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住まい環境プラニングは国内唯一の高気密性能を担保できる気密施工マイスターを育成する設計事務所です。 高性能住宅の熱環境分野に携わって28年、理論と実体験に基づいて省エネ住宅の開発研究、普及に努めております。住宅に大切な結露対策は得意分野、結露のトラブルも解決いたします。

暖房費がかかりすぎる施工の実例(2)2Fの天井

家を新築して数年経ってから「どうも我が家は暖房費が●●万もかかる割には部屋の温度が上がらない!」という苦情が出て調査を頼まれることがあります。
問題の●●円もかかる全室暖房の家のつくりは前回の暖房費がかかりすぎる施工の実例(1)に続いて(2)ではこんな施工になっています。

これは2Fの天井裏から部屋と部屋を仕切っている間仕切り壁の部分を覗いたところです。
その部分はのように空洞になっていて暖房された暖かい空気が下から上がってくるのがわかります。

dc013011(修整1)左の写真は2Fの天井裏から間仕切り間の真上から撮ったものです。隙間が煙突のように2Fの床面まで空洞になっているのがよく見えます。
気密住宅を意識しない天井断熱の住宅はすべてこのようになっています。
天井裏は外部の環境ですので1Fあるいは2Fの部屋で暖められた空気がこの間仕切り間の隙間を通して屋根裏に放出されて棟換気とか妻換気扇を通して外に放出されます。せっかく、全室暖房であっても熱の垂れ流しで暖まる訳がありません、このような環境にある家の間仕切り壁の表面温度は外気に連動して低い温度になっています。
特に窓面と間仕切り壁があるコーナー等では暖房器がガンガン熱くなっていても体感温度的には寒いと感じてしまいます。

       ↓「改善案」
dc013003.jpg改善方法は左図のように
間仕切り壁の間に気密防湿シートを施工し、天井面の気密防湿シートと連続することで気密化が図られます。

また、その隙間の上に断熱材を入れて隙間から下にも落ちないたため断熱欠損もカバーできます。

但し、外断熱あるいは内断熱の屋根面で断熱される場合はこの間仕切り壁は室内側になるので従来通りに隙間がある施工方法で構いません。




類似投稿記事:暖房費がかかりすぎる施工の実例(1)

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換気の給気を通気層から取り入れる。

第三種)の換気システムで自然給気、集中排気のセントラル換気システムで、給気は通気層から取り入れるのか?外壁の外から取り入れるのか?どちらの方法がいいのかと聞かれることがあります。

dc022820ww.jpg写真は室内側から見た給気口で形はメーカーによって角型、丸型があります。

この給気口からの外気導入方法は断熱材と外壁の間にある通気層の下水切りから取り入れか?
それとも外壁を貫通して直接外気を取りいれた方がいいのか?

さて、どちらがベストの方法でしょうか?

20070628-2.jpg左図は各方法の断面図です。
左図は外壁を貫通させて直接外気を取り入れる方法。
右図は通気層から外気を取り入れる方法です。


結論からいうと、実験してみると住宅の気密性能や給気口の使用目的によって変わることがわかります。

通気層から給気を取り入れる方法は、直接冷たい外気が室内に入るのを防ぐ目的と、風の強い時に大量に給気口から給気されるのを防止する目的があります。

風の強い時などは外壁から直接給気口を設けた方法ですとかなりの給気量となります。
厳寒期には給気口から大量の冷気が入ると、居住者は給気口を閉め切ってしまいます。そこで、考えられたのが通気層からの新鮮な空気を導入する方法です。風の強い地域、寒い地域ではかなり採用されています。しかし、通気層からでは問題があるという意見もあります。

