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住まい環境プラニングは国内唯一の高気密性能を担保できる気密施工マイスターを育成する設計事務所です。 高性能住宅の熱環境分野に携わって28年、理論と実体験に基づいて省エネ住宅の開発研究、普及に努めております。住宅に大切な結露対策は得意分野、結露のトラブルも解決いたします。

屋根の積雪でわかる住宅の断熱・気密性能

家を新築する時は、誰でもきちんと施工してくれる業者に依頼したい筈です。
そんな時、冬にしか見ることができない現象を見て業者選びの判断にできたらいいと思いませんか?
左の家と右の家は同じ団地内の敷地に建てられた新築1ヶ月以内の住宅です。
どちらの住宅の屋根も北向きで屋根勾配も同じになっています。

前日の夜、雪がサッと降り屋根に雪が積もり、夕方の5時半頃の状態を写真に収めたものです。
dc040902.jpg
それで・・・何がわかるのよ?
と言われそうですが、実はこの様子で住宅の性能の良し悪しがわかってしまうのです。
それは・・こんな理由があるからです。

ところで、この二つの住宅どちらも広告の謳い文句は次世代省エネ基準住宅仕様(外断熱工法)で建てられたものです。
勿論、施工業者は違います。
それ以外違うと言えば、左は雪止めついていて右はついていない。

その他に違う所は?左は棟換気が長いのに、右は小さいのが1箇所あるだけ、換気は三種換気装置、暖房はどちらもメーカーは違いますがパネルヒーターです。
この違いだけで・・住宅の規模はほぼ同じです。

もう一つ重要な事がありました。
それは、左の住宅は気密試験を行って気密性能が0.35cm2/m2であるが右は気密試験をしていない住宅だということです。この違いで、屋根の雪の融け具合を見て下さい。左は屋根全体に雪が残っているが、右は棟の部分の雪が融けています。

その原因は何でしょうか?
実はこれ、二つの理由が考えられます。
それは、室内で暖められた空気は軽くなるため、1Fから2Fへ・・さらに棟に向って熱が移動します。その時、断熱材欠損か気密漏れが棟の部分に存在しているため熱が逃げているか、棟換気が短いため屋根の通気機能を果たしていないため、熱溜まりが起きて、雪が融けていること示しているものと判断できます。

常に、弊社では気密試験は全棟(2回の測定)するべきだと訴えています。
若し、気密試験が義務付けになった場合は、左のような屋根に雪が全体に残る住宅になるでしょう。
右の気密性能は(経験から言えば)良くて2.0cm2/m2前後の隙間が存在するだろうと想像されます。

これは雪が屋根に積もる地域にしか使えないのですが、こんなところも見て、業者選びをして欲しいものです。

関連記事⇒http://dannetu35.blog90.fc2.com/blog-entry-323.html


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気密住宅は花粉症を緩和させる!?

コピー (2) ~ dc022241(修整1)スギ花粉症にかかっている方は憂鬱な季節が始まります。スギ花粉は寒さや雪の影響で飛散量は控えめになっていて関東では2月初めに少量のスギ花粉が飛び始めたそうです。
我が家でも家を新築する前の家内は花粉症に大変悩まされていました。ところが新築2年目からはいつの間にか「クシャクシャ目」がなくなっていたのです。TVでスギ花粉のニュースが流れる時期になると「そういえば、お前クシャクシャしていないな!直ったのか?」「そういえば・・・新しい家に引越して2年目から・・直ったのかな~?」そんな会話をしていました。
家を新築してからのことのですから家に花粉症に対して防御する機能(秘密)がありそうです。
(今年で我が家は17年目になりますが家内の花粉症の病状は一切起こっていません。)
建て替え前に住んでいた家は築35年ですが高断熱であってもスカスカの低気密住宅でしたのであらゆる隙間を通して(風が強い時などは特に)スギの花粉が室内に入りこみむようになっていたのです。現在の家は高気密住宅なのでちょとやそっとの外風圧で隙間を通して浸入することがありませんが新鮮な空気は外壁に設置される給気口から取り入れているので当然給気口からはスギ花粉が入ってくる筈です。しかし、スギ花粉はカットされています。
実はその給気口にちょとした仕掛けがあるために杉花粉は従来よりカットされる部材を使っているからです。

**それが次の写真(部材)です**
dc022101.jpg計画換気システム(第三種換気装置)に設置される給気口で丸型と角型とがあります。
一般的に「パッコン」と呼んでいますが正式には給気バルブといいます。丸、角型の部分が室内側になって角型のガラリ付の方は外部側に取り付けられます。ちなみに我が家では角型のガラリは使用しないで丸型の吸気バルブのみを設置して給気は外壁の通気層から取り入れています。
寒冷地では直接ガラリを通して給気するのではなく外壁でいったん防御して使用する例が多いのです。その「パッコン」の中に入っているのが左の写真・・・「花粉フィルター」です。
通常は黒い色で網目状のスモンジフィルターが入っているのですが花粉対策ではなく埃浸入防止に設置されています。花粉フィルターはオプションになっていますが第三種換気装置を設置されている方は試して見る価値ありの商品です。

