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住まい環境プラニングは国内唯一の高気密性能を担保できる気密施工マイスターを育成する設計事務所です。 高性能住宅の熱環境分野に携わって28年、理論と実体験に基づいて省エネ住宅の開発研究、普及に努めております。住宅に大切な結露対策は得意分野、結露のトラブルも解決いたします。

暑さ寒さを感じる温感とは

私達が暑さや寒さを肌で感じるのは、ほとんど温度による影響がが大だと思いがちですが、人が温度を感じる感覚=温感は、実に色々な要素の影響を受けています。

dc020977.jpg
外部の環境の要因としては、
温度、湿度、気流速度の3要素が上げられます。
さらに温度には空気の温度、輻射による温度も含まれます。

これらの5つの基本的な要素が絡みあって温熱環境を作りだしています。



この他には、触れる事で暑さ、寒さを感じる接触温熱感もあります。
その5つの要素を簡単に解説をすると
①温度
空気の温度が、温熱要素の中で最も基本的なもの。
外気温、室温、いずれも暑さや寒さを感じさせる基本的な要素。

②湿度
同じ温度でも、湿度によって体感的に爽やかだったり不快だったりするのはよくあることです。
湿度とは、空気中に含まれている水分の割合のこと。
人の温感に大きく影響します。


気温が26℃前後で湿度が30%変化すると気温が1℃変化したと同じ感覚が得られ、同じく30℃前後では同様に2℃の変化に相当します。

③気流速度
扇風機の前では温度が高くても涼しさを感じます。
これは気流によって皮膚表面の温度が奪われるためです。

④輻射による温度パネルヒーターや床暖房などで暖かく感じるのは、この輻射熱。距離の影響を受け、しかも方向性があるので、近づくと暖かくなり、逸れたり離れたりすると寒くなります。
⑤着衣量
少し室内が涼しい、そんな場合はもう1枚はおると、感じる暖かさも変わってきます。その逆もあり、暑ければ服を脱ぐと、いくらかは涼しくなります。
着衣量は通常。衣服の保温力(熱伝導抵抗)を表すクロ(clo)値で示されます。
1クロとは「室温21.2℃気流0.1m/秒の下で安静にしている人が快適で平均皮膚温が33℃を維持できる衣服の保温力」と定義されています。目安としてはビジネススーツが1クロに当たります。

⑥作業量
少し寒いところでも、身体を動かすと暖かくなります。これは作業量によるものですが、一般にこの作業量はメット(Met)という単位(Kcal/m2;h)で示されて1メットは「身体の表面積1m2当たりの産熱量が1時間に50Kalある時の状態のこといいます。

ちなみに、安静にして座っている状態が1メットで1メットの差は快適と思われる温熱条件下ではおよそ6℃の差異に相当します。

⑦接触温熱感フローリングを裸足で歩くとヒンヤリした感じがします。
反対にジュータンを敷くと暖かさを感じます。
身体と物質の温度差が大きいほど移動する熱量は大きく、移動する熱量は物質の熱伝導率にも比例します。

接触温熱感は熱伝導率と熱容量によるものです。
接触温熱感に優れている材料は、
接した瞬間に皮膚表面から奪われる温度が少なく、長く温度を維持できます。


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築30年の断熱リフォーム計画


この記事は2008年10月に5回に分けて投稿したものを引っ越しに伴って、修正、訂正、編集して読みやすいように一つにまとめております。

今日はA県Y市のS設計事務所さんからのご依頼で断熱リフォームの断熱設計のための現地調査に行ってきました。

断熱リフォームといっても窓を断熱サッシに取り換えるとか床暖房をするといった対処療法的なリフォームではなく、断熱・気密層を全面リフォームをすることで高性能住宅を造ろうという提案です。

勿論、部分的に断熱リフォームするよりはコストはUPしますが、できるだけローコストに抑えての高い断熱・気密性能を確保した質の高い熱環境を提案するようにします。
(ローコストでありながらハイレベルな高性能住宅です。)

調査住宅は築30年経った一部二階建ての外壁モルタル、延べ床面積196.67m2の在来木造住宅です。
現況の断熱材は10k/m3の100mmのグラスウールが壁に充填、天井も同じグラスウール100mmが敷設されていて、床はポリスチレンフォーム25mmが根太間に挟み込まれています。
勿論、気密は一切考えられていない低気密住宅です。

569zgmwota0mtn_ew.jpg暖房は台所、居間などの一部に床暖房でトイレとか廊下の一部にパネルヒーターが設置されています。

これは30年前の設備ではなく数年前に改修工事で設置されたもののようです。
窓も一部・・居室、台所、洗面脱衣室、浴室は二重サッシにしてあるものの廊下とか納戸と玄関、勝手口などの普段住人がいない場所は既存のアルミサッシのままです。




569zgmwota0mjb9eg.jpgこの箇所は当然の如くガラス面に結露が発生して、その結露水が窓枠に流れて汚れています。この頃の住宅ではよく見られる光景です。