理由は
(1)温度差換気の影響で、二階の給気口が排気口になり、給気口から排気された水蒸気で窯業系の外壁材の裏側で凍害を起こす危険性がある。

(2)通気層が圧損抵抗となって、給気されないというものです。
はたして、この問題はどうなのでしょうか?
実際は、通気層から給気しても問題がない例があります。
実はこの問題については換気と気密性能が考えられていなかったことに問題があります。気密性能が低い住宅は、通気層から給気すると、温度差換気や風の影響で給気口から排気されてしまうので、先の指摘されたような問題が起きてしまいます。しかし、一方で気密性能が高い住宅は、換気の圧力が確保されているために、給気口からの排気はほとんど起きません。気密性能が高いほどいいのですが、最低目安の気密性能は1.0cm2/m2以下が必要だと思います。スウェーデンやカナダのR-2.000住宅のレベルにすると、換気による障害はなくなるようです。

(3)夏の通気層からの外気導入は外気より高い温度の空気を取り入れてしまう。
これは断熱材と一体成型になっている外壁材を使うと緩和された外気温になり気にならなくなります。それでも、直接外気導入より高くなる可能性があるので暖かい地方では直接外気導入の方がいいと思います。

最近では給気口に過剰給気防止機能がついた商品も販売されるようになりました。
これらの商品は、外壁から直接給気しても、ある一定以上の給気はされないようになっています。
しかし、一般に使われている給気口は給気量がセーブできません。
その場合は通気層からの給気やクローゼットを経由して給気するなど冷気を感じさせない工夫が必要です。
(全室セントラルヒーティングの場合は、その給気口の下部にヒーターを設置することで解決します。)

又、通気層から給気する場合でも、圧力損失の大きい既製品の水切は使わないようにしましょう。

追加投稿(1/29)

コメントに宮城県の菅原様から「換気の給気を通気層から取り入れる。
について貴重なご意見をいただきましたのでコメントをそのまま転載いたしますので参考にして下さい。

>はじめまして、宮城県気仙沼の菅原と申します。『俺の家は高性能!』を毎日、拝見させていただいております。今回のテーマ”換気の給気を通気層から取り入れる。”について 私が考える、ダメな理由をあげさせていただきます。
1.土台、構造用合板に塗布した防蟻剤の通気層からの侵入
2.サイディング裏面のバックシーラー(有機溶剤)からの影響
3.将来的に通気土台水切り部分が隠ぺいされる可能性
4.塀が近接していた場合、地面付近の淀みがちな空気の取り込み
私は建材販売業を営んでおり、取引先の工務店様には上記のことから、換気の給気は外気からの取り入れを推奨しております。



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暖房費がかかりすぎる施工の実例(1)

家を新築して数年経ってから「どうも我が家は暖房費が●●万もかかる割には部屋の温度が上がらない!」という苦情が出て調査を頼まれることがあります。
特に一団の分譲販売土地に建売住宅とか注文住宅で建てられた方からが多いようです。
そこでその理由を何かと調べてみると
数年経つと当然のように近所とのお付き合いが始まり、
お互いに「お茶のみ会」は始まります。

そこでの会話に
「お宅の家はとても温かいのね!でも暖房費がかかるんでしょ!」

「いくら、かかるの?」「○○円」「エッ!お宅の建坪はどのくらい?」

「うちと同じくらいなのに・・・????」

「うちは●●円もかかった割には20℃に部屋の温度が上がらないし、それでも昔の家に比べたら温かいのでこんなものか?と思っていたんだけど・・・」

と、こんな会話の中で自分の家とお隣さんとの暖かさと暖房費の違いを初めて身をもって知ることになるのです。新築する時に意識して気密住宅で建られた場合は余程の施工ミスがなければ各部屋の温度のムラがあり暖房費に●●円かかかることはありません。

問題なのは気密住宅を認識しないで暖房設備に例えば熱源をヒートポンプ暖房にして全室暖房にした場合が要注意です。また、気密住宅で建てられても気密試験を実施しなかった場合は確実に安定した居住環境を得られるかというと宝くじを買うようなものです。

さて、問題の●●円もかかる全室暖房の家のつくりはこんな施工になっていました。

dc012401 コピー1写真は天井につけられるダンライトを下から見たところです。
気密シートがあるがダウンライトの気密処理がされていないため周囲に隙間があり天井裏に暖められた熱が逃げてしまいます。

