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住まい環境プラニングは国内唯一の高気密性能を担保できる気密施工マイスターを育成する設計事務所です。 高性能住宅の熱環境分野に携わって28年、理論と実体験に基づいて省エネ住宅の開発研究、普及に努めております。住宅に大切な結露対策は得意分野、結露のトラブルも解決いたします。

給排気口の位置は何処にする?


排気型の第三種換気システムは気密性能が2.0c㎡を超えると冬期間は温度差換気の影響で二階に給気口からは給気されないで排気される現象が起こります。
20100820-10-1.jpgこの対処方法として当時は給気口を二階の床付近につけることでした。
しかし、この方法は二階につけた給気口は居住者に近いため、給気口からの冷気が床を這うため非常に不快に感じました。また、その冷気は床を這うため天井付近の空気は思ったほど換気されないのです。


20100820-10-2.jpg

そのため、外気を給気する場合は上方給気、下方排気が望ましい設置方法です。
排気型の第三種換気システムは給気口以外の隙間からも給気されているので換気経路の短略(ショートサーキット)はそれほど問題にはなりません。



20100820-10-3.jpg

一方、熱交換気システムは、建物の内外に差圧をつくらないことが多いので換気は機械の能力に依存することが高く、高気密住宅は上方給気、下方排気をすると一階では空気の滞留する部分がでてきます。
これは川の流れで渦を巻いて淀みができるのと同じことです。


20100820-10-4.jpg
次に下方給気、下方排気は二階の床付近しか換気されません。熱交換をしても外気が冷たいので加熱しないかぎりは、床付近に給気することはとても不快です。
ダクトのコスト削減のため、下方給気、下方排気している例が多いのですが、できれば一階と同じく上方給気、下方排気が望まれます。(部屋によっては上方給気、上方排気)室内の給排気口は部屋の対角線上に配置すると最も効的です

高気密住宅といっても建物の隙間から給気されているのが現実ですから部屋で三方が外壁に囲まれている場合は表面積が大きいので当然、隙間も点在しています。この場合十分な給気量を見込めますので、給気口を設けなくてもよい場合があります。

換気計画は気密性能によって給気の位置、換気量が変化しますので先ずは気密性能を上げましょう!
最低でも1.0c㎡/㎡以下を、できれば0.5c㎡/㎡以下にしましょう。


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気密住宅なのに蟻が出る?

「室内に蟻やワラジムシが出て昔の住宅と変わらないのではないか。」と質問されることがよくあります。
温かい時期です。当然蟻やワラジムシなどの虫たちも活発に地面を行動するようになります。
さて、こんな質問の時にはなんと答えたらいいのでしょうか?
何が原因なのでしょうか?考えてみましょう。

dc072401.jpg●高気密住宅は潜水艦ではない。
高気密住宅といっても潜水艦を作っているわけではないので、住宅内にはかなりの隙間があります。気密性能が0.5cm/m2の超気密住宅の部類でもそのの総隙間量が60cm2あります。

これは給気口の隙間に換算すると5個分の隙間量になります。
隙間が全くなかったとしても木材が乾燥収縮すると1mmの隙間が生じることは珍しくありません。

サッシの取り付けが悪い時には気密パッキンと框の間から外が見える場合があります。
また、引き違いの窓では召し合わせの間に1mmから2mmの隙間があることは珍しくありません。


排気ダクトやレンジフードの隙間など、住宅には外からは気がつきませんが、非常に多くの隙間があります。虫の這い出る隙間もない住宅は、木造住宅では不可能に近いでしょう。
先ず、このことを理解しましょう。

土間がコンクリートの場合は年間を通じて床下が乾燥状態になります。従来の床断熱に比べて蟻やワラジムシが住みにくい環境です。地盤の防湿シート・押さえ砂仕様の場合は、床下環境は良いのですが防湿シートの下が高湿状態になります。シートの隙間から虫が這いあがるので土間をコンクリートにすると良いでしょう。

基礎断熱工法には二通りの方法があります。
基礎断熱土間床工法ですがこれは布基礎を先に外張りに立ち上げて後から土間部分にコンクリートを流し込む方法です。この方法で気をつけなければならないのは土間の部分が後打ちのため立ち上がりと床面の入れ隅の所に防湿シートがあるため剥離して隙間が生じる場合があるということです。
その隙間から蟻が入り込んでくる場合があります。こんな時には、もう一つのベタ基礎工法を取り入れると解決します。この工法は初めから布基礎と土間床の部分を分離しないで一発でコンクリートを流し込む方法で一体成型になるので隙間が生じないのが大きなメリットです。

一番問題なのは、壁や木構造の中が虫が住みやすい環境になっている場合です。ことに、湿度の高い所を好むワラジムシがゾロゾロと壁から出てきたときは問題です。そんな時は何処かに結露しているかもしれません。

その時は
①何処かに断熱欠損がある。
②隙間があり、何処かに部分的に結露が生じている。
③乾燥不十分な木材を使用したため壁内の含水率が高い。
④床下で漏水事故が起きている。
⑤水位が高く床下が高湿状態になっている。

など、原因を突き止めて対応します。原因がわかれば、断熱材を充填する。防湿施工をやり直す。漏水配管を取り換える。暗渠を埋め地盤の改良を行うなど解決策を取ります。
シロアリは別としても建物や人体に直接害がない虫たちの侵入はある程度であればは共同生活もいいのではないでしょうか。

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高気密住宅の気密漏れの原因は?