典型的な「人がいる部分だけを断熱して暖房する個別暖房」の考え方のでリフォームです。

それでも、、リフォーム直後は従来の室内の温熱環境は部分的であっても暖かさを感じますが、居室から一歩出ると寒い環境の廊下などは依然と変わらない環境なのです。
むしろ、リフォームして暖房を焚くことで従来より各部屋の温度差が大きくなりすぎて「リフォームしたけれど何故か?前より寒い感じがする!」といった現象に悩まされることになります。



そんな寒さから解放されるためには家丸ごとを断熱・気密の大手術をする必要があります。。

そこで・・・その大手術するためのは各部位(天井、壁、床間取り、既存の設備機器の種類と能力、開口部、外回りも)の現状を調査が必要です。

調査することで最善のローコストでできる断熱リフォームの施工方法を考えることができます。

家を丸ごと断熱リフォームの場合の施工方法
屋根は外断熱にして外壁は内断熱にする方法
屋根、外壁を外断熱にする方法
天井断熱にして外壁を内断熱にする方法
天井断熱にして外壁を外断熱にする方法
さらに床は
布基礎はそのままにして床断熱にする方法
布基礎を基礎断熱に改修して床を断熱しない方法
(基礎断熱も内断熱と外断熱がある。)
ベタ基礎はそのままにして床断熱にする方法
ベタ基礎を基礎断熱に改修して床を断熱しない方法

大まかにわけると屋根、外壁は4工法と床は4工法があり、これらの各工法は施主様のリフォーム内容のご希望によって複合され断熱リフォームの施工方法決定されます。

例えば、室内のリフォームは一切ない場合は②の屋根、外壁を外断熱で施工する方法を選択することで居住者は生活しながら断熱リフォームすることができるのがメリットになります。
(但し、欠点は外部工事なので時期によっては雨、雪、台風などに左右されので工程を組む時には注意が必要です。)

一方、屋根、外壁は既存のままだったりリフォームしても塗装程度+室内のリフォームが大規模の場合は室内の天井、壁、床を解体する場合では③の天井、壁を内断熱にする。+⑤に床断熱する施工法を採用します。

またダクト式セントラル換気扇を設置する場合は一部天井を解体して換気扇を取り付ける必要があるため換気システムによって天井解体、新設する箇所が増えてコストが上がってにしまうので注意が必要です。

換気システムには熱交換タイプの第一種換気装置と自然給気排気型タイプの第三種換気装置がありますが、どの換気システムを設置するかによってリフォーム工事のコストが上がってしまいます。
(コスト的には第三種の換気システムの方が低コスト!)

さて、対象の物件がどの施工方法が低コストで性能(断熱、気密)を上げることができるか現地での居住者の聞き取りを行いさらに既存の住宅の断熱状態を目視調査をします。

571zgmwota0njd7fa.jpg左の写真は玄関風除室の軒天ですが結露によるシミが滲み出ています。








571zgmwota0nttfg.jpg    571zgmwota0ntx_fw.jpg
上の写真は床下ですがポリスチレンフォーム25mmの板状断熱材が根太間に挟み込まれています。
断熱材が脱落しないように断熱材抑えがないためにあちこと写真のような状態が見られます。

これでは誰が見ても断熱材の効果は低いことが明白です。
(この床断熱の施工状態はこの調査物件特有のものではなく、低気密住宅の場合にはよく見られる光景なのです。
571zgmwota0ndgcga.jpg左の写真は床下から見た壁の断熱材(GWの10kg/m3×100mm)


グラスウールが床下の土台(根太部分)に気流止めがないために床下(土)の湿気が床下の断熱材に侵入し内部結露でカビに侵されている状態を見ることができます。

さて、
断熱をする方法は内断熱か?それとも外断熱か?
あるいは複合工法か?

どちらにするかはS先生の室内のリフォーム内容によって決まりそうです。





築30年の断熱リフォーム(熱計算1)
室内の間取り等の改修図面が決定されるまでは
断熱材が外断熱の発砲系プラスチック板にするか?
内断熱の繊維系断熱材にするか?
が未決定であっても熱計算(Q値)の算出作業を早目に行います。

573zgmwota0mjl5dg.jpgリフォームの目的は冬は寒く暖房費がかかりすぎる。夏はエアコンが効かないことを改善することが目的ですから改修(平面)図面ができるまでは旧図面に基づいてQ値(熱損失計算)とμ値(日射取得係数)と暖冷房負荷計算を行い暖冷房負荷計算をし月及び年間にかかるおおよその暖冷房費のランニングコストのシュミレーションをします。

これを事前にしておくことは全体のリフォーム予算のバランスを検討する上でとても大事な作業となります。

特に今回は断熱リフォームですから予算が厳しくなり、全体的にコストを下げなければならない時には単純に断熱材の種類とか厚さを変更して金額を下げるのではなく、暖冷房のランニングコストの説明を行うことで費用に見合った効果があるかを納得していただいた上で進むことができます。