※これは天井断熱の場合に起こる問題で屋根断熱の場合は屋根部分で気密処理をするのでこの部分は隙間があっても問題にはなりません。

dc120401(修整1) コピー1しかし、天井断熱の場合のダンライト部分の正しい施工法はダンライトを囲むようにBOXを作り、内側に気密シートを切れ目なく取り付けることです。こうすることでダンライトの隙間は一切ないので熱漏れを防止することができます。

若し、自分の家が室温が上がらなかったり、暖房費が思ったよりかかる場合はこの部分をチェックして見る必要があります。


きちんと気密処理がされた現場:参考ブログ⇒http://ameblo.jp/kby-s/entry-11451333560.html


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熱カメラでエアコンの施工ミスを発見

この熱画像の現場は1.4W/㎡kの外張り工法で隙間相当面積C値は0.2c㎡/㎡の高性能住宅です。
新築時からエアコンを設置していたものの、10年で故障したため新たに機種を替えて取り付けた。とのこと。

ところが、「エアコンを替えてから前より少し寒くなった気がする?」という相談です。
そこで熱カメラで見てみました。

その熱画像が↓の写真
問題はエアコンの下の部分のの部分です。
この熱画像を見ると、スリーブ管に隙間があり断熱欠損があるように見られます。
左は換気システムの給気口です。給気口ですから、当然、外気が計画的に取り入れていますから欠損ではありません。


dc012207 エアコンスリーブの欠損

そこで、原因を探るために以下の作業です。
dc012210(修整1) コピー1
①はエアコンの穴埋めパテを取り除いた部分を指さしています。
②は中を確実に中が見えるように石膏ボードを少し大きくカット。
(結果:配管材の周囲は隙間があり、気密断熱補修がされていないことがわかります。)
エアコンを取り付けた業者に「気密住宅なので隙間にはウレタンで処理してほしい」と条件にお願いしたようですが約束違反です。新築時にエアコンを取り付けた業者に依頼しないで、見積が安かった家電量販店のエアコンを材工でお願いしたようです。
残念ながら、取り付けた業者さんが気密住宅というものを理解していないとも思われる仕事ぶりです。

dc012210(修整2) コピー1
改善策として、
③、④この隙間に一液性のウレタン剤(ハイプレンガンフォーム)で充填

dc012210(修整3) コピー1
⑤ウレタン剤が硬化した様子(これで断熱欠損と気密漏れをカバー)
⑥エアコンの全体画像です。

28年くらい前から全国的に広まった高断熱・高気密住宅は当たり前に知られているように思われますが、現実は知らない人(あるいは知ろうとしない人)が多いのです。このようにならないために、新築時に係わった業者さん、あるいは設計事務所に相談するようにしましょう!

※類似投稿記事
エアコンの穴の気密処理方法⇒http://dannetu35.blog90.fc2.com/blog-entry-209.html



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雪道を転ばないで歩く方法!

今年は去年より多めの雪降りですが
北国地方では雪上を転倒することなく難なく歩くことができます。
それも、走るように早く

一方、何十年ぶりに雪が降った地方の人達は雪を歩く経験が少なく
歩くことに注意を払わないと転倒し口頭部を打って怪我をする危険があります。

そこで転ばないで雪道、アイスバーンを歩くコツを伝授!

岩手山
●冬の岩手山

「雪道を歩く時は、次のようなことに注意しましょう。」

靴は、滑り止めのある長靴やスノーブーツを履きましょう。
特に下底は硬いのはダメ、柔らかいものがお奨め!
(冬用のスタットレスタイヤが雪道に強い理由はタイヤ溝の他にゴムの柔らかさに秘密があります。)

足をすり足の感覚で重心を低くひざをバネにする感じで歩くようにします。
すり足の感覚はスリッパを履き、スリッパが脱げないように歩く感じです。
つま先が先に出て足裏全体でバランスとッて歩きます。


歩幅を狭くして、ゆっくりと歩くようにしましょう。
慣れると早足でも転ぶことはありません。
(私は雪道の滑る度合いを計るためにわざとスケートのように滑って試します。)

