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住まい環境プラニングは国内唯一の高気密性能を担保できる気密施工マイスターを育成する設計事務所です。 高性能住宅の熱環境分野に携わって28年、理論と実体験に基づいて省エネ住宅の開発研究、普及に努めております。住宅に大切な結露対策は得意分野、結露のトラブルも解決いたします。

メンテナンスでクレームになった事例

気密住宅で20年使った石油ボイラーを交換したが気密を意識しない施工であったため温度低下と結露でクレームになった事例
組写真 コピー1

(写真1)施工後に給排気筒付近が異常に温度が低いことから熱画像で確認すると9.7℃と低くなっていた。(写真2)そこでその周囲の石膏ボードを剥がし目視で確認、ホルソーで貫通した部分の隙間を気密処理をしていないため給排気筒に結露が発生していた。(写真3)そこで断熱材(プラスチック系断熱材50mm)と給排気筒の隙間に一液性発泡ウレタンを充填、給排気筒の廻りにグラスウールを充填し断熱・気密を確保(写真4)補修後に熱画像で表面温度が上昇したことを確認(注)この現場は外張り断熱なため壁の中は120mmの空間になっているので給排気筒の廻りはグラスウールで断熱補修としている。最近、気密住宅を意識した断熱リノベーションが増えているがエアコンとか設備関係など壁を貫通させる業種では事例のように雑に施工されるケースが増えているのでクレームにならないように現場の管理は特に気をつけたいものです。
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同じ次世代省エネ住宅なのに家(うち)は何故寒い?(完)

前投稿の(2)では問題となるリビングの体感温度を上げることはできるのでしょうか?
の問いかけをいたしました。


実はAさん、Bさん宅の暖房システムは蓄熱暖房機が設置されています。そのため、当然のことですが体感温度を上げるためには蓄熱暖房機の放熱量を多めにすればいいことになります。しかし、蓄熱暖房機の場合はある事情により簡単に放熱量を多くする。といったことができない暖房システムなのです。

蓄熱暖房機は深夜電力でレンガを≒700℃に暖めて蓄熱し、日中、その輻射熱で暖房するシステムです。レンガを暖めるだけですからFFヒーターのような噴出しに威力はありません。ゆっくり、じわじわと暖める感じです。電気料金は深夜電力を使って蓄熱する契約の他に不足な場合に補う追い炊き契約がありますが、深夜と日中とでは日中の方が高くなる価格設定のため、日中の追い炊き契約されていないのが一般的です。(これがある事情なのです。⇒料金は、昼が30%高く、夜間は70%割引、昼と夜の使用時間の比率によっては、全体の電気料が安くなるのですが使い方によっては?です。)

そのため、当然、Aさん、Bさんも同様に追い炊きの契約はされていないのです。

467zgmwmta2mdx06g.jpg
●写真の熱画像は一般的な蓄熱暖房機の設置の仕方、緑色の部分は窓で冷気にさらされて表面温度が低いことを示しています。この状態では体感温度は低く不快になることを熱カメラで見ることができます。

体感温度を上げるためには放熱量を増やしたいのに蓄熱不足になればいくら、高性能な住宅であっても自然な状態で室温を上げることはパッシブハウス、クラスにならないと不可能です。

Aさんの体感温度は自分の家は寒く、Bさん宅の方が暖かいということでした。体感温度が大きく左右される間取りに窓の大きさ、数等がBさん宅よりも大きいことが原因の一つにあるにしても蓄熱暖房機の放熱が十分であれば寒さを感じない筈です。
そうであれば、蓄熱暖房機の設置数(暖房能力)にも問題があるのでしょうか?

そこで、もっとも寒いと言われる時間帯の夕方にお邪魔してみました。
すると・・なんと、Aさんが言うように寒いのです。
蓄熱暖房機から暖かさはなく蓄冷冷房機のように冷たいではありませんか。本体の下からファンで吹き出される風は冷風なのです。これでは寒く感じるのは当たり前です。

Aさんから蓄熱暖房機の使い方をお聞きすると「蓄熱量を目いっぱいにして放熱も目いっぱいにしてファンを回す。」の使い方をしているようでした。その結果は・・・・夕方からは寒い!!

そこで、Aさんに「ファンを連続して強で回してしまうと、蓄熱量が減るのが早まるので、蓄熱量を弱でファンを回して様子をみましょう。」とアドバイスをして1週間様子を見ることにしました。

ところが、Aさんは(私のアドバイスを無視して)工務店の担当者に「暖房の能力の不足ではないか?」という再クレームを出したため、工務店では(早く解決したいため)Aさんの希望通り、蓄熱暖房機1台をサービスでリビングに設置したのです。
しかし、1週間後に、Aさんはさらに再々クレームを出したのです。

なんと…今度は「蓄熱暖房機は暑すぎる!」・・・です。

続きます!

