: 室内気候から考える断熱技術
●これは2006/8/12、14の二回分けてに投稿したものです。
ブログの引っ越しに伴って、記事が分散してあるものを集約し読みやすいように修正編集して再投稿になっています。
室内の温熱環境と空気の質は家の断熱・気密・換気・暖冷房によって大きく左右されます。
この断熱、気密の分野は目視で簡単に性能の善し悪しを見分けることができないためやっかいです。
そのため、設計の段階からデザインされていなければなりません。
やり直しが難しいだけに、しっかりと施工することが快適な住環境のデザインに繋がります。
■快適の基本は断熱技術にある。

●写真は高性能でありながらローコスト住宅を実現している。
外断熱仕様でコスト削減のため、内装(天井、壁)の仕上げなしで施工された例
予め、屋根、壁に構造用合板を貼り、その上に(外側に)プラスチック系断熱材を外張りしたもの。
暖房はピーエスHRヒーター,
換気は第三種換気システム
Q値=1.7W/㎡・k
隙間相当面積C=0.2c㎡/㎡
断熱の方法は大きく分けて内断熱と外断熱の二つがあります。
数年前からQ値1W/㎡・K以下を目指す外断熱と内断熱の複合工法が注目を浴びています。
二つの断熱の目的はもちろん室内と室外の熱の隔てになって、熱を混ぜない、逃がさないということにあります仮に在来の大壁づくりの場合は壁の厚さ105mm~120mmあるので、その分の厚さ分がデッドスペースになります。
細かくいえば、その分が不経済といえるかもしれません。
ただし、蓄熱体として利用できる上、内装材を後で自分で取り付けることもできるメリットがあります。あるいは仕上げをせずにそのまま利用したり、壁の厚さ分の隙間を利用して棚をいくつも作ることができます。
暖房、冷房を考えた場合は内断熱の方が内側にくる構造材が少ないので熱の立ち上がり早いのが特徴で、外断熱の場合は壁の隙間分の容積が少し大きいので暖まるまで時間がかかります。
※勿論、ある一定の時間が経てばどちらも変わらない環境になります。
内(充填)断熱でも、基礎を外断熱して土間にコンクリートで作れば蓄熱体として利用する方法がとれますし、外断熱でも敢えて床断熱をすれば少しは立ち上がりを早めることも可能です。もちろん、ドアや開口部は断熱仕様のものが要求されます。
断熱は気密と一体でなければ、その暖冷房の効果はかなり落ちてしまいます。防湿層でもある気密層は、室内の湿気を壁の中に入れて構造材を腐らせないためにも必要なのです。
気密を行えば当然空気の質のためには計画換気が必要となります。
新鮮な外気を計画された給気口から取り入れて,汚れた空気を一括して排出する計量排気型換気システムか、新鮮な空気をファンで吸って、強制的にダクトで室内に回し、汚れた空気も一括してファンで排気する熱交換気システムがあります。
■自然の力の冷暖房
断熱気密は器でしかありません。部屋を快適温度にするためには、暖房や冷房は必要になってきます。
また、機械だけではなく自然のエネルギーを上手く利用できれば、経済的ですし自然環境の保全にも効果的です。
暖冷房を考える場合は最初に自分が建てる家に、どんな熱を環境からもらえるかをチエックします。東西南北、隣接する家との関係、周囲の自然(木々、川、公園等)、暖房や冷房が必要なのはいつくらいからか?立地条件を生かす工夫を考えます。

庭の手入れが苦手な人は、あらかじめ南、西面の庇を深くしたり、簾を設けたり、雨戸を設けたり(断熱雨戸)といった日射を防ぐ方法があります。
冬場はいかに日差しを室内に取り込むかがポイントとなります。
南面の窓を大きくするのが一番効果的なのですが、反面夜にはせっかく取り込んだ熱を逃してしまいます。
これを防ぐには断熱雨戸をつけるか、冷気防止にパネルヒーターを設置するととてもGOODです。
■蓄熱体でさらに効果をあげる。
自然の熱は、それだけ有効なのですが、冬の日差しの暖かさを夜までキープできたら、もっと都合がいいことになります。断熱された空間の建材は大きい小さいの差はありますが、蓄熱することができます。

冬は太陽の熱を床を通して、蓄熱して、温度が下がってくると放熱をしたり、夏には夜から朝の冷たい熱を蓄熱して、暑い夜は冷たい(温度が室内より低い温度)を放熱します。しかし使い方を間違えると逆に凶器になってしまいます。
夏、太陽の日差しをプールサイドのコンクリートのように蓄えてしまえば、涼しくなった夜には放熱して、寝苦しい環境を作ることなってしまいます。夏はむしろ太陽から隠せるように作らなくてはなりません。
そのためには基礎の立ち上がりには外部側に断熱材を貼りつけてモルタルで仕上げるのが一般的ですが、最近では意匠性も考えて断熱材と化粧性のある仕上げ材のい一体成形板も販売されているので予算が許せば使うことお勧めいたします。

金額的には高くないのでその地域の風の通りを考えて設置すると夏のはさらに涼しさを自然的に取り入れることが可能です。
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