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住まい環境プラニングは国内唯一の高気密性能を担保できる気密施工マイスターを育成する設計事務所です。 高性能住宅の熱環境分野に携わって28年、理論と実体験に基づいて省エネ住宅の開発研究、普及に努めております。住宅に大切な結露対策は得意分野、結露のトラブルも解決いたします。

夏の暑さを防ぐために(植樹、塀などの効果)

前回は「夏の暑さを防ぐには庇が効果があるか?」では庇の出が長いほど窓に入る日差しをカットすることができ、夏の暑さから逃れることを説明いたしました。

一方、冬には庇がない方が日射を住宅内に多く取り込むことができ、暖房費を節約することができるメリットがあります。特に高気密・高断熱住宅は、住宅内の熱を外に逃がしづらい性質があるため、日射を効率的に利用することができ大きな省エネ効果を得ることができます。

562zgmwnji4mdf_fa.jpgところが
午後12時頃の太陽高度が一番高い時刻では
庇のような日射遮蔽物は有効に働きますが、
14時以降の太陽高度が下がってくる時刻では、
庇だけでは十分な日射遮蔽を行うことができないのです。

●左写真は我が家の遮光ネットで西日をカットしている様子
特に温暖な地域では夏の日射をより多く遮る工夫をしないと日射が入りオーバーヒートを起こしてしまい冷房なしで生活することができません。高断熱・高気密住宅は少ない冷房エネルギーで賄えるにしても結果的に冷房に頼ることになります。

特に夏の西日は庇だけでは日射遮蔽できません。

562kweoypbeywfhzzq.jpgそこで、その対策として昔ながらの知恵!・・・南や西面に広葉樹を植樹する工夫をするようにしましょう。広葉樹を家の周囲に植えることで(特に窓の前に植える。)太陽高度が下がってくる時刻の日射を和らげることができます。

日射遮蔽による影の位置は、緯度・経度や季節・時刻によって刻々と変わってきます。夏の日射を遮り、冬の日射を取り入られるような位置に、広葉樹などの日射遮蔽物をおくことができれば、省エネには効果的です。(主に昔の農家にあるような茅葺の家の周囲には防風林、防雪林が植えてあって庭にも梅や柿などのシンボルツルー等が植えてあって、それが夏の日差しを遮ることになっていたのです。

夏のカンカン照りの午後でも家の中は(通風もよく日差しが少ないので)とても涼しく昼寝ができたものです。)

左の図は上から見た遮蔽物の効果をイメージしています。
左の青色線は窓を表し、赤線は遮蔽物を表し、
灰色ゾーンは右に太陽があり遮蔽物があるため日蔭をイメージしています。

計算条件は●8月8日
●庇の出は350mm●遮蔽物(木、簾、垣根等)高さ3m、●窓と遮蔽物の距離は2m


上図から順序に
①午後12時

②午後1時

③午後2時

④午後3時

⑤午後4時の遮蔽物の効果をイメージしています。

前回の「夏の暑さを防ぐために庇の効果」では午前11時45分頃から庇の効果がなくなり日射が入るが、この遮蔽物のお陰で午後1時には窓の半分を日射を遮ってくれていることを教えてくれます。 

この遮蔽物が広葉樹であれば冬には葉が落ち、簾のように取り外しが可能なのものであれば冬の日差しは十分入ることになり、今度は冬の暖房の手助けをすることになります。

※家を建てる計画では
除外されがちな外回り庭の木々などの遮蔽物は夏は冷房なしでも涼しさを得る効果があるので予算の中に組み入れるようにましょう!


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theme : 建築
genre : 学問・文化・芸術

Comment

Secret

コメントありがとうございます。

■■■Take the 'R' Bike■■■さん
コメントとリンクありがとうございます。
本来、高断熱・高気密住宅を建てる目的は壁内結露の防止のためなのですが北国では内外の温度差が大きく、また結露が発生しやす環境にあるため高断熱と高気密化は必要なものになっています。しかし、日射取得とか日射遮蔽を意識して建てられるパッシブ的な考え方が私が住む地域でもそう多くはないのが現状です。次世代省エネ基準を軽く超える(Q1住宅のようなハイレベルな住宅)の建設が増えてはきているもののパッシブ的な住宅の設計あるいは施工するハウスビルダーが思ったよりはそう多くはありません。結果、高断熱・高気密住宅は冬は暖かく快適であるが、夏はエアコンをガンガン効かせないとオーバーヒトを起こすというクレーム住宅が増えています。
高断熱と高気密化ブログで投稿しているように、とても重要なことなのですが■■■Take the 'R' Bike■■■のように通風、日射取得、日射遮蔽を考慮して風と太陽をコントロールする設計、施工が基本で建てられると、アクティブな暖冷房機器に頼らなくても、太陽と風と生活発熱だけで四季を通じてとても快適な住宅ができます。
■■■Take the 'R' Bike■■■さんのブログは↓
> http://blog.goo.ne.jp/avanti-clinic/e/3bde76b202b868f1eb4b686dba5445f5

お久しぶりです!

家の設計段階で、高気密・高断熱を考えていた時に全ページ印刷して検討するくらいに参考にさせていただきました。
結果的には、南九州の我が家には高気密・高断熱は必要ないと判断して採用しませんでしたが・・・。
理由はブログで書いていますが・・・。

風の通る家を最優先しました。
自分で設計して、トコトン追及して今年4月には完成。
現在のところ、目論見通り風、光のコントロールが出来て快適な家となったと思います。
(ウチも軒、庇がありますが、それに加えて通風機能付の外部シャッター、角度調整付の外部ルーバーでコントロールしています。)
今回の記事大変参考になりますので、私のブログにもリンクはらさせていただきました。
本当に家を建てる方は絶対に必見のブログだと感心しました。
プロフィール

昆寛(コン ヒロシ)

Author:昆寛(コン ヒロシ)
住まい環境プランニング(同)
(高性能住宅設計:技術顧問)

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