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住まい環境プラニングは国内唯一の高気密性能を担保できる気密施工マイスターを育成する設計事務所です。 高性能住宅の熱環境分野に携わって28年、理論と実体験に基づいて省エネ住宅の開発研究、普及に努めております。住宅に大切な結露対策は得意分野、結露のトラブルも解決いたします。

気密性能の良し悪しは上下の温度差でわかる!?


秋から冬にかけて寒さが少しづつ訪れるこの時期に「冬になると寒い!」とは何故?といった質問があります。
気密というものを意識しない在来工法住宅は暖房しても真冬日には上下の温度差は10℃以上もありました。炬燵の中では快適でもそれ以外の床はとても冷たく、天井はムッとするくらい暑い環境です。

下図は隙間風による熱損失の関係と気密性能と風速の関係
参考資料(家を建てる前に読む本:編著・監修 奈良憲道氏)

dc011603 - コピー気密性能が悪いと、室内の隙間から冬は暖房の熱がどんどん奪われ、その代わりに冷たい隙間風が侵入します。この隙間風が上下の温度差に影響を与えます。この上下の温度差は住宅の気密性能が低いために、床付近の隙間から冷気が室内に入り込み、天井付近の隙間から暖かい空気が逃げるために起きる現象です。さらに、このよう低気密住宅の場合は外でちょとした風が吹くと、室内に隙間風が大量に発生するために体感温度が下がって不快な感じがしました。これが気密住宅とされる2×4工法レベルでは1台のストーブで暖房が可能となります。

上下の温度差も在来工法と違って5℃前後の温度差に縮まります。暖房にセントラルヒーティングを採用すると窓からのコールドドラフトを防ぐことができるために上下の温度差が4℃前後になってきます。部屋同士の温度にはムラがあって、外で少しの風が吹くと在来工法と同じように隙間風が室内に入り込みます。以前の気密性能が低い住宅からすると幾分快適な感じがしますが温熱環境としては十分満足できる住宅ではありません。

気密性能が2.0cm2/m2位になると上下の温度差はあるものの断熱性の高い窓とセントラルヒーティングの設定が良い場合は2℃前後にすることが可能となり部屋ごとの温度ムラも少なくなります。

一方、気密性能が1.0cm2/m2クラスでセントラルヒーティング暖房にすると0.5℃~1.0℃以内と温度差が感じられない室内環境になります。気密のレベルがある所まで上がると上下の温度差や部屋ごとの温度ムラは暖房方式によって変わってきます。最も理想的な暖房方式は輻射式暖房です。コールドドラフトを防ぐためには輻射暖房でも色々種類がありますがお勧めはパネルヒーターといったところでしょうか。

また、気密性能の高い住宅になるとシーリングファンは必要としなくなります。個人的な感想ですがシーリングファンは室内に浮遊する塵を部屋中に拡散させるのであまりお勧めはできません。また、この位の気密性能の住宅であれば、僅かなエネルギーで均一な室温をコントロールできるようになります。そのため、気密性能は1.0cm2/m2以下、できれば0.5cm2/m2以下の気密住宅を建てるように努力しましょう。

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新築の引き渡し時に床下に結露が!


ここ最近、床下の結露とカビについてのご相談が増えてきましたので過去の実例を回答といたします。参考にどうぞ!。
12月に数年前に数回にお付き合いした工務店の現場監督さんから携帯電話にSOSが入りました
684zgmwmzmxmdmgusvfsdfbaq.jpg
そのSOSとは気密住宅として建築された気密住宅の引き渡し時に設備業者が床下点検口を開けて配管を説明しようとすると写真のように塩ビ排水管、給排水管、その周囲の基礎に水で濡れたようになっていたというもの。(塩ビの排水管にも雨だれのように水滴がついているのが見える。)

咄嗟に設備業者の担当者は「排水管か給水管のジョイント部分の水漏れだと思いますので至急手直しいたします」と説明。そこで、その場で設備業者がチェックしてみると・・・給排水管からの漏水はないことが判明。
担当者は「よく、わからないけれど・・結露でないのか?」ということになって弊社に、配管廻りが濡れた原因と解決策のレポートしてほしいと調査依頼があったのです。