例えば計算をしてQ値1.6wだとすると・・・「お薦めのQ値は1.6wの住宅で暖房費は月に●●円冷房費は●●かかりますが断熱工事費は○○円です。Q値を1.9w程度にすると暖冷房費は月に○○円かかりますが断熱工事費は○○円で1.6wより断熱工事費は○○円下がります。」といったことでQ値=暖冷房費のランニングコストから断熱リフームにかかる全体の費用のバランスを考えながら打ち合わせができます。

上記のようにQ値の大小の違いで暖冷房費のランニングコストが変化することと施工費の関係を表にすると・・・「何年で元が取れます!」といったような費用対効果の説明がができるようになります。

しかし、この暖冷房のシミュレーションを担保できるのは高い断熱・気密の技術と経験で施工力がある施工業者になります。
勿論、それに関わる設計士、職人さんたちも同様です。

自信のあるリフォーム会社(施工業者)ではQ値の提示と暖冷房のランニングコストのシミュレーションも提示しますので断熱リフォームを依頼する場合の大きな目安となります。
(ただ暖かくなりますよ!といった営業トークを信用しないで実際はどうなのか見る眼を養いたいものです。)

ところでA県のリフォーム調査物件はどのくらいのQ値になるのでしょうか?
心配は90%の窓は引き違い(二枚引き違い、四枚引き違い)なので気密性能が1.0cm2/m2以下にできるかは疑問です。

そうであっても、許される断熱工事にかけることができる予算内で高性能なQ値の小さい住宅を目指します。
(できれば最低でも次世代省エネ基準程度にしたいものですが・・・?)

※参考
次世代省エネ基準の熱計算は
従来の熱計算と違って熱橋を含む熱貫流率の計算が必要です。

●お勧め熱計算ソフト
①SMASH→http://www.ibec.or.jp/program/files/smash.pdf
②省エネ判断→http://www.konasapporo.co.jp/Heating/EneCalc/EneCalc.htm
③QPEX→http://www.shinjukyo.gr.jp/qpex4.html

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高性能住宅の夏のベスト気温

夏の高性能住宅の室温はいくらがいいのでしょうか?

481zgmwmzi2mdl1q.jpgそれは、私たちが感じる体感温度との関係から考えると26℃~28℃くらいがベストなようです。
人間は、恒温動物ですから平均36℃という体温を1年中維持しています。
体温が0.5℃上昇しても変調をきたし、4℃以上も上昇すると死にいたる場合があるそうです。

したがって、健康な体は、生理的に熱の発散や保温を繰り返して恒温状態を維持しているわけです。

体温が上がりすぎると発汗作用で体温を下げようとします。
夏の外気の平均気温が30℃くらいだとすると、
室内温度はそれよりも2℃低い設定で、充分に涼しく感じられます。

また、
外気温と室温が同じ場合でも除湿することで室内の方が涼しく感じられます。
温度と湿度の関係で、高温の南国でも湿度が低いと木陰に入り、
日射を防ぐだけで涼しく感じます。が、これは体の熱の放散をスムーズに行うためで、梅雨時の湿度の高い状態では、木陰に入っても汗が吹きでて蒸し暑さは解消されません。

梅雨時には室内でエアコンを使用する場合は、温度を下げるよりは湿度を下げる除湿することで体感温度は下がり、快適に生活ができます。

ただし、このような除湿で効果を上げるためには、湿気を含んだ外気を室内に侵入させない、しっかりとした気密・断熱性能が重要になります。

送風機のあるエアコンでは除湿して送風するだけで十分快適な住環境を作ることが可能です。

体感温度と室内温度の関係から言えば
体感温度とは、室内の温度が体温よりも低ければ、人体との空気の間に温度の差が生じるので、対流による熱の発散が行われます。室内温度が低い時には、廻りの壁や床の表面温度も低くなるので、輻射による熱の発散も行われ実際の温度より低いと感じられます。

室内温度が体温に近くなると、人体との温度差が小さくなり対流や輻射による熱の発散が行われなくなり、今度は発汗による潜熱の発散で体温調節を行います。湿度が高いと発汗による蒸発が十分に行われなくなり、不快な気持ちになります。

冬に周囲が寒くても焚き火をすると直接火の暖かさを感じるのは、輻射熱が空気の冷たさに関係なく光のように移動してくるからです。
このように体感温度は、周囲の壁などの輻射や湿度環境によっても大きく変わります。
また、このような潜熱と顕熱で感じられる体感温度は不快指数で表現することができます。


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通気層の役割は4つある。

通気層工法の通気層は4つの役割があります。
1番目の通気層の役割は防水機能です。
472y29udjazmtaoj0oqrjepeqm.jpgこれまでの壁構造は、外壁そのものにいくつもの多くの機能を持たせていました。このため、外からの水に対しての防御は徹底的にコーキング等でシールするしか防水に対して効果は望めませんでした。
木造住宅の損傷が大きくなる理由には通気層がない壁構造には内部結露等の大きな問題があることがわかってきました。外壁材そのものに過度の防水性を持たせると、シールが切れた時には、ポンピング現象と言って、風の圧力で水が壁の奥まで侵入してしまいます。
外壁の性能は気密性能よりも高い水密性能が要求されます。