商品の詳細、注文については
①日本住環境⇒http://www.njkk.co.jp/shop/pakkon_filter/index.html
②アトム建築環境工学研究所⇒http://www.ajic.co.jp/order_f/index.html
③シェイベック⇒http://www.jbeck.co.jp/manual/pdf/mente2.pdf

※花粉フィルターを使ってみて、してはいけない注意事項をブログに投稿している方がいらっしゃいますのでご覧下さい。⇒緊急告知!24時間換気の花粉フィルターは水洗いしないで下さい。

住宅の気密性能が高まれば花粉症も緩和されるという実体験でした。

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ある気密部材にこだわる理由(気密テープ)



日経ホームビルダーの7月号の47ページの右写真の解説に「透明な気密テープで留める」について、「何故?透明な気密テープにしたのか?」のご質問がありましたので投稿を回答といたします。


気密テープのこだわり
気密テープは充填断熱でも外張り断熱でも最も重要な気密部材のひとつとして使用されています。
その気密テープの選択には主に接着力の強さと耐用年数などで採用の基準となりますが、私はその他に気密テープの使い方にあるこだわりをもっています。

気密テープの色(テープの表面の色)は主に黒、白、黄色、アルミ色(銀色)などが主なカラー色ですが私は半透明な気密テープを使用するように推薦しています。
dc0528297 - コピー推薦する理由は左写真のように外張り断熱のボードとボードのジョイント部に半透明の気密テープを貼り付けた様子ですがこの気密テープを使うと下地の施工後の様子(隙間があれば隙間の大きさも)がよく見えます。
※規格寸法の定尺で作られるボードは若干の寸法(数ミリ理単位で)に誤差が生じるためボード張り施工でどうしても隙間が生じることがよくあります。
※充填断熱での気密シート張りでの気密テープの仕様も同じこと(繊維系断熱材がきちんと入っているか?)で施工後の様子をチェックすることができます。
dc120320 コピー1 - コピー
この半透明の気密テープを使うと左写真のように気密テープを貼った後には気密・断熱欠損で補修に必要な箇所をマジックで書きいれチェックすることができます。
その後チェックされた箇所は外張り工法であれば一液性のウレタン剤で隙間を充填、GWの充填断熱工法であれば、断熱及び気密処理忘れの部分を確実に処理をすることができます。


20090413-1-3.jpg一般には左写真のようにカラー色の気密テープ使われていますが半透明の気密テープとの違いは、仕上がりは隙間が色で隠れるので綺麗に見えますが断熱欠損があって閉じた場合はわからなくなってしまうことです。
※写真では10mmの隙間があってもカラー色の気密テープを使うと隙間が隠れてしまう。

その隙間は大きな隙間であれば端材を使って埋めるのですが5mm前後の隙間は意外と静止空気だといってそのままテープで塞ぐ例が多いのも事実です。できれば、隙間は断熱欠損がないように断熱補修をしてから気密テープで処理したいものです。
また、この隙間に断熱欠損防止のためにウレタンを充填しても、「見た目は綺麗に充填されていても、実際は以下のように欠損だらけです。」その実態はこちらをご覧ください。⇒http://dannetu35.blog90.fc2.com/blog-entry-189.html


隙間は断熱欠損がないように断熱補修をしてから気密テープで処理することで計算された気密も高まりQ値も確かなものにするのです。

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外張り工法の気密の取り方(外壁:先張りボード)


前回までの外張り断熱の施工マニュアルはこちら↓
外張り(付加)断熱の気密の取り方(屋根)
外張り(付加)断熱の気密の取り方(屋根:付加断熱)
外張り工法の気密の取り方(ウレタンボード下地)

充填断熱工法では先張りシート施工は当たり前ですが外張り断熱工法でも先張り箇所がある場合があります。

dc030125.jpg今回の現場では下写真の赤線で丸をした部分が先張りボードをしなければならない箇所の庇屋根です。
庇屋根の場合は1Fの外壁と2Fの外壁は断熱区画内であっても屋根は断熱区画外になるので屋根には断熱材(ウレタンボード80mm)を施工する必要ありません。
そのため、充填断熱の先張りシートのように庇屋根の下地材をを取り付ける前に予めウレタンボード50mmを先張りとして施工しておきます。こうすることで断熱材は途切れることなくスッポリ構造材を包みこむことになり断熱欠損を防ぐことができます。赤丸印は庇屋根の部分です。懐が深い庇は夏の暑い日差しを遮る効果があります。

dc030113.jpg左写真は2Fの壁と庇屋根の取り合い部分
壁のウレタンボード50mmは途切れることなく1Fの壁に繋がっている様子。(先張りボード)