また、ポケットに手を入れたまま歩かないようにしましょう。
体のバランスが取りづらく、とっさの場合に手を使うことができないからです。
荷物は手に持たずに、リュックサックや肩から下げるようにしましょう。
手袋をすると、転んだ時の手の保護になります。

一番危険な雪道は湿った雪が固まり氷点下になると路面が鏡面になります。
スケートリンクよりも滑る状態です。

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冬の必需品「勝ちわりくん」

今年は例年に比べて大雪で除雪作業は重労働です。
除雪したと思ったら、また降り続いて除雪が間に合わず圧雪凍結となり氷の層ができて滑りやすく危険な状態になります。氷の層は一般的にはスコップの先とか大型のバールでたたいたりして取り除こうとしますがコンクリート並みに硬い氷はそう簡単に取れものではありません。

そこで「勝ちわりくん」という商品、氷を割るには優れものアイテムご紹介です。
仕掛けはシンプルで筒の中には氷を割る先(ピック)がスライドして動くので簡単に割ることができます。
女性やお年よりでも楽に操作ができます。

特に春先に向けて道路は凍った状態が続きます。
歩道の下地がアスファルト、コンクリートであれば面白いようにパクッパクッと氷が割れます。

試してみる価値あり商品です。
興味のある方は以下にお問い合わせ下さい。
http://www.marukata-kisui.co.jp/topics/post_17/

katiwarikun-thumb-600x742.jpg


実際に私が使用した状況




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室内犬と暖房の関係


Q・室内犬にとって暖房機器は何がいいのか?
というご質問がありましたので、旧ブログにUPしたものを回答とさせていただきます。

ペット共生型宅での暖房器は室内犬とって何が理想なのでしょうか?
446y29udje1otwmgg.jpg犬は人間と比較すると、暑くもなく寒くもないと感じる温度が15〜25度と幅があるそうです。

冬の高性能(高気密・高断熱)住宅の室内温度の実際はどうなんでしょうか?我が家の暖房はピーエス㈱のHRヒーターを採用しています。
各部屋で18から20℃くらいにサーモバルブで調整していて全体的には平均20℃の環境になっています。
写真は我が家の愛犬(室内犬=ゴンタ)です。
サークルは使っていないので自由に家の中を走り回っていて主人の私が寝ると一緒に部屋で寝るという行動をしています。
夏はエアコンを使っていないので暑いのかいつも寝る時は玄関の土間に寝ています。

冬はどうかというと、私の部屋は和室ですので畳なのですが、初めは私の傍の畳に寝ていて、その後数時間でフロアの廊下に移動、さらに玄関の土間に移動して寝て、朝方には必ず私の傍に戻って寝る行動パターンです。

そこで、何故?そのようなパターンなのか?温度の面から調べてみました。
愛犬が寝ている場所の床面の表面温度を測ってみると
畳の表面温度:21℃
廊下の表面温度:20℃
玄関の表面温度:18℃になっています。

外気温が氷点下に下がっても室内温度はほぼ上記の温度で一定しています。

やはり寝ている時の接地面の温度はできるだけ低い方が快適なようです。

それでは床暖房はどうでしょうか?
床暖房のの表面温度は、24〜26℃が快適とされていますがこれは家の断熱性能高ければ表面温度は低く、断熱性能が低ければ表面温度は高くしないと人間にとっては快適ではありません。
玄関の土間、フロアの床も床暖房にした場合は人間にとって快適でも愛犬にとってはとても不快な温度になります。

愛犬の快適温度としてはぎりぎりのラインですので、現在の次世代省エネ基準以上の断熱性能にしなければ愛犬の居場所がなくなります。

床面の表面温度から判断すればFFヒーターがとても良さそうです。
FFヒーター本体付近は温度が高くても離れている所は床面の温度が低いので愛犬にとっては理想的な暖房器のような気がします。
しかし、大きな問題があります。
強制的にファンで暖気を室内にまき散らすので埃、特に犬の毛などが室内に舞っていることになります。
これではアレルギーの原因になりかねません。

dc0306225.jpg写真:右の窓下についているのが、そのパネルヒーターです。
コールドドラフトも防ぐ暖房器ですが床暖房と違って温度が高い時にはサーモバルブを閉じることで温水を止めることができます。その結果コールドドラフトにより土間面の温度が降下することになります。

