夏を快適に過ごす方法(1)
作年の夏は記録的な猛暑となりましたが、気象庁の長期予報は今年も平年より気温が高くなり、『暑い夏』になるとの予想です。
そこで、夏の暑さ対策として効率がいい「夏を快適に過ごす方法は?」のご質問がありましたので・・・を考えてみましょう!
Q:エアコンを使っているのに部屋がうまく冷えてくれません。何が悪いのでしょう?
A:エアコンを使う前に防暑対策をしましょう。
いくらエアコンを強く効かせても、外から熱が入ってきたら意味がありませんし、空気を排出できなければ熱気はたまる一方です。暑さ対策の基本、「日射しの遮蔽(しゃへい)」、「熱気の排出」、「低温外気の導入と低温の保持」の3つをマスターして、エアコンに頼らない暑さ対策を心がけましょう! では、その3つの基本を解説していきます。
(1)日射しの遮蔽(しゃへい)
昼間でもカーテンやブラインドをして日射しを防ぐことは、ここ数年、省エネの観点から知られるようになりましたが、実はブラインドは外につけたほうが効果的です。室内ブラインドでは、熱の大部分が室内に入ってしまいます。いったん室内に入ってしまった熱は、天井や壁、床を暖めてしまうので、簡単には排出できません。可能な限り、ブラインドは外につけましょう。
マンションやアパートで外ブラインドが難しい場合は、園芸用の遮光ネットが効果的です。ベランダの物干しなどに設置するだけで、簡単に日射しを遮蔽できます。ホームセンターなどで購入できるので、お手軽かつ安価にできる対策です。
左図:窓の内側にブラインドをつけた場合、カットできる熱は40%程度。一方、外側に取り付けた場合は90%もの日射熱がカットできる。

写真:園芸用の遮光ネットは、もっとも低コストで日射しをカットできる方法。色や網目のデザインは好みのものを選べる
(2)熱気の排出(内部発熱、日射熱の速やかな排出)
室内に侵入した日射熱や、生活する上で発生する生活熱で暖められた空気は室内にこもります。生活熱だけでも室内を8℃以上も上昇させるといわれます。この熱い空気を速やかに排出することが室内を爽やかに保つ基本となります。
まず、室内で熱を発生させないことが大切です。中でも無視できないのが、家電製品からの熱。具体的にはパソコンの表面温度が40℃、冷蔵庫が30℃、電気ポットが45℃といった具合です。使わない家電製品は主電源を切り、熱を出さないように工夫するのがポイントですね。家庭の中には、使われていないのに主電源の入った家電製品が意外と多いもの。省エネの観点からも、一度見直してみるといいでしょう。
熱気を排出する方法は簡単です。計画換気が義務付けられた2003年以降に建てられた建物では、24時間換気システムを利用します。計画換気では0.5回/hの換気が義務付けられていて、2時間で室内の空気がすべて入れ替わります。それ以前に建てられた建物では、夜間と朝方にレンジフードやトイレ、風呂場などの換気扇を回すことで熱気を排出できます。特に、レンジフードの換気扇はかなりのパワーがあるので、使わない手はありません。
左写真:パソコン周りにはモニターや携帯電話の充電器など、熱源が多数集まっている
(3)低温外気の導入と低温の保持
外から入ってくる外気にも気をつけましょう。外気はどこから入ってきてもいい、というわけではありません。入ってくる方位や高さによっては熱気を取り込んでしまって、室内を暖めてしまうことになります。外気が比較的低温の北側の窓や、日陰側の窓を利用しましょう。
日陰側と日向側では10℃もの温度差があります。日陰側から日向側に風を通すのが理想です。鉄筋のマンションでは気密性が高いので、北側の窓を開けて外気を取り入れ、南側の窓を開けて、扇風機を外向きに回して熱気を排出させます。
●エアコンの目的は湿度を下げること!
熱気を排出させたら、あとはエアコンです。暑さ寒さの体感は相対湿度に関係がありますから、熱気を排出させたらエアコンを使って湿度を下げます。設定温度は26~28℃が基本です。冷房病にならないためにも、低すぎない温度設定を心がけましょう。外気温との差が5℃以内になるようするのがポイントです。
また、2階建ての家の場合は、扇風機を天井に向けて回すと2階にも涼しさを取り入れることができます。ただし、室内の粉塵も撒き散らすことになるのでほどほどに。
夏を快適に過ごす方法(2)に続きます。
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そこで、夏の暑さ対策として効率がいい「夏を快適に過ごす方法は?」のご質問がありましたので・・・を考えてみましょう!
Q:エアコンを使っているのに部屋がうまく冷えてくれません。何が悪いのでしょう?
A:エアコンを使う前に防暑対策をしましょう。
いくらエアコンを強く効かせても、外から熱が入ってきたら意味がありませんし、空気を排出できなければ熱気はたまる一方です。暑さ対策の基本、「日射しの遮蔽(しゃへい)」、「熱気の排出」、「低温外気の導入と低温の保持」の3つをマスターして、エアコンに頼らない暑さ対策を心がけましょう! では、その3つの基本を解説していきます。
(1)日射しの遮蔽(しゃへい)
昼間でもカーテンやブラインドをして日射しを防ぐことは、ここ数年、省エネの観点から知られるようになりましたが、実はブラインドは外につけたほうが効果的です。室内ブラインドでは、熱の大部分が室内に入ってしまいます。いったん室内に入ってしまった熱は、天井や壁、床を暖めてしまうので、簡単には排出できません。可能な限り、ブラインドは外につけましょう。