右写真は同じ場所を下から見た状態。
外張り断熱で思ったより気密性能が出ない原因は
写真のように先張りボード施工しなければならない所を後張り施工をした場合に多く見られますので要注意です。

使用されている材料は
屋根:ウレタンボード50mm+30mmの付加断熱
外壁:ウレタンボード50mm
基礎:基礎断熱土間床工法スタイロフォーム(B3)50mm
気密パッキン:ノルシールV754(45mm×30m)
気密・防水テープ:寺岡製作所
補修部材:ハイプレンガンフォーム(三井化学産資)
続きます!


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気密性能が高い方がいい理由

住宅の気密性能は次世代省エネ基準(平成11年省エネルギー基準)で2.0cm2/m2以下(Ⅰ~Ⅱ地域)、5.0cm2/m2以下(Ⅲ~Ⅵ地域)と義務づけられました。
dc0121116.jpg

※(注)平成21年度の改正では・・・C値の定量的な隙間相当面積の基準が削除され、気密性の確保という曖昧な基準に改正されています。
改正した根拠には「寒冷地では概ね2cm2/m2前後、それ以外の地域では概ね5cm2/m2前後と一定程度の気密性が確保されつつ状況にある。」ということから削除になったようです。しかし弊社で行った平成20年度の気密測定30棟の測定結果では2cm2/m2以内に収まる住宅は38%でした。これは次世代省エネ基準のみなし仕様で断熱材の性能をクリアして次世代省エネ基準住宅と謳っても、気密性能は測定することが義務ではないため、気密性能を高めるための施工がきちんと行われていないための結果だと感じています。

気密性能で冷暖房の効き具合を考えた時、できるだけ小さい数値が望まれます。
特に蒸暑地域では夏は冷房の使用量が増えるため、せっかく高気密住宅にしても5.0cm2/m2の気密性能では暖湿気が室内に浸入て冷房の効きが悪くなるばかりです。

何故そうなのかを具体的な例をあげて考えてみましょう。
標準的な大きさ120m2の住宅で、気密性能が単位隙間相当面積で1.0cm2/m2とします。

気積が288m3で換気量が120m3の換気量0.42回/hを計画したとします。この時の住宅換気システム使用時の内外差圧はおよそ0.7mmAqです。そこに給気口(パッコン)を5個設置したとします。(平均的な個数です。)第三種タイプの換気システムでは0.3mmAqまで差圧が下がってしまいます。

冬期の内外温度差が(外気温-10℃、室内温度20℃)30℃あった場合温度差換気により、0.3mmAqの差圧が生じてしまいます。2階建ての住宅は2階の給気口や隙間からはほとんど給気されないで、少しでも風が吹くと風下の給気口や隙間から排気されるという結果となります。

一方、気密性能が次世代省エネ基準で義務化とされていた時の2.0cm2/m2ではどうでしょうか?

この場合は内外差圧が0.2mmAqしかあがりません。この状態では2階の給気口(パッコン)から排気してしまいます。風が吹くとほとんど負圧給気が成り立たなくなるのです。室内は風任せの空気の流れができて、換気システムの本来の空気コントロールが不可能となります。(実際に2.0cm2/m2クラスの気密住宅の給気口の風量を測定してみると、風量ゼロか排気されていることが実証されます。建物の気密性能は測定機器を持っていなくても2階の給気口にタバコの煙などを当ててみる2.0cm2/m2以下の気密性能かそれ以上かの簡単診断ができます。)

一般的に使用されている給気口の隙間は12cm2くらいです。給気口を5個つけると60m2になります。
気密性能が1.0cm2/m2の住宅が、給気口をつけない気密性能が1.5cm2/m2の住宅と同じ差圧にしかなりません。自然給気、強制排気タイプの換気システムで本来の性能を発揮させるためには、給気口を含め1.0cm2/m2以下の気密性能が必要なのです。その意味では、冬期では気密性能が1.0cm2/m2クラスの住宅でも給気口が必要ないということになります。

しかし換気システムでは内外温度度がない時期もあるので、冬期間は場合によっては給気口を閉じて、ある程度室内が暖まったら開ける使い方が良いのではないかと考えます。
(ただし住む方に給気口の使い方を説明する必要があります。)
●参考:1mmAq=9.807Pa
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プロフィール

昆寛(コン ヒロシ)

Author:昆寛(コン ヒロシ)
住まい環境プランニング(同)
(高性能住宅設計:技術顧問)

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