愛犬にとって快適な温度を探さなければなりませんが自由に土間の温度でコールドドラフトで上げ下げすることが十分可能です。これは温水パネルヒータでなければできない手法のような気がします。
コールドドラフトも用途によっては歓迎する必要があるようです。


要は愛犬の居場所を作ってやり、結露が発生しない環境であれば多少の温度差は良しとしましょう。
・・・・ということになります。

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通風と換気

人の体は気温より体表面温度が高くなると放熱し、さらに発汗を始めます。
風は放熱量を増し、蒸発を助けます。
空気が動くということでは同じなのですが通風と換気は明確に区別されます。
換気は新鮮な空気を保つためのもので通風は暑い時に窓を開放し、室内に気流を起こし体から熱放散を大きくして体感温度を低くするためのものです。

dc0306185.jpg家には窓があります。
基礎をそのまま土間床として利用しない場合は必ず床下に換気口があり、天井断熱の家では小屋裏換気口があります。風を通すことで、湿気を外に出して木が腐るのを防ぎ、熱を排出して快適環境を保ち、そして汚れた空気を外に出し、新鮮な空気を取り込んでいるのです。

高性能住宅では、日常の換気は計画換気によって常時新鮮な空気を取り入れ、汚れた空気は排気するようになっていますから、通風のみ考えればいいのです。

最近、押入れや床下やロフトに結露やカビが発生するという相談が増えてきました。
雑誌の結露Q&Aを見るとスノコを布団の下に敷き、空気が通れば大丈夫と答えている例があります。
押入れの通気をよくしてやることだけの考えで「気密にすると通気が悪くなるから」と、気密化を嫌う傾向もあるようです。

家についている窓は、外を眺めるだけではなく、風を通してやるものです。
家の中に上手に風を入れるためには、入口と出口を作ってやる必要があります。

建物の風が当たる場合、風上側に正、風下側に負の圧力がかかります。
空気の圧力の差は風の原動力です。
正の圧力の大きな所に風の入口を、負の圧力の大きな所に出口を作ってあげると効果があがります。
ダンボール箱に二つの穴でも作ってやると、簡単に風通しがいい状態を作ることができますが、家はそう簡単にいきません。窓の大きさも関係してきますし、部屋の間取りによって障害も出てきます。窓を正負に合わせて作ってもその間に壁でもくれば通りようがありません。

家を建てる時には設計段階から風の通りを想定して、窓や間仕切り壁やドアの位置や大きさを設定することが大切です。南と北の窓を開けて、さらに東と西の窓を開けてやるようにすると風量は窓を二つ開けただけより増します。

dc030689 - コピー高性能住宅には吹き抜けに天窓がよくつけられます。
その天窓を開放するとスムーズに換気ができます。

壁面の窓と天窓を開けて風を通して排熱する温度差換気が働きます。この換気は給気口と排気口の高さがあるほど効果的なのでメンテナンスが大変です。しかし、天窓は換気の用途としてはとても有利なのです。
通風として窓を開放する時はパッシブ住宅になり、換気をする場合は窓を閉めアクティブ住宅になってパッシブとアクティブ併用住宅が現在の高性能住宅のようです。


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基礎断熱の施工ミス

今まで床断熱を基本とする工務店さんが床断熱をやめて基礎断熱にすると気密性能を0.5cm2/m~1.0cm2/m2の性能をUPさせることができるようになります。

従来の床断熱方法で気密化を図ろうとすると例えば
(1)床から貫通する給排水管とか暖房の配管材
(2)床下点検口の気密処理
(3)ユニットバス廻りの気密施工
(4)床の間仕切り間の気流止め先張りシート
(5)玄関の土間部分の周囲の土台廻りなど多くの気密処理をする箇所が増えてきます。
当然、気密箇所が増えることは、それだけ施工ミスが多くなります。