通気層工法には大まかに外壁に雨避け、風避けの役割を持たせて外壁の役割を分離させることで、雨漏りのほとんどをなくすることが可能となりました。万一外壁に雨が入ったとしても、通気層で減圧されるために、通気層を通じて下に落下するので壁の中まで雨が侵入することはなくなります

472a2urz47kkf4y0w.jpg●勿論、断熱・気密層の施工に欠陥があれば通気層があっても、そこから雨水が侵入することがありますので気密処理は丁寧に行わなければなりません。

内断熱(充填断熱)工法であればタイベックシートの施工には必ず防水テープで防水処理が必要です。意外と多くの現場ではタッカー止めだけの施工になっているようです。

左の上真は外壁張られたタイベックシート防水のために一応下部から上部に向かって施工されているもののジョイント部には防水テープがなし。
左の写真は土台廻りのタイベックシートの納め方・・悪い例!!


41g16dq4n4g2kdtlxh.jpg正しいタイベックの施工は写真のようにジョイントには気密・防水テープが必要です。











2番目の通気層の役割は防風機能と換気です。
断熱材は動かない空気の層のお陰で熱を逃がさないようにしています。
壁に当たった風は壁隙間から内部に侵入して断熱材に閉じ込められている空気と入れ替わってしまい、断熱の効果を激減させてしまいます。

熱はこのように弱い隙間から逃げてしまうので、せっかく貯め込んだ暖玲房のエネルギーを排出させてしまいます。そこに通気層があると、風の圧力を半分以下にすることができるといわれます。

さらにタイベックの施工が丁寧に防水テープで処理されている現場では機能が100%発揮されるので風の影響はなくすることができ、断熱材に含まれた熱を逃すことありません。

265zgmwnjixmdeoi4ulq4z7kbj1.jpg風に影響されるのは断熱材だけではなく、室内の換気にも大きな影響を与えることがわかっています。
計画換気が義務化されたことで全住宅に換気のための給気口が外壁を貫通して取り付けられています。

雨風防止のためのフードとかガラリがついていますが強風の時には給気口から計画以上の風が室内に入り込んで換気の計画がアンバランスになってしまいます。
そこで北国では通気層を利用してた給気する方法を取っているため、外壁には穴が開きません。

dc071401.jpg
そのため、通気層は二重の壁で構成されていることになります。
雨水は通気層を通って下へ落ちることになり、タイベックで防水層を作っておけば、万一、雨水が入ったとしても壁の断熱材の中に侵入することはないのです。



※但し、外張り工法の板状の断熱材で表面が水を弾く材料でコーティングされちるとかアルミ箔が蒸着されている物はタイベックは必要ありません。


3番目は最も大きな大きな役割、・・それは排熱機能があることです。
前に投稿しました夏に涼しい家をつくる必須条件(通気層の効果)ここでは夏には熱風を排出させる役割があることを説明いたしました。。

高性能住宅は断熱・気密が高い性能がある分、冬は快適な室内環境も夏に室内に取り込まれた熱は排熱されずオーバーヒートを起こしてしまうことがあります。外壁材は夏の強烈な陽射しによって外壁を熱し、熱は伝導によって外壁を通じて内壁まで伝えるため内壁の表面温度が室温より高くなってしまい不快な体感温度を体験することになります。

そこに外壁材と内壁材[断熱材)の間に通気層があると、いったん熱の伝導を遮ることになり、熱せられた外壁材の熱は通気層を通り上部に排出されます。

476zgmwmze5mdeoj0oqrjepki9dkk4xksdq.jpg外壁材の中には断熱サイディングのように外壁材の裏側にウレタン材があるものは強烈な陽射しがあっても通気層内の温度を和らげる効果があります。
このように通気層は室内の表面温度を高くしてしまうことを防ぐ頼もしい機能もあるのです。
※左図は屋根断面ですが外壁同様こうすることで排熱機能を十分に発揮させることができます。

476zgmwoda0mzh4cg.jpg最後の四つめの機能は最も重要な項目で透湿機能を果たす役割を持つ防水透湿シート(タイベック)の存在。

タイベックは水は通さずに水蒸気は通す機能があることは周知の通り、これは目には見えないが水の分子よりも小さく、水蒸気よりはるかに大きい穴が開いているためで、この穴を通して水蒸気が排出される機能がある。

もともと通気層は壁の中に流れ込んできた水蒸気を早く排出させようと考え出された工法であって壁内結露との戦いの中で生み出されものです。
通気層なしで施工されるケースがまだまだ多くありますが、暑さ対策+壁内結露防止になる通気工法を是非標準に採用してもらいたいものです。
※写真は通気層なしで外壁がモルタル仕上げとなっている住宅で内部結露発生した断熱材の様子。


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イライラする理由

体の中に何も原因が見当たらないのに、何となく調子が悪いといったことはありませんか?
イライラして落ち着かず、いつもと違って安眠もできず、体もダルイ・・・
といったようなことが・・・・。
私たちは、自分では気づかないうちに色んな刺激を受けていて、それによって体の調子が結構あるものです。