そこで、原因は結露なのかを判定するために目視と露点温湿度計で床下を調査してみました。
その結果、この濡れたポイントの温湿度は13.3℃/81.3%で露点温度は10.1℃になっていました。
つまり10℃前後の状態であれば結露する環境にありますよ!というお知らせなので温度度が下がる原因を探ることで解決することになる筈です。測定した時間はPM2:30頃でしたから推測ですが深夜から朝方に外気温が降下して露点温度に達しているのだろうことが想像します。しかし、気密住宅であるこの物件は1F、2Fの各部屋は湿度は少し高目であって、この写真のような状態は施工に余程のミスがなければあり得ない現象なのです。

なのに・・床下に結露?が出るのは何故か?
実はこの悪さの原因は設備業者のちょとした気遣いがなかったことが結露を発生させる原因だったのです。

その原因とは↓
684zgmwmzmxmdioj0oqrjepilrl37ax7hw.jpg
その原因は写真のように給湯用(オレンジ色)と給水用(手前の白とブルー色)の配管材を通している土間床下のスリーブの処理方法に問題があったのです。
→のようにスリーブと給湯、給水管との隙間から床下の冷気と湿気を室内(床下)に呼び込んでいます。

684zgmwmzmxmtaoj0oqrjephsy.jpgそのため、この給排水管の周囲は湿気で相対湿度が上がり、深夜から朝方にこの床下は温度は降下しているのが原因でした。

翌日の早朝に表面温度計で測ってみると・・・5℃になっていました。
これでは・・結露は当然です。






684kweoypbeilrl37axqdc.jpg
そこで、原因がわかったことで写真のようにスリーブの隙間に一液性のウレタンで充填補修を行います。
(※土間床のスリーブの土間シート0.2mmと土間下の断熱材の部分に断熱・防湿欠損がないことが正しい施工方法ですが・・・欠損があることも考えられるので予め、ウレタンを充填する前に、この隙間の下部には防湿のためにコーキングを充填するのが正しい補修施工方法。)

これで、床下の結露は解決です。


似たような参考例⇒http://dannetu35.blog90.fc2.com/blog-entry-214.html


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断熱と気密は常に表裏一体の関係

今さら、断熱の話かよ!・・と言われそうですが断熱する意味はどういうことなのか?復習してみましょう?
答えを言ってしまえば、、本来は「快適な室内環境を作る」ということが目的なのです。

断熱材は、暖冷房の燃費を減らすための省エネが最終目的ではないのです。
快適な室内環境は断熱したり、気密化をして力任せの暖房で室温を保持するだけではありません。断熱材を使用する本来の意味は室温と同じ体感温度にすることが目的とされます。冬の暖房時には断熱は天井、壁、床、窓などの表面温度を上げてやることが目的です。

例えば、昔の無断熱の住宅の場合の外壁の表面温度は外気温が-10℃の時には室内温度が10℃くらですが、これだと天井、壁、床からは冷たい冷輻射熱が生じて・・・その感覚は冷たいタイルのお風呂に入る時のあのゾクゾクする・・・あの肌寒さを感じます。

一方、室温を20℃になると体感温度は15℃くらいになりますが、れでも床は冷たいので・・お風呂に入るにはサワサワという肌寒さを覚悟しなければなりません。(体感温度は室温+周壁を足して2で割った値とされます。あるいは場所によっては窓などを足して3で割ります。)

実は無断熱の住宅の場合には体感温度を20℃以上に感じるためには室温を30℃以上にしなければ20℃に感じないのです。ところがきっちり、隙間なく断熱されると天井、壁、床の表面温度がほぼ室温と同じ環境になります。一般的な100mmのグラスウール断熱の場合は壁の表面温度は19℃以上で床は19.5℃以上になり、快適な室内環境が得ることができます。