一方、基礎断熱は土台廻りの土台と布基礎の外周壁の気密化を意識することで床断熱の煩雑な床廻りの気密施工から解放されるのでとても合理化ができ気密性能もUPします。

基礎断熱断熱では気密化に意識する箇所が少ないので、余程のことがなければ施工ミスは生まれません。
ところが・・・施工指導に行っている現場で、その余程でないことが起こってしまった基礎断熱の施工があったのです。

20090130-10-1.jpg左図は玄関(左側が外部、右側が玄関の内部)ドアの断面図です。
ピンク色は断熱材で基礎断熱の場合の玄関付近はこのような納まりになるのが一般的です。

ところがこの基礎断熱の断面図と異なった納まりで玄関廻りの基礎施工になっているのを発見したのです。

若し、気がつかず家が完成され引き渡しされた場合には以前にUPした「 新築なのに家(うち)は寒い?」というクレームどころか欠陥住宅となるかもしれないのです。

その誤った施工とは?↓こちら

625a2lzb5fnjsqqxvgx.jpg(1)左の写真の→×印部分は玄関戸がつく場所です。ピンク色になっている部分は基礎断熱がされている部分です。

この断熱の仕方は室内に非暖房室を作る場合の基礎断熱の方法です。
しかし、この部分は室内側になるので誤った施工になっているのです。




(2)下写真はコナー部を拡大したもの。→×は玄関戸がつく位置です。

問題はこの部分です。
この玄関戸がつく位置は外部に接する部分なので・・・この位置に基礎断熱の断熱材が収まっていなければなりません。

それが外部のポーチと内部の玄関内は断熱材がなく外部のポーチと通じているため熱橋になっています。これでは玄関内はいくら全室暖房住宅でも暖かくならず、玄関戸に結露が発生する可能性があり欠陥住宅としてクレームになる可能性があります。

この解決策としては→×の部分のコンクリートをハツって改めて規定の断熱材を入れて熱橋を遮断することで欠陥防止をします。(この現場ではスタイロフォームⅢ種の50mm)
※参考
リフォームで玄関廻りを断熱リフォームをする場合には、既存の玄関内のタイルとコンクリートをハツッて断熱材を敷きこんで、今回の誤った施工のように立ち上がりを断熱材を貼り付けて玄関の土間及び立ち上がり周囲からの熱橋をカットして冷気対策をします。


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自然換気で換気計画は無理がある。

換気は給気口を設けることで自然に換気してくれると思っている人が多くいます。
しかし、換気には空気を動かす何らかの動力が必要になります。

自然換気の場合の動力は建物の内外の温度差の圧力(暖められた空気は軽くなって浮く力=ドラフト)と風による圧力を利用します。温度差も風もない時には換気されませんが風がない時はほとんどありません。建物には常に少しでも風の圧力が働いています。

しかし、自然換気は風の強弱、外気温の変動で換気量が非常に変動しやすいので意図的にコントロールできません。

一方、自然換気に対して送風ファンで空気を動かすのが機械換気です。換気の動力にはこの自然換気と機械換気があり、全般換気としてはこの二つの方法しかありません。

機械換気であっても、機械で作りだす圧力が、風や温度差換気の圧力より大きくないと、換気経路や換気量がコントロールできません。機械換気は常に一定の換気量を確保しますが自然換気は内外の温度差や風圧力、周囲の建物の状況によってかなりの換気量が変動することと、時には換気がされないという欠点があります。

bfb36e02f0.jpg住宅の気密化の目的の一つには常に換気がコントロールできる環境づくりにあります。そのためには住宅の気密性能を上げて隙間を少なくすることで機械換気による換気の圧力を上げるのです。

風圧や温度差換気の影響を少なくするためには最低でも住宅の気密性能は単位隙間相当面積で1.0cm2以下にする必要があります。(目標値は0.5cm2以下がもっとも良い)

カナダのR−2000住宅の換気計画では、この換気の圧力を1mmAqにすることが理想的だとされています。カナダのR−2000住宅の気密性能はおよそ0.9cm2です。この高い気密性能であっても給気口は2個しか設置しないのです。その理由は風や温度差換気の影響を少なくするための換気設計のようです。

