外断熱と充填断熱の複合工法(外張工事、窓周り工事)
これは2007年11月に5回に分けて投稿したものを引っ越しに伴って、修正、訂正、編集して読みやすいように2回にまとめて再投稿しています。今日はその2です。
4年前の投稿記事ですが断熱・気密の施工マニュアルの基本は今でも変わらないので参考にして下さい。
外断熱と充填断熱の複合工法 (外張り(屋根)工事)
前回は先張りシート施工を説明いたしました。
充填断熱(内断熱)の気密住宅としての施工方法は合板で気密を取る場合と気密防湿シートで取る方法があります。
今回は外断熱との併用ですから外側はキュウワンボードと気密パッキンでしっかりと気密を確保し、内側は充填断熱のエコプロファイバーを充填し気密シートで外内とダブルで気密を確保します。
つまり外部からの隙間、内部からの隙間をできるだけ少なくして水蒸気の透過をできるだけ防ぎW結露防止をしようというものです。
さて・・・・
アキレスキュウワンボード50mmを外張りする準備ができました。
その施工内容は以下のようになります。

2・タル木にサンゴバンの気密パッキン(ノルシールV754)45mm幅を貼り付けます。
キュウワンボードの寸法は910mm×3.030mmですので910mm幅に気密パッキンを貼り付けます。
3・拡大すると・・・・このように気密パッキンを貼り付けます。
(棟木の上には先張りのシートが見えています。)
4・次にキュウワンボード50mmを貼り付けます。
取り付けはいったん釘で仮止めをして本止めは二重タル木の上からビスで締めつけ取り付けします。こうすることで気密パッキンが圧縮されてタル木とキュウワンボードの間は隙間がなくなり気密化を図ることができます。
さらにボードとボードの接合の上には気密防水テープをしごきながら貼り付けます。気密を二重に内外から施工する方法です。一般的に多くの外張り工法は気密パッキンを使わないで気密テープだけで施工されるケースがありますが抑えがないために剥がれの原因になり、時間とともに気密が取れなくなる場合があるので注意が必要です。
5・棟の部分のボードとボードの接合部は敢えて10mm程度のクリアランスを取り、そこに一液性のハイプレンフォームで充填して断熱補修と強固な接着を図り、その上に気密テープで保護します。
6・屋根のキュウワンボードの外張りが完成した様子です。
●次は窓が取り付けられ、外壁の外張り工事へと進んで行きます。
外断熱と充填断熱の複合工法 (窓取り付け工事)
前頁は気密シートの先張り施工状況と屋根の外張り施工の説明でした。
次に外壁のキュウワンボードを施工する前の「窓の取り付け方」についての説明です。

気密漏れは主に土台廻り、棟廻り、開口部、隅廻りに集中します。
そこで開口部の気密処理は二重に気密を確保するのです。また、室内側からは気密シートで開口部廻りを気密処理をするので三重の気密処理になります。
(そこまで必要ないのではないのか?と言われそうですが気密テープ、気密パッキンの価格は高くはないので、ちょとした気遣いと手間をかけるだけで気密性能がグ~ンと上がるので参考にして下さい。)
さて、その施工方法は・・・・・・↓

②次に外張りの断熱材(キュウワンボード)は厚さが50mm+通気胴ブチ+外壁材の厚さを考慮して窓台にふかし枠を取り付けます。ビスで締めつけて取り付けますので→隙間はゼロとなります。一般的の外張り工法ではこの部分は気密パッキンなしでそのままふかし枠を取り付けます。
③次にサッシを取り付ける前にふかし枠の上に再度気密パッキン(ノルシール)を貼り付けます。
写真の→がその気密パッキンです。
④サッシを取り付けた上枠を見た状態です。
→が気密パッキン(ノルシール)ですがサッシ枠をサッシ釘で取り付けています。
⑤さらに④の状態に・印ののように窓上の断熱材の隙間と三重に気密を図るためにサッシの耳の上からも気密テープでしごくように貼り付けます。
⑥下枠部分も縦枠部分も同様に気密処理をします。
これで開口部廻りからの隙間を防ぐことができます。
外断熱と充填断熱の複合工法 (キュウワンボード取り付け)
前項は「窓の取り付けの気密処理についての説明でした。
今度はは外壁のキュウワンボードを施工の説明です。