断熱材の効果が発揮されない施工例
dc090601.jpgdc0306462 コピー1
また、断熱材をきちんと充填しても・・・やはり気密化をしないと天井、壁、床の隙間から冷気が走り抜けます。これではいくら断熱材のU値がよくても本来の断熱効果が発揮されません。断熱材はそのものの素材が断熱性能を持っているのではなく乾燥した空気(静止空気)を色んな方法で閉じ込めることで熱を伝えづらくしています。

ペアガラスは、僅か12mmの静止空気ですが空気が動かないために高い断熱性能を発揮します。このように断熱材は体感温度を上げるために必要なのですが、隙間なくきちんとした施工した上で、断熱材の静止空気を動かさない工夫(気密化施工)がとても大事なことです。

最近、気密が超がつくほどの気密住宅であっても結露とか暖房費が思ったよりかかる原因には、きちんとした断熱の施工がされていないことにあります(隙間であれば気密試験である程度カバーできますが、断熱の施工状況の試験方法は確立されていないので目視に頼るしかありません。

断熱と気密化は常に表裏一体の関係にあります。


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気密試験の仮と本試験との差


一般的に気密住宅の気密試験(測定)は建物が完成した時点の一回のみの測定が行われています。
しかし、建物が完成後の気密性能は目標値に達すればいいのですが、悪い場合は気密漏れの漏気個所を修正することは、ある部分(床下廻り、小屋裏等の内装仕上げをしない所で人が入れる場所等)を除いてほぼ修正不可能になってしまいます。せっかく目標を定めても修正ができないと無駄なお金をかけたことになり、中途半端な気密住宅になってしまいます。

また換気計画も暖房計画も絵に書いた餅となって様々な不具合が生じてしまいます。

最近の気密測定は内装仕上げする前に仮試験を行い気密漏れのチェックと補修がされるので、とても高い気密性能を上げる住宅が増えてきました。しかし、この仮試験で気密性能が良くても完成引き渡しまで、その性能が確保されているかわかりません。むしろ、大幅に悪い気密性能になる例も多々あります。

その原因は何か?

それは仮試験の結果後に施工される、例えばレンジフード、換気の給排気口、エアコンのスリーブ、電気配線などの施工業者が気密を高める意識が低いため気密性能の低下を起こしてしまう現場がけっこう見受けられるからです。

452zgmwmje3mdp19a.jpg写真は外内断熱工法の気密本試験風景です。
内 装工事前(室内側から見ると気密防湿シート0.2mmが屋根面、外壁面に貼られて、外壁貫通する換気の給排気、暖房、給湯の給排気口は予めスリーブを作っ ておき仮試験ではテープで穴を塞ぎ、レンジフードの給排気の貫通はこの時点ではなし…の状態)の仮気密測定の結果は単位隙間相当面積で0.14cm2/m2でし た。

本試験ではどうか?

仮試験以降に行われたレンジフードの取り付けは仮試験の性能を低下させないようにスリーブ管の施工とレンジフードの同時給排の手加工補修を以下のようにしたのですが・・・・
参考↓
レンジフードのスリーブ管の施工⇒http://dannetu35.blog90.fc2.com/blog-entry-227.html
レンジフードの同時給排の手加工補修⇒http://dannetu35.blog90.fc2.com/blog-entry-229.html

結果は?

単位隙間相当面積で0.17cm2/m2でした。
総隙間相当面積は14.03cm2角ですので3.7cm×3.7cmの隙間が空いていることになります。
考えられる大きな隙間は・・・やはりレンジフードの同時給排のダンバーの隙間が大きいものと考えられます。

参考に仮気密測定後に気密に十分意識しない現場の場合は仮測定の数値より倍近い悪い数値になる傾向にあります。0.5cm2/m2の気密性能であれば1.0cm2/m2の気密性能になります。
倍近い隙間が出てしまっても1.0cm2/m2以下であれば換気計画、暖房計画にさほど影響は出ないで安心して良いと思います。
せっかく仮測定の段階でいい気密性能が出たのであれば、後は「ちょとした気遣い!」です。
その気遣いがあれば誤差の少ない気密住宅をお施主様にお引き渡しができます。

こんな理由で、気密測定は仮と本試験の2回測定することをお勧めいたします。

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住まい環境プランニング(同)
(高性能住宅設計:技術顧問)

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