高気密住宅の目的の一つには、計画換気をできるようにすることにありますが実際の現場を見ると計画換気になっていない初歩的な間違いが多くあります。
例えば
①トイレ、浴室等の水廻りに換気扇を設けて局所排気をしているのに、扉にアンダーカットがないので空気の経路が確保されていない。
②給気口の近くに排気口が設けられているのでショートサーキットがある。
③給気口を低い位置につけているため冷気が気になる。
④給気口と暖房器の設置位置のバランスが悪いため冷気が気になる・・などです。


自然換気量は建物の気密性能で大きく違ってききます。気密性の低い住宅は内外に温度差がある冬期間では何も意図的に換気をしなくても建物の隙間から非常に多くの換気が図られます。また、風が吹くことで風力換気が働きます。「どこからかスースーと風が入るな!」と感じるときは隙間から多量の換気がされている・・・あの現象です。隙間風は換気と似ているのですが大きく意味が異なっています。

また、もう一つ似たものに通風があります。
隙間風は窓を閉めていても隙間から入ってくる風を指し、空気が漏れるので「漏気」とも呼ばれています。
従来はこの隙間も換気の一種(自然換気)として考えられていましたが現在は換気と隙間風は分けて考えられています。

一方、通風の場合は風上と風下の窓を開けて室内に風を取り入れて室内の汚染物質や熱を室外に出すことを指します。夏の暑さを自然的の力で防ぐには・・この通風の利用は大きな力になります。
通風は風速2m程度の風が吹いた時などは15分程度通風をすると4人家族(4人×30m3/人=)120m3の換気量を確保できる最も効果的な空気の入れ替え方法になります。この隙間風と通風は換気量は違えどもどちらもコントールはできません。

これに対して、住人の意志で必要な換気量を入れ替えることができるのが「換気」、その換気は高気密住宅の下では、住宅からの空気の漏気がほとんどないので100%機械で強制的に換気をしなければなりません。

換気量を多くするとエネルギーのロスとなり省エネにはなりませんが換気量が少ないと匂いがこもったり、水分が室内に滞留し結露の発生の原因にもなります。

現在は換気量は0.5回/h確保することになっていますが低気密住宅では機械換気量と隙間からの換気量がプラスされるので非常に大きな換気量になってしまうので高気密化が望まれます。

そのためには、この大きな換気量にならないように気密性能が1.0cm2/m2以下の性能を目標とするべきです。

しかし、このレベルの気密性能であっても冬期間の自然換気回数が1.0回/hもあり、さらに機械換気で0.5回/hの換気量を取ることで室内の乾燥は非常に早く進むことになります。

低気密住宅の場合はもっと悪く、自然換気回数が高気密住宅より、さらに多くなるので乾燥感はもっと進むことになります。無風、温度差のない時には自然換気は期待できないので、やはりアバウトな換気計画であっても機械換気に頼るしかないようです。

552zgmwnji1ndkdfq.jpg最近、新築のQ1住宅と同じ室内環境(全室、冬は暖かく、夏は涼しく)をリフォームで得ようとする方が増えています。

しかし、施工がきちんとされていない例が多く多くのクレームが出始めております。

●写真は天井を気密シートで施工されているが間仕切りの気流止めの部分が連続した気密シート施工になっていない例。
この現場は完成時の気密測定で低気密の原因とされた箇所でクレームとなった。


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シロアリと空調未開発動物

ピーエス㈱発行本「人の活動と室内気候」(ピーエスの五季)の中にシロアリについて、とても興味深い記事がありましたのでご紹介いたします。

以下はその抜粋↓

dc0226113 - コピーシロアリのエンタルピ
自分の住む室内気候をいかに快適のコントロールするか、
これはなにも人間様の問題だけでない。
イヤむしろ動物達こそ室内気候づくりの先生だったりすることがある。
例えばヨーロッパに棲むシロアリの一種は、巣の内部の暖冷房に二重三重のシステム開発している。

先ず彼らは、自分たちの身体から発する熱を暖冷房に利用する。
人間も寒ければ体を寄せ合い暖を取るくらいの知恵はあるから、
これは多くの動物が心得ている暖房技術の初歩だが・・・