275zgmwnzaymdgdq4ojg0odizqw.jpg何故なのか?
建築の立場から考えてみます。

体には体の周りがどうなっているのかを調べる感覚器官が備わっています。しかし、それぞれの感覚器官が刻々と得ている情報のすべてが意識として届けられているのではなく、重要なものだけが選択されて、意識にのぼるようになっているそうです。意識されているものはどんな基準で選ばれるかというと、目新しい刺激、変化する刺激、強い刺激が選ばれるそうです。

この選ぶ作業は無意識の働きによって行われていて、生きていくためにどうしても欠かせない重要な情報については、間違いなく選ばれます。しかし、弱い刺激、一定の刺激、慣れた刺激によって体が悪影響を受けるという場合には、意識にのぼらないために原因がわからないまま調子が悪くなるということになりがちです。

私たちが住む住居では、精神の安定に大きな影響があります。
先ず、部屋のデザインですが、部屋の作りに斜めの線が多用されている場合は神経を刺激しやすいので作業場などに向いていても、休息の場にはあまり向いていません。

配色が調和しないものがあるとか、強い原色が使われているときはやはり神経を刺激し、落ち着かず、イライラしたりします。すっきりと収納しきれないものがはみ出していたり、雑然と物が並べられていると何となく落ち着かないものです。

光の量については、ゆっくり変化した場合は、気づかないうちに適量でなくなっている場合があります。また、コントラストが高すぎても目の疲労を招きます。

騒音、雑音については、慣れてしまうとあまり気にしなくなっていることが多いのですが、実際には、意識にのぼらなくても神経が絶えず働いているために疲労、イライラ、ノイローゼの原因になっていることが結構あります。

温度の変化も序々に変化している場合には気がつきにくく、季節の変わり目などに気がついたときには寒すぎたり、暑すぎたりしていて調子が悪くなっていることがあります。

弱いい隙間風はなかなか気がつかないものですが、体感温度を下げたり、知らないうちに体を冷やしたりして風邪の原因となります。

湿度の変化も余程大きくならない限りは気づきにくいものです。
湿度が低すぎると鼻やのどを痛めやすく、逆に高すぎると壁や床下にカビが生えてきたり、腐ったりして、悪臭の原因にもなります。次第に増える悪臭は感じられなくてもイライラを起こしたり、頭痛がしたり、気持ちが悪くなったりします。

空気の汚れは気づきにくいものの代表的なものですが、酸素不足により頭痛・目まいなどが起き深刻な状態になることもあります。

これについては高性能住宅で適量な換気されるシステムがついていれば安全でしょう。

よりよい生活を送ろうとするならば、私たちは意識的に自らの感覚の足りないところを何かで補って快適な環境を維持しようと努力することが必要になってきます。

そのためには温度計、湿度計、照度計、空気の汚れ検出器などセンサーを備えて時々チェックすることで不都合な事態を避けることができます。

自分の調子や落ち着き具合や集中度など時々チェックして、もし何か不都合にがあれば、原因は何かを追及することが大切です。また、色んな場所における自分の状態を観察し比較すれば、普段は見えない事柄が見えてきます。

自分の快適さ、不快さを確かめて、自分にあった住まい方を考えましょう。



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夏に涼しい家をつくる必須条件(通気層の効果)

通気層工法を採用する目的の一つに、夏涼しい室内環境を作ることがあげられます。

冬季の通気層の目的は壁内結露の防止があげられますが、この結露防止のための換気量と比べると夏涼しくするためには100倍以上の換気量が必要だといわれます。
夏になると屋根が太陽に熱せられて、高温になって小屋裏の温度を上昇させます。小屋裏の換気不足で高温の熱を排熱できなかったり、天井あるいは屋根面の断熱不足が生じたときには小屋裏空間は灼熱になっています。

関東地方あたりでの夏の屋根の最高気温は80℃前後になっているそうです。
この熱が天井の表面温度を上げることになり、体感温度がとても高くさせるのです。

498zgmwntazndaoj0oqrjepiuw.jpg※写真は冬に撮影された熱画像ですが気密性が低いために室内で暖められた熱が小屋裏に溜まっています。夏の場合も同じく80℃前後の温度が写真のようになると想像されます。)

※屋根の温度は80℃前後になっているなんて信じられないような高い温度ですが次世代省エネ基準の気密評定申請での結露の有無判定:Ⅰ地域、Ⅱ地域での夏の屋根(通気層部分)の温度は60℃で計算することになっています。内外温度差でいうと夏の方が冬より少ないと思われますが小屋裏の80℃を基準とすれば温度差は50℃前後もあることになります。
これでは過酷な室内環境です。
例えば小屋裏でストーブをガンガン炊いた状態に似ています。

