夏を快適に過ごす方法(2)
作年の夏は記録的な猛暑となりましたが、気象庁の長期予報は今年も平年より気温が高くなり、『暑い夏』になるとの予想です。
そこで、夏の暑さ対策として効率がいい「夏を快適に過ごす方法は?」のご質問がありましたので・・・を考えてみましょう!
Q:これから家を新築する場合、快適に過ごせる家にするには、どんなことに注意したらよいでしょうか?
A:次世代省エネルギー基準以上に対応させることが大前提です。
熱に関する数値をチェック!
暑さ、涼しさの基準は感覚的なものですが、家も車と同じように科学的に数字(スペック)で表わすことができるようになりました。これから家を建築されるなら、次世代省エネルギー基準以上の性能を満たした家にしましょう。
住宅の省エネ性能を表す指標としては、熱の逃げやすさを示す「熱損失係数(Q値)」と日射の入りやすさを表す「日射取得係数(μ値)」という2つの指標があります。主に前者は冬の暖房用の指標で、後者は夏期における係数を冷房用の指標として用いており、どちらも数値が小さいほど住宅の省エネ性が高いことを表します。また、その他にも「相当隙間面積(C値)」という1平方メートルあたりの隙間を表した数値があります。この値は小さいほど気密性が高くなります。

気密性の測定風景。デザインや床面積が同じでも、すべての住宅は現場で手作りなので1棟づつ、気密性能も違ってくる。
高断熱・高気密住宅は、日射エネルギーが少しでも室内に入ると室温が上昇する傾向があります。オーバーヒート状態になる前に、太陽エネルギーが入りすぎないよう、庇(ひさし)や軒で日射しをコントロールすることが重要です。また、生活するうえで発生する熱で室温は8℃以上も上昇します。この熱を速やかに排出するために、天窓やハイサイドライなどの熱気を排出させる排熱機構をきちんと設計しましょう。ちなみに天窓やハイサイドライがあると、夜間に屋外で冷やされた空気を冷蓄熱として屋内の蓄熱層に取り込み、涼しくする効果も得られます。
気をつけたいのは、「熱損失係数(Q値)」が小さくても軒の出が小さかったり、窓上に庇がないなど、「日射取得係数(μ値)」の数値が大きいと、部屋が暑くなってしまうことです。これでは「冬あたたかく、夏も暑い家」になってしまいます。夏を主体として考えることで、「冬あたたかく、夏涼しい家」が実現できます。「熱損失係数(Q値)」、「日射取得係数(μ値)」、「相当隙間面積(C値)」などがきちんと測定、掲示される工法を選ぶようにしましょう。

夏と冬で日差しの入り方が変わることにも注意。庇の長さは実際の採光状況から判断したい。
また、上の各数値だけでなく、換気システムの風量測定も大切です。先に「0.5回/hの計画換気が義務づけられている」といいましたが、これは換気システムの能力や部屋の容積などを元に計算して、書類に記入するだけで、換気風量の実測は義務ではありません。

換気システムの排気量の測定風景。天窓も排熱に効果的なアイテム
実測せずに書類だけで済ませてしまうケースが多いため、換気不足による結露やシックハウスのトラブルが増えています。ですから家を建てる際は、必ず換気風量を実測し、0.5回/hの計画換気が実現できているか確認しておきたいものです。
夏を快適に過ごす方法(3)に続きます。
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そこで、夏の暑さ対策として効率がいい「夏を快適に過ごす方法は?」のご質問がありましたので・・・を考えてみましょう!
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暑さ、涼しさの基準は感覚的なものですが、家も車と同じように科学的に数字(スペック)で表わすことができるようになりました。これから家を建築されるなら、次世代省エネルギー基準以上の性能を満たした家にしましょう。
住宅の省エネ性能を表す指標としては、熱の逃げやすさを示す「熱損失係数(Q値)」と日射の入りやすさを表す「日射取得係数(μ値)」という2つの指標があります。主に前者は冬の暖房用の指標で、後者は夏期における係数を冷房用の指標として用いており、どちらも数値が小さいほど住宅の省エネ性が高いことを表します。また、その他にも「相当隙間面積(C値)」という1平方メートルあたりの隙間を表した数値があります。この値は小さいほど気密性が高くなります。

気密性の測定風景。デザインや床面積が同じでも、すべての住宅は現場で手作りなので1棟づつ、気密性能も違ってくる。
高断熱・高気密住宅は、日射エネルギーが少しでも室内に入ると室温が上昇する傾向があります。オーバーヒート状態になる前に、太陽エネルギーが入りすぎないよう、庇(ひさし)や軒で日射しをコントロールすることが重要です。また、生活するうえで発生する熱で室温は8℃以上も上昇します。この熱を速やかに排出するために、天窓やハイサイドライなどの熱気を排出させる排熱機構をきちんと設計しましょう。ちなみに天窓やハイサイドライがあると、夜間に屋外で冷やされた空気を冷蓄熱として屋内の蓄熱層に取り込み、涼しくする効果も得られます。
気をつけたいのは、「熱損失係数(Q値)」が小さくても軒の出が小さかったり、窓上に庇がないなど、「日射取得係数(μ値)」の数値が大きいと、部屋が暑くなってしまうことです。これでは「冬あたたかく、夏も暑い家」になってしまいます。夏を主体として考えることで、「冬あたたかく、夏涼しい家」が実現できます。「熱損失係数(Q値)」、「日射取得係数(μ値)」、「相当隙間面積(C値)」などがきちんと測定、掲示される工法を選ぶようにしましょう。

夏と冬で日差しの入り方が変わることにも注意。庇の長さは実際の採光状況から判断したい。
また、上の各数値だけでなく、換気システムの風量測定も大切です。先に「0.5回/hの計画換気が義務づけられている」といいましたが、これは換気システムの能力や部屋の容積などを元に計算して、書類に記入するだけで、換気風量の実測は義務ではありません。

換気システムの排気量の測定風景。天窓も排熱に効果的なアイテム
実測せずに書類だけで済ませてしまうケースが多いため、換気不足による結露やシックハウスのトラブルが増えています。ですから家を建てる際は、必ず換気風量を実測し、0.5回/hの計画換気が実現できているか確認しておきたいものです。
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