅はどのくらいあるのでしょうか?
日本全国では何%あるでしょうか?
調査データーがないのでわかりませんが東北地方で私が何らかで係わった住宅では高気密と呼ばれる棟数は10%にも満たないのです。

殆どは、気密性が低く、換気設備が義務化で設置されていても正常に機能していないか、電気代がもったいないと言って止めている住宅です。あるいはマンションのように一定の気密性があるにもかかわらず計画換気が義務化になる前のマンションで換気の配慮がされていない住宅です。
つまり換気がついているが換気の機能が100%は働くように配慮されていない住宅が問題となっているのです。(建築確認申請上では0.5回/hあって合格の筈ですが実測値ではないので問題が残ります。調べる必要があります。)高気密という言葉の意味が人によってまちまちで、言葉だけが一人り歩きしているために、「高気密住宅」が悪者になってしまう側面があります。
住まいと言う屋外から区切られた器の中で人が生活すると、衛生環境は悪化します。塵や埃、油汚れが溜まり、空気も汚れます。また、建材とかタンス等からも汚染物質が排出されます。気密性が高い低いにかかわらず、掃除をし換気を図らないと室内は汚れます。
では何故?空気の汚れが問題となっているのでしょうか?
計画換気が義務付けになったことによって室内の環境が義務化になる前より、室内の環境は良くなったのでしょうか?
計画換気の義務化はシックハウス防止を目的に改正された建築基準法ですが、一般住宅、マンションでは公共の建物と違って完成後(引き渡し時の)換気の給排気量の実施の義務化にはなっておりません。そのため、建築確認申請に添付する「居室毎の機械換気設備」の用紙に各部屋毎の気積と換気の種別と排気量と換気回数を記入して提出することで(書類上でのチェックはされますが・・・・)OKとなります。
書類上はOKであっても実際に換気の排気量が申請通りになっているか実測検証されないため、多くの住宅、マンションの換気排気量は申請通りに確保されていない例が現実が多くあります。では、実測して申請通りの換気排気量があればいいのか?と言うと実は、これも問題があるのです。換気を実測していても排気側だけ測定して給気側を測定しなければ、これもまた十分ではありません。
排気側だけの測定であれば換気のモーター本体の能力をチェックするだけになってしまいます。若し、確認申請用の換気用の書類の排気量と同等以上の換気量であればOKのような気がしますが、本来居室から計画的に外気を導入されているかこれではわかりません。建物全体として考えれば何処から外気が導入されているかわからないけれども一応、換気回数は合格だということになるわけです。

開口部廻りの気密施工不良が温度差でよくわかる。
貴方の寝室の給気口からは外気は一切入ってこないかもしれません。
では、どうするか?それは給気口の給気風量を測定する必要があることの他に気密性能を高める必要があることなのです。(例えば、隙間相当面積が0cm2/m2の場合は吸気量=給気料となる筈です。)実際には隙間相当面積に比例して隙間が増えることで給気口からの給気は減っていきます。
以前に隙間相当面積は1.0cm2/m2以下にした方がいいという記事を書きましたが、こんなことが大きく関係してくるのです。最近、計画換気がついているのだけれども、室内の空気が悪いようだとか。結露が出る・・・という相談が増えてきました。
隙間が多いと換気を計画的にはできないため
①室内の相対湿度が上がり、特に給気口がある部屋に、冬だけではなく夏も結露が発生してカビやダニに悩まされることがよくあります。
②隙間が多いと外風圧に左右されて換気回数にバラツキ(多くなるため)が出るため暖冷房費が思ったよりかかってしまいます。
それではどうすすればいいのか?・・・というと
①隙間相当面積を1.0cm2/m2以下になるように気密化を図る。(必ず気密測定をする。)
②換気システムの排気能力がカタログの数値だけでなく実質施工状態で排気能力があるものを設置して換気の給排気の風量測定をする。といったことがポイントになります。
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