498zgmwnde1mdhz9g.jpg昔の茅葺屋根の家などはとても涼しく感じられるのは茅葺断熱の効果が十分効いていて表面温度を低くさせているからでした。

最近の住宅は通気層を家全体(屋根、壁)に張り巡らすことで通気層の中の温度を外気に近い条件にすることで暑い輻射熱の影響を少なくすることが可能になっています。

室内を涼しくさせるための通気層は外壁の通気層と屋根の通気層を連続させて棟の部分から熱風を排出させることがとても大事です。

通気層の大きさは大きいほど効果があるのですが防暑が目的であれば45mm以上がベストのようです。
(ちなみに我が家も45mmの通気層にしていますが夏に屋根に上がって棟換気に手を当ててみると、熱風がドライヤーで噴き出したような強さを感じ通気の効果を実感できます。)

このようにエアコンの力の涼しさには及ばないものの通気層の利用で大量の換気を図ることで室内に熱が伝わりにくくすることができ、室内をかなり涼しい環境にすることができます。


冬に室内で暖められた熱が通気層内に排出されて、通気層内の空気を暖めめて、さらに、ドラフト効果によって空気が屋外に排出されるという理論が一昔前までありました。
また、通気層換気の役割のついての考え方は土台から入った外気が軒天、妻換気などの排気口から排出されるのだとも考えられていました。

500zgmwnde3mdeoj0oqrjepilc.jpgしかし、実は通気層内の空気は風による風圧で風上側の通気層の土台水切りから入り上に上がり、風下側では上から下へ流れることが実験の結果解明されました。
その通気層内の換気流速は外部風速のおよそ1/2くらいになるのだそうです。外部風速が3mある時には通気層内の流速は1.5mくらいだということになります。
夏の熱い日であっても風が強ければ強いほど冷却効果が働くということになり通気層がある壁構造には、夏には自然の冷房効果をある程度期待できることがわかりりました。


dc071109.jpg

通気層のない壁構造は、夏の強烈な日差しによって外壁材が暖められて室内の環境を悪化させています。暖められた高温になった外壁材、熱伝導によって室内の表面表面温度を上昇させます。そのため、エアコンを使って室内を26℃に冷やして室内温度を26度になっても壁の表面温度が下がらないため室温より高い不快な体感温度になってしまいます。

(※写真は通気層水切りを使っているが通気ができない悪い施工例)
通気層がある壁構造の場合は外壁材が熱せられても通気層を通じて熱気を外部に放出するので室内の壁の表面温度は室温とほぼ同等になり体感温度は室内に限りなく近づけることが可能となります。

つまり、通気層がある構造の建物は少ないエネルギーで室内を自然に冷房することができるパッシブ的住宅ということになります。勿論、屋根、天井、壁の断熱材の断熱性能と気密性能によっても冷房に使われるエネルギーコストは大きく変わることは周知のとおりです。


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断熱リフォームでクレームにならないために

最近、冬は暖かく、夏は涼しい家にしたいために断熱リフォームをする方が増えてきました。

省エネ的にはとても喜ばしいように思われますが実は「思ったよりその断熱効果がない!」というクレームの調査も増えてきました。(冬の寒さ、夏の暑さはリフォーム前と変わらない!?)・・・と

dc041909.jpgその原因の多くには施工者側が(既存の住宅が)どうして冬は寒く、夏は暑いのか?の原因究明をしないまま、単純に断熱が弱いためと思って断熱材の強化リフォームのみの施工をしているためで・・・・
そう思っていくら、お金をかけて断熱性能の高いものに交換しても(気密工事は一切考えられていないので)隙間だらけの従来の家の断熱リフォーム?は・・・効果は小さいのです。

その理由は風とか内外の温度差換気で隙間から隙間風が侵入するので断熱効果は半減してしまうからなのです。・・気分的にはいいにしてもやはり、冬は寒く、夏の暑さは改善されないので必ずクレームとなります。

冬暖かく、夏涼しい環境の断熱リフォームは意識して隙間を塞ぐ気密化をしないといけないのですが断熱及び気密のチェック義務がないので住んでみないとわからない宝くじのような住宅となっているのが現状です。

このようにクレームの冬暖かく、夏涼しい断熱リフォームをするためには
新築と同様に断熱・気密・換気・暖房冷房、日射取得、日射遮蔽、通風の7点をセットを考慮して計画しないと無駄案お金をかけることになるので気をつけましょう!

そのためには熱損失計算(Q値)の算出と気密測定と換気風量の実測を実施をするリフォーム会社に依頼すると比較的に安心でしょう!


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夏の暑さを防ぐために(植樹、塀などの効果)

前回は「夏の暑さを防ぐには庇が効果があるか?」では庇の出が長いほど窓に入る日差しをカットすることができ、夏の暑さから逃れることを説明いたしました。

一方、冬には庇がない方が日射を住宅内に多く取り込むことができ、暖房費を節約することができるメリットがあります。特に高気密・高断熱住宅は、住宅内の熱を外に逃がしづらい性質があるため、日射を効率的に利用することができ大きな省エネ効果を得ることができます。

562zgmwnji4mdf_fa.jpgところが
午後12時頃の太陽高度が一番高い時刻では
庇のような日射遮蔽物は有効に働きますが、
14時以降の太陽高度が下がってくる時刻では、
庇だけでは十分な日射遮蔽を行うことができないのです。