次が凄い。
彼らは、キノコを栽培して、その代謝熱を暖房に利用する。
熱源を何かの代謝熱に求める、ここまではわかる。

しかし、
そのためにわざわざキノコを巣の中で栽培するというのが凄いではないか。
さらに彼らは、地中深く掘り下げたトンネルから汲み上げた地下水を使って湿度まで調節する。
そしてもっとも驚かされるのは、
彼らの巣そのものが、換気と冷房装置を兼ね備えているということ。

彼らの巣の突起を持つ構造は、酸素や炭酸ガスの量までコントロールする換気作用と、夏の熱気を冷やすクーラーの役目を果たしているという。
と、いうことは、彼らは温度、湿度はもとより、室内の空気の質まで制御する知恵を持っているということ!
それもすべての代謝熱や地下水を利用した自然のエネルギー利用だ。

エントロピだエンタルピだと机上で学び始めた人間を尻目に、
シロアリは数千年前からエンタルピ(ギリシャ語の温める)を実践していたのである。

冬は暖房による乾燥で喉をカラカラさせ、
夏は冷房の効き過ぎで震えている空調未開発動物「人間」を、
シロアリたちはどう見ているのだろうか。
一度聞いて見たいものである。

エンタルピ:  エンタルピとはギリシャ語で<温めるという意味で、空気調和の計算では、顕熱と潜熱の和、すなわち全熱を指しています。
A という状態の湿り空気がBという状態になったとき、そのAという状態の湿り空気が持っていた熱がどれだけふえて(あるいは減って)、Bという状態になった か、そのふえたり、減ったりした量を知る必要があります。このAという空気の持っている熱量あるいはBという空気の持っている熱量を、エンタルピといいま す。
エンタルピとは、ある基準状態を0として測った物体のもつ全熱エネルギーをいいます。P-h線図ではエンタルピの基準値として、冷媒の種類にかかわらず、0℃の飽和液のエンタルピを100kcal/kgとしています。 (参考文献:東京電力/エネルギー辞典)

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健康のために、全館暖房を!

健康のための全館暖房は正倉院のような造りの、しかも個室ばかりの間取りの家では暖房費はとても高くついてしまいます。セントラルヒーティングが日本に入ってきた頃も、家の性能と暖房のバランスが悪く、設備費が高いうえにランニングコストもかかるという贅沢品でしかありませんでした。最近はコスト面からエアコンを主体とした全館暖房計画が流行っていますが、これも全館暖房をするためにはやはり家の性能を上げなくてはいけません。

方法は簡単です。
断熱材を丁寧に施工して、室内側に気密層を設けるのです。

防ぎたい外の環境を極力入れずに、室内の換気は極力外へ出さない方法です。
気密層は隙間風を防ぐだけではなく熱の流出を防ぎます。

この気密層+断熱材の効果で内部結露を防ぐ役割を果たすのです。

371zgmwoda0ndkcfa.jpg防湿層を設けないと左写真のように内部結露を生じさせます。内部結露というのは一般的には室内で起こる結露が断熱材を入れることで温度差の接点が壁の中に移動し、そこで結露してしまうことです。

結露の原因は温度と湿度の関係です。
室内の湿気が壁の中に入らなくなれば内部結露の危険性が低くなります。
この必要不可欠な気密化に伴って、問題になるのが新鮮空気の確保です。新鮮な空気の確保のため換気が必要な訳ですが、計画換気の義務付であることに安心はできないのです。計画換気の計画ができる担保は気密の性能によるのです。

気密性能は隙間相当面積の少ないことの競争はするべきではありませんが、計画的に換気ルートを確保するためにはできるだけ小さい隙間相当面積が求められます。
その値は1.0cm2/m2以下が目標で、できれば0.5cm2/m2にしたいものです。

●健康のための全館暖房は気密と断熱の力で家の性能(Q値とC値)を上げないと無駄な暖房費を防ぐことできないことになります。

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住まい環境プランニング(同)
(高性能住宅設計:技術顧問)

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