外断熱のビフォーアフター(調査)
この記事は2007年4月に3回に分けて投稿したものを引っ越しに伴って、修正、訂正、編集して読みやすいように一つにまとめております。
4年前の投稿記事ですが断熱・気密の施工マニュアルの基本は今でも変わらないので参考にして下さい。
およそ90坪の外断熱で建てられた住宅のリフォームに挑戦です。
この外断熱工法はスタイロフォームの2層張りになっていて所謂、SHS工法・・・気密評定工法に認定されている工法です。
私がこの道に入ったきっかけはこのSHS工法でしたので非常に愛着があります。
そうであれば、この住宅は高気密、高断熱仕様の建物の筈です。
当時流行りで導入されていた熱交換暖房器システム(換気システムと暖房器がセットされれたもの)が設置されています。
しかし、この暖房器のランニングコストが5~6万円かかるということで、暖房のランニングコストを抑えることと、ご主人がお休みになる部屋は外部からの音をシャットアウトする防音にしてほしい・・・との希望からの外断熱のビフォーアフターのための調査開始です。
この工法の長所、短所は知り尽くしているつもりですが
「なんで・・そんなに暖房費がかかるのか?
・・・・とても不思議なのです。

写真左は2Fの軒天(入れ隅部分)が結露に侵されている。
写真右は玄関付近から撮影した前景(屋根は瓦、外壁はモルタル塗装仕上げ)
そこで、どうして暖房費が多くかかるのか調査をすることにしました。
そのためには、先ず建物の隙間がどのくらいあるのかを調べる気密測定を行うことにしたのでした。

しかし、隙間が多すぎて圧力がかからないため測定できません。
フル回転させても2パスカルしかかからないのです。
そこで
何処に隙間があるのか・・・その状態で隙間探しです。
「あっ!・・・ありました!」
レンジフードに問題があることを発見です。
そのレンジフードは同時給排型ではなく排気型タイプなのです。
(給気口はなく排気口だけがある一方通行のフードです。シャッターがなく使用しない時はこの部分が給気口になってしまいます。一方、同時給排型は給気する部分と排気する部分の2箇所の口があり、使用していない時はシャッターで閉まっており、給気口とならない。高気密仕様に開発された商品になっています。)
そこで正式にはフードを塞いで測定することはダメなのですが、この部分をガムテープで塞いで、もう一度気密測定です。
それでも・・・圧力がかからない
変化がないのです。
まだ、他に隙間が何処かにあることになります。
さて、何処にあるでしょうか?
前項に続き断熱リフォーム前の事前調査状況のレポ(2)です。
外断熱のビフォーアフター(1)調査では高気密であるべき筈の住宅が気密測定をしてみると、隙間だらけの低気密住宅だったことがわかったことでした。
そこでどの部分に隙間が生じているのか?
目視できる天井裏と床下(基礎)に潜り調べることにしました。
それが左の写真で天井裏です。
2Fの壁と1Fの屋根の取り合い部分ですが全体に気密住宅として必要な最も重要な施工がされていません。
その施工されていないものはペーパーバリア(防湿層)なのですが・・・それがないのです。
この頃に防湿層として使われていた材料は0.2mmのポリエチレンシートを構造材の外側からスッポリ貼りつけ、その上にスタイロフォームを張り付けするのが施工マニュアルなのです。
それが気密シートもないのですから当然、高気密にできる筈がありません。
また、赤印の部分に木材が見えますが、この部分の断熱材は屋根の断熱材と壁の断熱材が切れ目なく連続していなければならない部分ですが分断されています。この部分も同じく壁と屋根の取り合い部分です。
黒矢印の所は隙間が開いています。
右の矢印部分(スタイロフォームの接合部)には下地材が必要です。
左の矢印の部分は壁と屋根の断熱材をテープ処理もしないで単純に突きつけただけですから、この部分から隙間風が入ってきます。
この部分も断熱材が連続して施工されていません。
そのため、この隙間から室内で暖められた空気を軒天に流出させて結露の現象を起こしています。
前項に続き断熱リフォーム前の事前調査状況のレポ(3)です。
外断熱のビフォーアフター(1)調査では高気密であるべき筈の住宅が気密測定をしてみたら、隙間だらけの低気密住宅であることが判断されたことでした。
そこで(2)では隙間探しをすると台所のレンジフードが排気型タイプだということと屋根の施工がマニュアル通りに施工されていないことがわったことでした。
そこで、さらに床下に潜って基礎周囲(特に外周部)の施工状況を見ることにしました。
図面では基礎の外側にスタイロフォーム50mmが基礎の立ち上がりに貼られて壁のスタイロフォームと接合部はシーリングで密着させることになっています。
しかし
現状は接合部にはシーリングなどの気密処理はされていないようです。
写真は床下(内部側から撮影)ですので接合部はどうなっているか目視はできません。しかし気密測定時にこの土台廻りをチエックするとビュービューと漏気していることがわかります。
基礎はこのくらいにしてその他の隙間を探します。
これは2重サッシです。
およそ窓全体の80%が引き違いの2重サッシで、10%がPVCのぺア硝子、残りの10%がアルミの単版硝子なっています。
高気密高断熱住宅としてはとてもアンバランスな構成になっています。
和室と普段人がいない部屋以外は2重サッシと単版硝子です。
和室は2重サッシではなくPVCのペア硝子+障子にしています。
残念なことに
熱的なことは一切考えないでコストを下げるための手法であったのではないかと思われます。
(びっくりするのは・・・設計事務所が監理しているのにもかかわらずです。)
これは、問題の熱交換暖房器です。
しかし、実は問題なのは熱交換暖房器にあるのではなく、断熱気密工事の施工の精度が悪いことと、開口部の種類の選定に問題があったのが・・・原因のようです。
さて、このようにして調査の結果を基にして断熱リフォームの断熱、気密、換気、暖房にするのか検討することになります。
目標の暖房のランニングコストは現在の使用量の1/3以下です。
施工については後日レポートいたします。
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外断熱のビフォーアフター(1)調査では高気密であるべき筈の住宅が気密測定をしてみると、隙間だらけの低気密住宅だったことがわかったことでした。
そこでどの部分に隙間が生じているのか?
目視できる天井裏と床下(基礎)に潜り調べることにしました。