この部分はキュウワンボードのジョイント部分になります。

貼ったジョイント部分の上には今度はクリア色の気密テープを貼り付けます。
つまり、断面で言うと木下地+気密パッキン+キュウワンボード50mm+気密テープの構成になります。
さらに気密化を強固にするためにジョイント部分を通気胴ブチをビスで締めつけてキュウワンボードの施工は完了となります。
さて、
その他の部位の気密を確保しなければならない箇所はどんなところでしょうか?
外張り工事で気密を図るポイントは当然ですが断熱材の平面部分は硬質であることと、表裏面が気密防湿の役目を果たすアルミが蒸着されているので穴をあけない限りは隙間はゼロになります。
そうするとそれ以外の気密処理はどんな所にあるのか?
それは、すべて外張りボード同士のジョイント部分です。
前項では屋根の外張りは棟の部分でした。
また天窓の周囲にも気をつけなければなりません。
それ以外と言えば基礎断熱と外壁部分の断熱材との取り合い部分これは要注意です。

これは基礎の断熱材と外壁の断熱材を突き付けて仮止めした後に外壁の断熱材をVカットしてその隙間に一液性ウレタンを隙間に注入します。
その後に気密テープで保護します。
(この部分の気密はテープではなくウレタンで取る所がポイントです。テープは剥がれる可能性がありますがW処理をします。この上にはさらに剥がれないように水切取り付けのためにその上に木下地材が打ちつけられてテープの剥がれを防いでくれます。
一昔前は基礎断熱材の上ににブチル系のシーリングを乗せてその上に外壁の断熱材を突き付け密着させていましたが小さな隙間に入らない場合があって、気密漏れを起こしていました。現在は発砲するウレタン材を採用しています。

私は敢えて写真のように下の施工状況が良く見えるテープを使います。
そのため、見えすぎて隙間などの欠損はウレタンで補修のため見た目は奇麗ではありません。
当然ですが仕上材ではないので見た目より性能を重視にします。
これは屋根タル木と外壁の断熱材との取り合い部分です。
一般的に外張り工法の場合は二重タル木の納まりになるため、このようなタル木の複雑な周囲を気密処理をすることがありません。
しかし、
今回の現場は軒先の積雪加重対策と化粧性を考えて二重タル木にしていません。
そのため、写真用のようにタル木周囲を外部側から気密テープで隙間がないように貼り付けます。クリア色のテープのため隙間があるように見えますが隙間はありません。
その隙間に室内側から一液性のウレタンを隙間に注入して完了です。十分隙間にウレタンが入ったかはクリ色のテープのため外部側から確認できます。
写真は屋根も葺き終わり、外壁の外張りも完了した様子です。
外断熱と充填断熱の複合工法 (間仕切り壁の先張り)
外断熱と充填断熱の複合工法の住宅になると高気密・高断熱住宅を手掛ける施工者の殆どは外断熱派か内断熱派に分かれていますので(施工経験がないと)どちらかに偏った気密施工になりやすく気密性能が低下する懼れがあるので注意が必要です。
次世代省エネ基準からその上のQ1(キュウワン)住宅という熱損失係数Q値が1.0W/m2・Kクラスの高性能な住宅を建てようとすると断熱材の厚みを今以上に必要とするためにどうしても両工法の合体工法にしなければ難しくなってきています。
そのため、在来軸組構法の外内断熱工法の場合はこの先張りシートの施工は大変重要な隠れた施工になります。

写真はその重要な先張りシートを(●ー●は間仕切り壁が作られる)外壁側の柱に先張りシートを取り付けます。
こうすることで気密防湿シートが連続させることができます。
今までの先張りシート施工状況を動画風に写真をUPいたしましたので参考にご覧下さい。
次回は充填断熱材の自然素材「エコプロファイバー」について解説いたします。
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