●左写真は我が家の遮光ネットで西日をカットしている様子
特に温暖な地域では夏の日射をより多く遮る工夫をしないと日射が入りオーバーヒートを起こしてしまい冷房なしで生活することができません。高断熱・高気密住宅は少ない冷房エネルギーで賄えるにしても結果的に冷房に頼ることになります。

特に夏の西日は庇だけでは日射遮蔽できません。

562kweoypbeywfhzzq.jpgそこで、その対策として昔ながらの知恵!・・・南や西面に広葉樹を植樹する工夫をするようにしましょう。広葉樹を家の周囲に植えることで(特に窓の前に植える。)太陽高度が下がってくる時刻の日射を和らげることができます。

日射遮蔽による影の位置は、緯度・経度や季節・時刻によって刻々と変わってきます。夏の日射を遮り、冬の日射を取り入られるような位置に、広葉樹などの日射遮蔽物をおくことができれば、省エネには効果的です。(主に昔の農家にあるような茅葺の家の周囲には防風林、防雪林が植えてあって庭にも梅や柿などのシンボルツルー等が植えてあって、それが夏の日差しを遮ることになっていたのです。

夏のカンカン照りの午後でも家の中は(通風もよく日差しが少ないので)とても涼しく昼寝ができたものです。)

左の図は上から見た遮蔽物の効果をイメージしています。
左の青色線は窓を表し、赤線は遮蔽物を表し、
灰色ゾーンは右に太陽があり遮蔽物があるため日蔭をイメージしています。

計算条件は●8月8日
●庇の出は350mm●遮蔽物(木、簾、垣根等)高さ3m、●窓と遮蔽物の距離は2m


上図から順序に
①午後12時

②午後1時

③午後2時

④午後3時

⑤午後4時の遮蔽物の効果をイメージしています。

前回の「夏の暑さを防ぐために庇の効果」では午前11時45分頃から庇の効果がなくなり日射が入るが、この遮蔽物のお陰で午後1時には窓の半分を日射を遮ってくれていることを教えてくれます。 

この遮蔽物が広葉樹であれば冬には葉が落ち、簾のように取り外しが可能なのものであれば冬の日差しは十分入ることになり、今度は冬の暖房の手助けをすることになります。

※家を建てる計画では
除外されがちな外回り庭の木々などの遮蔽物は夏は冷房なしでも涼しさを得る効果があるので予算の中に組み入れるようにましょう!


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夏の暑さを防ぐために(庇の効果)

ここ近年、地球温暖化の影響で夏の気温は年々上昇!
それに伴って、何か暑さ対策をしないと冷房をフル回転させなければ夏を快適に過ごすことができない環境になっています。

dc062308.jpgできればはエアコンなしで夏の暑さを快適に(涼しく)過ごしたいものです。

我が家では暑さ対策として、昔ながらの知恵として
計算された庇の出とか写真のように1.2mの出幅のバーゴラ風にして、ツル状植物を植えて日差しをカットしています。
さらに写真の手前は大きなシンボルツリーがあり直射日光をほどよく遮ってくれます。
さらに室内側ではブラインドあるいはロールカーテンを付けて3重の日差しカットをしています。

室内が暗くなるのでは?という心配があるかもしれませんがブラインドを少し斜めに開けることで淡い光で不便はないものです。むしろ、エアコンいらずの涼しい室内環境が体感できます。

下の図は「庇効果の有無の判定グラフ」サンプルですが岩手県盛岡市での午後12時の時の2/1~12/1(各一日の日当たり)に窓に日が当たる面積比率は何%あるのかを示しています。

縦軸は日当たり面積率で横軸は各月の一日を示しています。この時の条件は屋根の軒の出600mm、一階のテラス戸(幅1.6m×高さ2.0m)には庇がない場合の日当た面積率をグラフしています。

結果:一年中通して午後12時にはテラス戸には100%の日射が入ることを示しています。冬季であればとてもありがたい日差しでも、夏季のこの状態では暑くて不快になります。
残念なことに、このような庇がない高気密・高断熱住宅は当たり前のように多く建てられています。

560zgmwodexmdeoj0oqrjepies.jpg

下のグラフは8月8日の一日の庇の効果を面積比率で表しています。
午前5時~午前11時45分頃までは直射日光が入らないが午後12時前後から・・・午後6時30分頃まではテラス戸に100%日差し入り込むことを表しています。
560zgmwodexmdioj0oqrjepivm.jpg


一方、庇があった場合はどうなるか?