気密測定の結果、単位隙間相当面積0.35cm2/m2の住宅が漏気する場面を偶然見ることができた報告です。

充填断熱で気密性能を高いレベルに安定させるためには施工の面で意識して行うことがあります。それは意識して防湿(気密)シートを止めるための下地を入れると気密性能が0.5cm2/m2前後の一定した範囲の中に入ります。違った大工さんが施工しても下地をきちんと入れると安定した性能値になります。

弊社のデーターでは大工さんが違ってもその誤差は±0.1cm2/m2程度という高い性能値になります。勿論、外張工法も同じで下地を意識しないで施工された住宅の気密性能の平均値はよくても0.7cm2/m前後になります。きちんと下地を作ると0.5cm2/m2以下の気密性能を簡単に出すことができます。
一般的にある断熱・気密の施工マニュアルは屋根、外壁、基礎、ベランダ廻り、外気床など大まかな断面詳細マニュアルしかありません。そのため、現場によっては詳細な施工マニュアルがないため納まりは大工さん任せの納めになっています。

気密施工に熟練された大工さんであれば安心ですが、そうでない場合は不安が残ります。その不安を解消するのが断熱・気密施工の詳細マニュアルによる施工なのです。同じ構法、工法であっても住宅の姿、形、間取りが異なるため、各住宅ごとの施工マニュアルが必要になってきます。詳細な施工マニュアルがあれば誰でも高い気密性能を作り上げることは容易で確実な気密性能を担保する方法となります。

動画で紹介する気密漏れ!の住宅は弊社の設計・技術部が作成した断熱・気密施工の詳細施工図に基づいて施工された住宅です。ただし、施工した工務店の大工さんは、高気密住宅は初めての経験だったのですが気密性能は0.35c㎥/㎡と初めて施工とは思えない超気密住宅の施工となっています。

この住宅は高気密を意識したため引き違いテラス戸がリビング、和室、老人室3か所だけです。漏気する場所は引き違いの召し合わせ、上框、下框のレール部分と同時給排のレンジフードの電動シャッターの隙間が主な漏気箇所なのだと思っていましたが、実は何と・・・勝手口ドアのある部分が気密性能を低下させる原因であることがわかったのです。

一般的な外開きのドアであれば問題はありませんが、今回採用されていたのは通風のために扉に上げ下げ窓を複合しているサッシです。この上げ下げのスライドする部分(気密パッキンはありますが?)から漏気しているのです。また、ドアクローザーのカバーの周囲(上框に止めたビス部分から)から外気が侵入していることを引き渡し時に発見したものです。

どうしても、この勝手口を使いたい場合はこの周辺にパネルヒーターなどの熱を供給できるヒーターを設置してガラス面の表面温度を上げる工夫をしないと冬にはガラス面に結露発生に見舞われることになりかねません。

気密施工の下地施工は最も意識しなければならない大きなポイントですが、気密が高まれば高まるほど微妙な隙間が不快となるので開口部(窓、ドア)の選定には充分気をつけたいものです。

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ある気密部材にこだわる理由(気密テープ)



日経ホームビルダーの7月号の47ページの右写真の解説に「透明な気密テープで留める」について、「何故?透明な気密テープにしたのか?」のご質問がありましたので投稿を回答といたします。


気密テープのこだわり
気密テープは充填断熱でも外張り断熱でも最も重要な気密部材のひとつとして使用されています。
その気密テープの選択には主に接着力の強さと耐用年数などで採用の基準となりますが、私はその他に気密テープの使い方にあるこだわりをもっています。

気密テープの色(テープの表面の色)は主に黒、白、黄色、アルミ色(銀色)などが主なカラー色ですが私は半透明な気密テープを使用するように推薦しています。
dc0528297 - コピー推薦する理由は左写真のように外張り断熱のボードとボードのジョイント部に半透明の気密テープを貼り付けた様子ですがこの気密テープを使うと下地の施工後の様子(隙間があれば隙間の大きさも)がよく見えます。
※規格寸法の定尺で作られるボードは若干の寸法(数ミリ理単位で)に誤差が生じるためボード張り施工でどうしても隙間が生じることがよくあります。
※充填断熱での気密シート張りでの気密テープの仕様も同じこと(繊維系断熱材がきちんと入っているか?)で施工後の様子をチェックすることができます。
dc120320 コピー1 - コピー
この半透明の気密テープを使うと左写真のように気密テープを貼った後には気密・断熱欠損で補修に必要な箇所をマジックで書きいれチェックすることができます。
その後チェックされた箇所は外張り工法であれば一液性のウレタン剤で隙間を充填、GWの充填断熱工法であれば、断熱及び気密処理忘れの部分を確実に処理をすることができます。


20090413-1-3.jpg一般には左写真のようにカラー色の気密テープ使われていますが半透明の気密テープとの違いは、仕上がりは隙間が色で隠れるので綺麗に見えますが断熱欠損があって閉じた場合はわからなくなってしまうことです。
※写真では10mmの隙間があってもカラー色の気密テープを使うと隙間が隠れてしまう。

その隙間は大きな隙間であれば端材を使って埋めるのですが5mm前後の隙間は意外と静止空気だといってそのままテープで塞ぐ例が多いのも事実です。できれば、隙間は断熱欠損がないように断熱補修をしてから気密テープで処理したいものです。
また、この隙間に断熱欠損防止のためにウレタンを充填しても、「見た目は綺麗に充填されていても、実際は以下のように欠損だらけです。」その実態はこちらをご覧ください。⇒http://dannetu35.blog90.fc2.com/blog-entry-189.html


隙間は断熱欠損がないように断熱補修をしてから気密テープで処理することで計算された気密も高まりQ値も確かなものにするのです。

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昆寛(コン ヒロシ)

Author:昆寛(コン ヒロシ)
住まい環境プランニング(同)
(高性能住宅設計:技術顧問)

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