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同じ次世代省エネ住宅なのに家(うち)は何故寒い?(2)


前回のお話は次世代省エネ住宅で建てられた1年目のAさんから、同じ時期、同じ工務店で建てたBさんの家より寒い!というご相談でした。
その前回のあらすじは↓
同じ次世代省エネ住宅なのに家(うち)は何故寒い?(1)です。

460zgmxmje1mthz9a.jpgそのAさんとBさんのお宅にお邪魔することになりました.
玄関に入るとBさん宅はAさんの玄関と同じような暖かさです。
「こちらにどうぞ!」と案内されたところはAさんと同じりビングで、ここもAさんと同じ暖かさの環境で温度計は20℃を指しています。

Bさんのところよりも温度計は1℃低い住環境になっています。確かにAさんの言う通り、Bさん宅の方が温度が低くても暖かさがあります。同じ工務店で建てられても正確には坪数もQ値もC値も微妙に違う筈ですから、その辺の違いが・・・その寒さ、暖かさが違うのでしょうか?
AさんとBさんがお茶のみをしている間、表面温度計でBさん宅のあちこちを測ってみました。

お茶のみをしているリビングの室内温度は20℃で壁、天井は20℃ですが床面は19℃と1℃低い温度になっています。そこで床下(基礎断熱:立ち上がりと土間はスタイロフォームB−3種の50mm仕様です。)に潜り、土間面と床フロアの下面等を測ってみました。

dc040204.jpgそれがこの写真土間の表面温度は15℃を指しています。
床の表面温度は19℃ですから4℃の温度差があることになります。

リビングで立って作業している間は床から高さ1mくらいに置かれた温湿度計は20℃ですから、とても快適な環境になっています。しかしリビングの床に直に座っていると足元、腰回りがヒヤヒヤした寒さが感じられます。頭寒足熱ではなく頭熱足寒になっています。これでは不快に感じます。

この原因は、次のように考えることができます。
このAさんとBさんの次世代省エネ住宅で冬に竣工直後のコンクリートは、湿気が平衡する以前の状態のため、余剰な水分をたっぷり含んだ状態になっているため水分の発生が少なく温度も低い。この状態で室内で暖房が入ると、床下の土間のコンクリートも乾燥に向かうため、周囲の躯体に含まれる水分は室内に放出しながら乾燥し床上の温度が高い室内空 間から熱を奪う熱移動が起こります。逆を考えれば土間の温度が上がらない限りは、床面の温度も上昇しないので表面温度20℃になりづらい傾向にあります。

これは主に初年度に起こる現象で、2年目からは徐々に改善され、床面と土間コンクリートの表面温度の差が縮まってくるので、さほど心配しなくてもよいのですが・・・。

※高断熱・高気密住宅で初年度は暖房費が思ったよりかかる多くの原因は、このように土間コンクリートに工事水が多く含まれていることにあります。

さて、AさんとBさんのリビングはAさんの方がBさんより1℃室内温度も床の表面温度も高いのに何故Aさん宅は寒いと感じるのでしょうか?

続きがあります!!↓

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同じ次世代省エネ住宅なのに家(うち)は何故寒い?(1)

次世代省エネ基準Ⅱ地域仕様をクリアする住宅で同じ工務店で建てられたAさんから「同時期に建てられたBさん宅より家(うち)は寒いので何故か?調べてほしい!」という相談がありました。
(この事例は高気密・高断熱で建てられた住宅に共通していることで、ここ数年次世代省エネ住宅の普及とともに「寒い!」あるいは「暑い」という相談が増えています。)

「Q値(熱損失系数)はいくらですか?」
「気密性能はどのくらいですか?」といったこれらの質問に対して
「いくら、いくらです!」明確に答える方もいらっしゃいますが「わからない!」という方の方が圧倒的に多いのです。断熱性能、気密性能がわからない場合は現地調査をしなければ原因は特定できませんが、断熱性能と気密性能が明確にわかっている場合は、全館暖房なの?あるいは全館暖房でも各部屋の暖房器のバランスが取れているのか?という問題、つまり暖房計画がきちんとされているのか?をチェックします。

456zgmxmje1mdf4a.jpgしかし、次世代省エネ住宅の場合は暖房機器を材工で納入する業者さんはアバウトでも「寒い!」といったクレームが来ないように暖房負荷計算を多めに行った上で機器の選定を行っているのが一般的です。そのため暖房能力不足ということはあまりないのです。
それでは?
「何故?寒い!」ということになるのでしょうか?
そこで、その同じ工務店で同時期に建てられた断熱性能Q値と気密性能も建て坪数もほぼ似たような家2件(A宅とB宅)のお宅に調査に向かいました。
A邸の方が相談があったお宅です。

調査日の午後の2時頃は雪が降っていて外気温-3℃の寒さに風が強く、東北で言う、所謂、しばれる寒さです。

Aさん宅の玄関に入るとホンワリとした暖かさが感じられ、あの高断熱・高気密住宅特有の春の陽だまりの中にいるようなとてもいい住環境のように感じられます。Aさんの玄関は20℃、問題となっている寒い!というリビングは玄関付近より高い21℃を指していてとても快適な環境です。

「これで寒いですか?」
「温度計は21℃だけれども、家(うち)は何故か寒い!」
「特に夕方から朝方にかけて寒く感じる!」

「この近くのBさん宅は家(うち)と同じ工務店で建てたけど、同じリビングで温度も同じ20℃くらいの温度だけれども家(うち)より暖かく感じる!」と言うご主人です。

そこでご主人
「今からBさんの所に行って比べてもらいたい!」とBさん宅にTELです。
(AさんとBさんの奥様同士はお茶のみ友達で同じ工務店で建てられたとか・)

そこでBさん宅にAさんとお邪魔することになりました。

明日に続きます!!

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昆寛(コン ヒロシ)

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住まい環境プランニング(同)
(高性能住宅設計:技術顧問)

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