下のグラフは庇の出幅を外壁の面か350mmにした場合です。
庇がない場合と比較すると一年中日差しが入るが面積比率が減っています。
6月の12時は50%の日差しをカット、7月には45%の日差しをカット、暑い8月でも50%の日差しをカットすることができる・・・ので庇の効果があることがわかります。
560zgmwodexmdmoj0oqrjepils.jpg

下のグラフは8月8日の一日の庇の効果グラフ
この場合での日差しは午後11時45分から60%日差しが当たり、時間を追うごとに徐々に100%日差しが入ることを表しています。
560zgmwodexmdqoj0oqrjepi2m.jpg

●それでは庇の出幅を900mmにするとどうなるか?を検討してみると2月1日は75%の日差しが入り、序々に日差しの減少が5月1日まで続きます。
5月1日~8月10日頃間は日差しは0%となるので夏の暑さを防ぐ効果があることがわかります。
それから秋から冬にかけては序々に日差しの面積比率が増加して、暖房の手助けをすることがわかります。
560zgmwodexmduoj0oqrjepjgs.jpg

下のグラフは8月8日の一日の庇の効果グラフ
この場合では日差しは午後12時15分から日差しが当たり始め、時間を追うごとに徐々に増加し午後6時45分頃に100%日差しが入ることを表しています。
560zgmwodexmdyoj0oqrjepjxm.jpg


こうして庇の効果度合いをシュミレーションをしてみると効果があることがわかるので新築を計画される方は積極的に庇を取り入れるようにしましょう。

庇の出幅は長ければいいものではありませんが短いとあまり効果がありません。
夏には日差しをより多くカットできて、冬にはより多く日差しを取り入れる庇の出幅を検討することが・・・エアコンなしで夏を快適に過ごす方法となります。


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夏に涼しい家をつくる必須条件

冷房のことを温度差の熱伝導だけで考えると暖房と違って内外の温度差が冬より小さいため冷房負荷はとても小さくてすみます。
ところが冬には有難いエネルギーとなる生活発熱と窓から入る日射エネルギーは今度は反対に夏には冷房負荷を上げる要素となってしまうためにとても邪魔な存在となります。
502zgmwnde4mdmoj0oqrjepki9dkk4ykv8x.jpg窓から入る日射エネルギーはとても大きいのです。
例えば軒や庇の出が少ない住宅の場合には床や壁、天井が100mmGW、窓の熱伝導や換気によって室内に入る熱のおよそ4倍もあります。
日射遮蔽がなければ(あっても少なければ)冷房は主に窓とか換気から入ったエネルギーを冷やすためだけに使われることになります。

一方,窓からの日射エネルギーを80%カットできれば冷房機はとても小さくすることが可能となります。
今まで、一部屋で使っていたエアコン1台でも間取りを開放的に造ることで住宅全体を冷房することも可能です。窓からの日射エネルギーを100%カットすることは不可能ですが軒や庇は標準につけて、さらに横から差し込む西日もカットするように日射遮蔽部材を設計の段階で考えるととても効果があることがわかってきました。

※写真は日射遮蔽が不足している参考例
暖房時には、日射エネルギーや生活発熱のプラスになるエネルギーも夏にはこのプラスになる分を今度は冷やすために余計なエネルギーを使わなければなりません。

GW100mm断熱の気密住宅でも日射遮蔽ができないと冷房能力は大きくなってしまいエアコンが1台ですむとろを2台以上必要となってしまいます。
これでは無断熱で日射遮蔽した昔の住宅と変わらない夏の性能だということになります。

高気密・高断熱住宅は夏は暑いといわれる理由の一つには日射遮蔽ができていない家にあります。


夏の涼しさを確保するためには窓の日射遮蔽が非常に大きなポイントになります。

日射がいったん室内に入ってしまうと熱エネルギーは物に吸収され波長が変わり、外に逃げなくなります。
また、カーテンのように室内で日射遮蔽をすると窓の表面温度が高温になり、その輻射熱で体感温度上げてしまうことになり、窓際がムッと熱く、不快な感じがします。
できれば、日射エネルギーは窓の外で処理をしたいものです。

夏になると一般的には室内の温度より窓の表面温度は10℃以上高くなります。
そのため、涼しさは少しも感じられません。
理想は冬と同じように窓の表面温度を室内温度と同じ環境にしてやることです。

暖房の場合は日射取得はプラスに働きますが、冷房の場合は日射の侵入がマイナスになります。
その意味で、窓で日射侵入をコントロールする必要があります。

そこで次世代省エネ基準前の新省エネ基準では日射遮蔽という考え方が示され窓の日射遮蔽係数という基準が導入されました。
この日射遮蔽の基準は窓の3mm透明ガラスに入る熱を1として日射遮蔽係数が0.6以下という基準としました。数値が小さいほど日射遮蔽ができていることになるのですが南面の窓にカーテンをかけたり、庇の出を600mmくらい取れば窓になにもつけなくてもクリアしてしまい割と甘い基準に設定されました。
507zgmwnta2mdeoj0oqrjepki9dkk4xkr6x.jpg
左図は室内で日射遮蔽をした場合の日射遮蔽率で下図は日射遮蔽を外部でした場合の日射遮蔽率です。ぺアガラスだけでも単板ガラスに比較すると下の表のように0.88と12%も日射侵入率は落ちてしまいます。
これ見ると一目瞭然です。

日除けテントなどで軒や庇の出を長く取ったり、外付けタイプのルーバーなどで太陽を遮ることが効果があることがわかります。



高気密・高断熱住宅はかなり普及してきましたが、夏の暑さを防ぐためには断熱・気密の性能を上げる前に日射遮蔽が基本とされている家づくりを目指したいものです。


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(高性能住宅設計:技術顧問)

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