2Fの壁と1Fの屋根の取り合い部分ですが全体に気密住宅として必要な最も重要な施工がされていません。
その施工されていないものはペーパーバリア(防湿層)なのですが・・・それがないのです。
この頃に防湿層として使われていた材料は0.2mmのポリエチレンシートを構造材の外側からスッポリ貼りつけ、その上にスタイロフォームを張り付けするのが施工マニュアルなのです。
それが気密シートもないのですから当然、高気密にできる筈がありません。
また、赤印の部分に木材が見えますが、この部分の断熱材は屋根の断熱材と壁の断熱材が切れ目なく連続していなければならない部分ですが分断されています。この部分も同じく壁と屋根の取り合い部分です。

右の矢印部分(スタイロフォームの接合部)には下地材が必要です。

この部分も断熱材が連続して施工されていません。
そのため、この隙間から室内で暖められた空気を軒天に流出させて結露の現象を起こしています。
前項に続き断熱リフォーム前の事前調査状況のレポ(3)です。
外断熱のビフォーアフター(1)調査では高気密であるべき筈の住宅が気密測定をしてみたら、隙間だらけの低気密住宅であることが判断されたことでした。
そこで(2)では隙間探しをすると台所のレンジフードが排気型タイプだということと屋根の施工がマニュアル通りに施工されていないことがわったことでした。

図面では基礎の外側にスタイロフォーム50mmが基礎の立ち上がりに貼られて壁のスタイロフォームと接合部はシーリングで密着させることになっています。
しかし
現状は接合部にはシーリングなどの気密処理はされていないようです。
写真は床下(内部側から撮影)ですので接合部はどうなっているか目視はできません。しかし気密測定時にこの土台廻りをチエックするとビュービューと漏気していることがわかります。
基礎はこのくらいにしてその他の隙間を探します。

およそ窓全体の80%が引き違いの2重サッシで、10%がPVCのぺア硝子、残りの10%がアルミの単版硝子なっています。
高気密高断熱住宅としてはとてもアンバランスな構成になっています。
和室と普段人がいない部屋以外は2重サッシと単版硝子です。
和室は2重サッシではなくPVCのペア硝子+障子にしています。
残念なことに
熱的なことは一切考えないでコストを下げるための手法であったのではないかと思われます。
(びっくりするのは・・・設計事務所が監理しているのにもかかわらずです。)

しかし、実は問題なのは熱交換暖房器にあるのではなく、断熱気密工事の施工の精度が悪いことと、開口部の種類の選定に問題があったのが・・・原因のようです。
さて、このようにして調査の結果を基にして断熱リフォームの断熱、気密、換気、暖房にするのか検討することになります。
目標の暖房のランニングコストは現在の使用量の1/3以下です。
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