左図:窓の内側にブラインドをつけた場合、カットできる熱は40%程度。一方、外側に取り付けた場合は90%もの日射熱がカットできる。

写真:園芸用の遮光ネットは、もっとも低コストで日射しをカットできる方法。色や網目のデザインは好みのものを選べる
(2)熱気の排出(内部発熱、日射熱の速やかな排出)
室内に侵入した日射熱や、生活する上で発生する生活熱で暖められた空気は室内にこもります。生活熱だけでも室内を8℃以上も上昇させるといわれます。この熱い空気を速やかに排出することが室内を爽やかに保つ基本となります。
まず、室内で熱を発生させないことが大切です。中でも無視できないのが、家電製品からの熱。具体的にはパソコンの表面温度が40℃、冷蔵庫が30℃、電気ポットが45℃といった具合です。使わない家電製品は主電源を切り、熱を出さないように工夫するのがポイントですね。家庭の中には、使われていないのに主電源の入った家電製品が意外と多いもの。省エネの観点からも、一度見直してみるといいでしょう。
熱気を排出する方法は簡単です。計画換気が義務付けられた2003年以降に建てられた建物では、24時間換気システムを利用します。計画換気では0.5回/hの換気が義務付けられていて、2時間で室内の空気がすべて入れ替わります。それ以前に建てられた建物では、夜間と朝方にレンジフードやトイレ、風呂場などの換気扇を回すことで熱気を排出できます。特に、レンジフードの換気扇はかなりのパワーがあるので、使わない手はありません。

(3)低温外気の導入と低温の保持
外から入ってくる外気にも気をつけましょう。外気はどこから入ってきてもいい、というわけではありません。入ってくる方位や高さによっては熱気を取り込んでしまって、室内を暖めてしまうことになります。外気が比較的低温の北側の窓や、日陰側の窓を利用しましょう。
日陰側と日向側では10℃もの温度差があります。日陰側から日向側に風を通すのが理想です。鉄筋のマンションでは気密性が高いので、北側の窓を開けて外気を取り入れ、南側の窓を開けて、扇風機を外向きに回して熱気を排出させます。
●エアコンの目的は湿度を下げること!
熱気を排出させたら、あとはエアコンです。暑さ寒さの体感は相対湿度に関係がありますから、熱気を排出させたらエアコンを使って湿度を下げます。設定温度は26~28℃が基本です。冷房病にならないためにも、低すぎない温度設定を心がけましょう。外気温との差が5℃以内になるようするのがポイントです。
また、2階建ての家の場合は、扇風機を天井に向けて回すと2階にも涼しさを取り入れることができます。ただし、室内の粉塵も撒き散らすことになるのでほどほどに。
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